ダイセル、上期営業利益41.8%増の285億円 AIサーバー向け樹脂が好調、通期予想を上方修正

2026年11月05日 14:19

 株式会社ダイセルは2026年11月5日、日本基準による2027年3月期第2四半期(中間期・4~9月期)連結決算を発表しました。売上高は前年同期比12.6%増の3,119億9,300万円(概数3,120億円)、営業利益は同41.8%増の285億2,500万円(同285億円)と大幅増益でした。経常利益は同38.4%増の282億円となり、売上高営業利益率は前年同期の約7.3%から約9.1%へと改善しました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は同1.9%減の184億5,200万円(同185億円)にとどまりました。人工知能(AI)サーバー向け高機能樹脂の販売増や原料高に伴う価格転嫁、円安が本業を押し上げたものの、政策保有株式売却益の減少が最終利益を下押ししました。

 収益拡大を牽引したのは、高機能樹脂を手掛けるハイパフォーマンスポリマーズ事業です。売上高は前年同期比21.7%増の1,284億1,200万円(概数1,284億円)、営業利益は同43.8%増の167億9,600万円(同168億円)と、約51億円の増益でした。AIサーバー向け高速通信コネクタや冷却ファン用途で液晶ポリマー(LCP)の販売数量が2割弱増加し、光コネクタ部品向けにPPS樹脂も同6%増加しました。さらに、ポリアセタール(POM)樹脂が前年同期の米国関税や中国アンチダンピング課税に伴う買い控えから回復して同6%増、PBT樹脂も自動車や半導体向けに同7%増加しました。原料高への価格転嫁や円安も寄与し、幅広い製品で増益基盤が強まりました。

 その他セグメントでも明暗が分かれました。マテリアル事業は、中東情勢による輸送停止でアセテート・トウの減販があったものの、ディスプレイ材料向け酢酸セルロースの増販や価格転嫁、為替影響により、売上高が前年同期比3.0%増の969億7,900万円、営業利益が同42.5%増の65億7,400万円でした。スマート事業も電子材料向け溶剤の販売増などで売上高が同19.3%増の216億8,000万円、営業利益が同295.8%増の15億9,900万円へ拡大しました。ライフサイエンス事業も営業利益が同161.2%増の9億6,900万円でした。一方、エアバッグ用インフレータを扱うセイフティ事業は、売上高が同9.0%増の541億9,500万円の一方、製品構成差や経費増で営業利益は同21.1%減の21億200万円と増収減益でした。

 上期実績や製品需要の動向などを踏まえ、ダイセルは2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正しました。売上高予想を従来の5,950億円から6,470億円(前期比11.6%増)へ520億円引き上げ、営業利益予想は425億円から505億円(同20.0%増、修正率18.8%増)へ80億円増額しました。経常利益予想は500億円、親会社株主に帰属する当期純利益予想は410億円へ上方修正しています。営業利益は5月時点の当初予想を約120億円上回って着地しており、通期上方修正はこの上期の上振れが主因です。なお、下期については原料高やPOMの拡販に向けた戦略的な価格設定などを見込んでおり、下期単体では当初想定より弱含む見通しを示しています。通期の想定為替レートは1ドル=157円(下期前提は155円)としています。

 同社は同日、中期戦略「Accelerate 2030」の一部数値目標を引き上げました。AIデータセンター向け光コネクタ需要の拡大見通しや、マテリアル事業の前提見直しなどを反映し、2030年度の全社営業利益目標を従来の「1,000億円超」から「1,180億円超」へ180億円引き上げました。売上高目標も7,500億円超から7,750億円超へ修正しています。供給面では、AI需要が旺盛なLCPについて既存工場をフル稼働させつつ、台湾で年産5,000トンの増産プラントを2029年稼働に向けて計画しています。また、POMでは年産6万トンの中国第2期プラントが2026年10月に稼働を開始しました。なお、これらは中期戦略上の目標値であり、今期の確定業績とは区別されます。

 業績進捗と資本効率向上を踏まえ、同社は配当予想の増額および自己株式取得を発表しました。期末配当予想を従来の1株当たり35円から5円増額して40円に修正し、中間配当実績35円と合わせた年間配当予想を75円としました。前期実績60円から15円の増配となる見通しです。併せて、取得価額総額最大80億円、取得株式数最大560万株(自己株式を除く発行済株式総数の2.19%)を上限とする自己株式取得を決議しました。取得期間は2026年11月10日から2027年3月31日までとし、市場買付けおよびToSTNeT-3により実施します。取得した株式は、株式報酬等に必要な分を除いて消却する意向を示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)