今回のニュースのポイント
国際原子力機関(IAEA)は2026年9月、2024年に実施した分析機関間比較(ILC)の報告書を公表しました。日本10機関のほか、IAEA、中国、韓国、スイスの機関が参加。福島第一原発周辺で採取した海水・海底土や魚を均質化・分割して各機関で分析し、IAEAが結果を比較しました。IAEAによると、実施した統計検定のほぼ95%が高い信頼水準(99%)で合格し、参加機関の測定結果は全体として信頼でき、比較可能だったと結論づけています。
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水産庁は2026年9月17日、国際原子力機関(IAEA)が2024年に実施した海域モニタリングの分析機関間比較(ILC:Interlaboratory Comparison)に関する評価報告書を公表したと発表しました。IAEA主導のもと、日本の10機関に加え、IAEAと中国、韓国、スイスの機関が参加し、福島第一原子力発電所周辺で採取された海域試料の放射性核種データを比較・検証しました。
今回のILCには、日本の原子力規制委員会傘下などで分析を担う10機関(福島県環境創造センター、日本原子力研究開発機構、日本分析センター、海洋生物環境研究所など)に加え、IAEA海洋環境研究所(モナコ)、ならびにIAEAの国際ネットワーク「ALMERA」に加盟する中国の自然資源部第三海洋研究所(TIO)、韓国原子力安全技術院(KINS)、スイスのシュピーツ研究所(SPIEZ)の計14機関が参加しました。
ILCは、複数の分析機関による測定結果の品質や比較可能性を確認するため、同一の採取試料を均質化・分割して各機関へ分配し、それぞれが通常使用している方法で分析・測定した結果を比較する仕組みです。IAEAは日本の包括的放射線モニタリング計画(CRMP)の信頼性担保を目的として2014年から本プロジェクトを支援しており、2014~2023年にかけて13回のILCと10回の技能試験(PT)を実施してきた実績があります。
2024年の調査では、同年10月7〜11日に福島第一原発沖の5地点で採取された表面海水(トリチウム、ストロンチウム90、セシウム134・137を測定)、10月7〜9日に3地点で採取された海底土(セシウム134・137、プルトニウム238、プルトニウム239・240を測定)が共通試料として用いられました。また魚類については、9月30日に久之浜港市場で調達された6魚種(同日に原発周辺の水深37〜122mで採捕されたカナガシラ、メイタガレイ、フグ、チダイ、ヒラメ、マアジ)の筋肉組織を海洋生物環境研究所(MERI)で切り身処理・均質化した上で分割。国内機関(約2.4kgセット)およびIAEA・海外3機関(約1.2kg冷凍セット)に送付してセシウム134・137を測定しました。
IAEAが各機関から提出された測定結果を統計的に評価したところ、実施した統計検定のほぼ95%が高い信頼水準(99%)で合格しました。報告書は、測定結果の圧倒的多数について相互に有意な差がなかったとしています。IAEAはこれを踏まえ、参加機関が信頼でき比較可能な結果を報告したと結論づけるとともに、日本の試料採取手順が、代表性のある試料を得るために必要な適切な方法論的基準に引き続き従っており、日本の分析機関が正確な結果を報告して高い能力を示していると評価しました。
報告書では評価の結論にとどまらず、各機関の具体的な測定値も掲載しています。例えば、マアジのセシウム137を24時間計測した放射能濃度では、算出された参照値0.1752±0.0087 Bq/kgに対し、IAEAが0.153±0.023 Bq/kg、韓国KINSが0.185±0.027 Bq/kg、スイスSPIEZが0.159±0.040 Bq/kg、中国TIOが0.205±0.027 Bq/kgなどのデータが示されており、各国の分析値を客観的に比較・検証できる構造となっています。
なお、今回公表されたILCは、日本の平時における海域環境モニタリング(CRMP)の分析品質を裏付けるための枠組みです。2023年8月から開始された「ALPS処理水」の海洋放出に伴う海域モニタリングの裏付け調査(ILC)は2022年から別途運用されており、2024年採取分については今後別の独立した報告書としてIAEAから公表される予定となっています。
したがって、今回の報告書は、多国間の分析機関による測定結果について、全体として信頼性と比較可能性が確認されたものであり、特定国の政治的な評価や処理水放出そのものの安全性判断とは区別して捉える必要があります。今後は、別途公表予定となっているALPS処理水海洋放出に関する2024年分のILC評価において、どのようなデータが示されるかが次の注視点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













