不動産証券化73.4兆円、10年で2.45倍 宿泊施設が取得額の20.5%に

2026年09月12日 07:04

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東京都心の不動産・都市景観のイメージ。国土交通省の調査によると、証券化の対象として運用される不動産などの資産総額は2025年度末に約73.4兆円となり、2015年度末の29.9兆円から約2.45倍に拡大した(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

国土交通省が11日に公表した2025年度(令和7年度)「不動産証券化の実態調査」によると、証券化の対象として運用されている不動産または信託受益権の資産総額推計は約73.4兆円となりました。前年度の66.6兆円から6.8兆円増加(約10.2%増)し、2015年度の29.9兆円との比較では約2.45倍へと拡大しています。2025年度中にリート(私募リート含む)および不動産特定共同事業の対象として取得された資産は約2.8兆円(2.79兆円)、譲渡された資産は約1.1兆円(1.11兆円)でした。用途別取得額の割合では、オフィスが24.1%、宿泊施設が20.5%、住宅が18.7%を占めました。また、一般投資家の参加拡大を踏まえ、今回から不動産特定共同事業の商品に関する契約期間や借入金割合、事業者出資割合、予定利回りなどの公表項目が拡充されました。

本文
 国土交通省は11日、2025年度の「不動産証券化の実態調査」結果を公表しました。本調査は、証券化ビークル等(リート、不動産特定共同事業、その他私募ファンド)が運用している不動産または信託受益権の資産額を集計したものです。

 2025年度末時点における証券化対象不動産の資産総額推計は、前年度末(66.6兆円)から6.8兆円増加し、約73.4兆円となりました。時系列でみると、2015年度末の29.9兆円から10年間で約2.45倍の規模へと拡大しています。なお、73.4兆円は不動産市場全体の資産額ではなく、証券化スキームを用いて運用されている資産総額の推計値です。このうち、リート(私募リート含む)と不動産特定共同事業を合わせた「リート等」に係る資産総額は約33.9兆円となっています。

 年度中の取引であるフローベースの動向をみると、2025年度にリート等において取得された資産額は約2.79兆円(リート約2.27兆円、不動産特定共同事業約0.51兆円)でした。一方で、同年度に譲渡された資産額は約1.11兆円(リート約0.74兆円、不動産特定共同事業約0.37兆円)となりました。73.4兆円が保有・運用されている資産総額(ストック)を示すのに対し、2.79兆円および1.11兆円は単年度の取得・譲渡(フロー)の実績であり、対象範囲も異なります。

 2025年度に取得された資産額(約2.79兆円)の用途別構成比では、オフィスが24.1%、宿泊施設が20.5%、住宅が18.7%となり、上位3用途が全体の約6割を占めました。宿泊施設が取得額の2割を超える水準となっています。都道府県別の取得件数(全1,605件)では、東京都が523件(全体の33%)で最も多く、次いで大阪府114件(7%)、神奈川県108件(7%)、千葉県81件(5%)となりました。

 今回の調査では、一般投資家の参加拡大を踏まえた公表項目の拡充が行われました。不動産特定共同事業法に基づき一般投資家向けに販売されている商品(第一号事業、1,873商品)の資本金・借入金構成では、「借入金無し」が93%を占めました。また、2025年度に運用実績のあった一般投資家向け商品(1,839商品)の予定利回りの中央値は、任意組合型(第一号事業)で4.1%、匿名組合型(第一号事業)で6.5%、匿名組合型(特例事業)で6.5%と示されました。これはあくまで予定利回りの中央値であり、実現した運用利回りを示すものではありません。国交省は、商品の特性・リスクは個別商品によって異なるとして、投資判断に際して商品の性質や仕組み、リスクなどを十分理解するよう注意を促しています。

 2015年度の29.9兆円から73.4兆円へと拡大を続ける不動産証券化市場において、全体の資産規模やアセット別の取得状況に加え、一般投資家向け商品の構造やリスク要素に関する情報開示がどのように深まっていくのか、今後の市場推移が確認されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)