今回のニュースのポイント
会計検査院が2026年11月5日に公表した「令和7年度決算検査報告」によりますと、2025年度の日銀の補完当座預金制度に係る支払利息は前年度比1兆4,587億円増の2兆7,104億円と2倍以上に急増しました。経常収益も増加したものの費用の伸びが上回り、経常利益は4,501億円減の2兆3,421億円、国庫納付金は3,210億円減の1兆8,300億円となりました。利払い負担が拡大する一方、自己資本比率は12.45%へ上昇しています。
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会計検査院が2026年11月5日に公表した2025年度(令和7年度)決算検査報告の「日本銀行の財務の状況」によりますと、2025年度の日銀の補完当座預金制度に係る支払利息は2兆7,104億円に達し、前年度から1兆4,587億円増加しました。前年度実績1兆2,517億円から約2.17倍と2倍以上に急増した形です。支払利息の増加などにより経常費用が膨らみ、経常利益は前年度比4,501億円減の2兆3,421億円、国庫納付金も同3,210億円減の1兆8,300億円へ縮小しました。利上げ局面において金利支払いの負担が急速に拡大し、利益水準や政府財政への納付金に変化を及ぼしている実態が浮き彫りとなっています。ただし、日銀は引き続き巨額の経常黒字を維持しています。
支払利息が急増した直接の要因は、補完当座預金制度の適用利率の引き上げです。同制度は、民間金融機関が日銀に預け入れる当座預金のうち、所定の基準を超える残高(超過準備額等)に対して日銀が利息を付与する仕組みです。日銀は2024年3月に枠組み見直しで適用利率を年0.1%とした後、同年7月に年0.25%、2025年1月に年0.5%、さらに2025年12月には年0.75%へと段階的に引き上げました。会計検査院の報告書では、支払利息増加について適用利率が年0.5%から年0.75%へ引き上げられたことなどを要因として挙げています。なお、年0.75%への改定は年度途中の12月であり、通年に適用されたわけではありません。また、当座預金の全残高に一律で適用されるわけではない点にも留意が必要です。
損益全体の構造をみますと、日銀の収益も拡大したものの、費用の増加ペースがそれを上回りました。2025年度の経常収益は前年度比1兆1,956億円増の5兆7,713億円となりました。長期国債利息が前年度から4,387億円増の2兆5,133億円となったほか、為替差損益が前年度の908億円の為替差損から7,461億円の為替差益へ転じたことなどが、収益増加に寄与しました。ETF運用益も1兆7,409億円に伸長しています。しかし、補完当座預金制度の支払利息急増などにより、経常費用は前年度比1兆6,457億円増の3兆4,292億円へ膨張しました。費用の増加額が収益の伸びを4,500億円余り上回ったことが経常利益減少の主因です。
経常費用の膨張を受け、日銀の経常利益は前年度から4,501億円減少し、2兆3,421億円となりました。また、最終的な損益を示す当期剰余金は1兆9,263億円となり、前年度から3,378億円減少しました。経常利益と当期剰余金は異なる財務指標であり、当期剰余金は経常利益に特別損益を加減し、税金等を控除して算出されます。2025年度は外国為替等取引損失引当金への積立額(3,730億円)を含む特別損失が前年度から994億円減少したものの、経常利益の減少幅が大きく当期剰余金も縮小しました。赤字転落や資金不足に陥ったわけではなく、日銀は依然として2兆円規模の利益を確保していますが、収益環境の変化が表れています。
当期剰余金の減少は、国の財政収入の一部となる国庫納付金の動向にも直接反映されました。日銀は日本銀行法に基づき、当期剰余金の5%を法定準備金として積み立て、配当を行った後の残額を国庫に納付します。2025年度の法定準備金積立額は剰余金の縮小に伴い前年度比168億円減の963億円となり、国庫納付金は前年度から3,210億円減の1兆8,300億円となりました。国庫納付金の減少は一般会計歳入の減要因となりますが、国の財政赤字の拡大額と単純に一致するものではありません。また、日銀が支払う当座預金利息(2.7兆円)と、政府が支払う国債利払費(2025年度9.1兆円)は、主体も性格も異なる別個の支出です。
日銀の財務の健全性を示す自己資本比率は、2025年度末時点で12.45%となり、前年度末の11.78%から0.67ポイント上昇しました。自己資本残高は前年度末の14兆1,518億円から14兆6,212億円へ増加しています。報告書では、債券取引損失引当金について、所定の計算による収益額2兆1,602億円を支払利息等の損失額2兆8,287億円が上回ったものの、今後の更なる収益下振れ等に備え取崩しを行わなかった日銀の判断も説明されています。金利環境の変化に伴い支払利息が増加し利益や納付金が減少した一方、収益増や自己資本の充実も進んでおり、多面的な視点から財務状況を捉える重要性が示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













