第一三共、中間売上高1兆1672億円で19.7%増 エンハーツ伸長、営業利益34%増

2026年10月30日 13:15

今回のニュースのポイント

第一三共が発表した2027年3月期中間連結決算は、主力抗がん剤「エンハーツ」の拡大等により、売上収益が前年同期比19.7%増の1兆1,672億円、営業利益が同34.4%増の約1,938億円となりました。増収額のうち為替円安効果が739億円を占めたほか、提携先への利益分配金や研究開発費も増加しました。通期の営業利益予想(3,200億円)は据え置かれています。

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 第一三共が2026年10月30日に発表した2027年3月期中間決算(IFRS)は、連結売上収益が前年同期比19.7%増の1兆1,672億33百万円となりました。営業利益は同34.4%増の1,937億95百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同15.8%増の1,515億34百万円でした。主力抗がん剤「エンハーツ」や「ダトロウェイ」の伸長に加え、円安進行も増収に寄与し、中間期として大幅な増収増益でした。

 増収をけん引したのは、主力ADCであるエンハーツの拡大です。エンハーツのグローバル関連収益は前年同期比51.4%増の5,000億円に達しました。このうち製品売上と共同販促収入の合計は同45.9%増の4,645億円でした。製品売上・共同販促収入の地域別内訳では、米国が2,710億円と増収を主導し、欧州が1,028億円、日本が245億円でした。なお、関連収益5,000億円には製品販売のほか一時金や開発マイルストン等も含まれるため、製品売上と区別する必要があります。

 エンハーツに続く製品としてダトロウェイも伸長しています。説明会資料によると、オンコロジービジネスユニットでのダトロウェイの増収寄与額は266億円でした。ただし、266億円は同ユニットの増収要因として示された数値であり、全世界売上高そのものではありません。補足資料に基づくダトロウェイのグローバルの製品売上・共同販促収入は483億円(前年同期は157億円)となり、がん領域の拡大が進んでいます。

 増収額の相当部分は円安が押し上げました。売上収益の前年同期比増加額約1,919億円のうち、為替影響は739億円でした。為替影響を除く増収額は約1,180億円です。期中平均レートは1ドル=146.04円から159.37円、1ユーロ=168.06円から184.35円へ円安が進みました。利益面でもコア営業利益を227億円、IFRS営業利益を200億円押し上げています。

 コア営業利益は前年同期比46.9%増の2,213億31百万円となりました。コアベースの売上原価の増加が前年同期比0.4%にとどまった一方、販売費及び一般管理費は同26.3%増の4,660億87百万円へ増加しました。提携先への「DXd ADC製品のプロフィット・シェア費用」が1,332億円から2,024億円へと拡大したことが主因です。研究開発費も同10.7%増の2,400億55百万円でした。売上増が利益を押し上げる一方、提携先への利益分配や開発投資も増加する構造です。なお、前年同期のコア営業利益も新定義に組み替えて比較されています。

 営業利益と最終利益の伸び率には差が生じました。コア営業利益が46.9%増だったのに対し、IFRS営業利益は34.4%増にとどまりました。EU事業再編費用などコア外費用が前年同期の108億円から277億円へ増加したためです。金融費用増等で税引前利益の伸びは18.2%、法人税等増で親会社所有者帰属中間利益の伸びは15.8%となりました。費用構造の違いが最終利益の伸びを抑えています。

 2027年3月期の通期業績予想は7月公表予想を据え置きました。売上収益2兆3,400億円、コア営業利益3,600億円、営業利益3,200億円、親会社所有者帰属当期利益2,510億円を見込みます。中間期の好調を受けても上方修正は行っていません。また、補足資料では製造委託先への損失補償費用を通期800億円と見込んでおり、中間期の数字から下期を過度に楽観視はできません。

 年間配当予想は前期実績78円から増配となる1株当たり100円(中間50円、期末50円)を維持しました。中間配当50円は決議済みですが、今回の決算発表に伴う配当予想の修正はありません。主力製品の成長と株主還元を両立させる方針です。

 第一三共の中間決算は、エンハーツを中心とした抗がん剤の成長が売上収益と営業利益を押し上げたことを示しています。一方、円安による増収効果は739億円に達し、利益分配費用や研究開発費も増加しました。コア営業利益が急伸しても、事業再編費用や金融損益などによって最終利益の伸び率は異なります。製品販売の拡大を利益に転換しながら、提携費用と研究開発投資を負担する事業成長の実態を示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)