中部電力、浜岡原発関連で3704億円の特別損失 中間純損益2804億円の赤字、通期予想も赤字転落

2026年10月29日 16:52

今回のニュースのポイント

中部電力(9502)が2026年10月29日に発表した2027年3月期中間連結決算(日本基準)は、浜岡原子力発電所の停止長期化懸念等に伴い減損損失など特別損失約3,704億円を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純損益が2,804億円の赤字(前年同期は1,663億円の黒字)に転落しました。さらに電力小売事業の収支悪化も重なり、通期の最終損益予想も従来の1,600億円の黒字から2,150億円の赤字へ大幅に下方修正しました。

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 中部電力(9502)は2026年10月29日、2027年3月期第2四半期累計(中間期、2026年4~9月、日本基準・連結)の決算を発表しました。売上高は前年同期比11.3%増の1兆9,452億円(1兆9,452億600万円)となった一方、本業の営業損益は前年同期の1,455億円の黒字から780億円の赤字(マイナス780億5,400万円)へと転落しました。持分法適用会社であるJERAの利益貢献などにより経常利益は410億円(410億4,700万円、同79.1%減)と黒字を維持したものの、特別損失約3,704億円を計上したことで、親会社株主に帰属する中間純損益は2,804億円の赤字(マイナス2,804億5,900万円、前年同期は1,663億円の黒字)となりました。前年同期からの損益悪化額は約4,468億円に達します。

 最終損益を大きく押し下げた主因は、浜岡原子力発電所に関連する資産評価の見直しです。基準地震動策定に係る不適切事案を受けた原子炉設置変更許可申請書の取り下げなどを経て、再稼働時期や安全性向上対策工事の不確実性が高まり、運転停止状況が一段と長期化する可能性が生じました。これにより将来の販売収益減少や工事費用増加が見込まれることから、同社は浜岡原発の原子力発電事業に係る固定資産などの回収可能価額を見直し、約3,049億円の減損損失(連結全体では3,051億3,100万円)と核燃料評価損653億3,900万円を計上しました。なお、減損損失の計上自体は帳簿価額の切り下げを行う会計処理であり、同額の現金流出を伴うものではなく、廃炉の決定を意味するものでもありません。

 巨額の特別損失に加え、本業の電力事業における収支悪化も顕著となりました。連結売上高は他社販売電力料の単価上昇や燃料費調整額の増加等により増収となったものの、電力販売数量そのものは減少しています。特に電力小売を担う中部電力ミライズは、セグメント経常損益が前年同期の956億円の黒字から1,038億円の赤字へ急悪化しました(悪化額約1,995億円)。ミライズの販売電力量は低圧が131億kWh(同7.6%減)、高圧・特別高圧が359億kWh(同11.8%減)となり、合計で同10.7%減の490億kWh(グループ合計では545億kWh、同9.9%減)に縮小しました。

 小売事業の採算悪化の背景には、燃料費変動が電気料金に反映されるまでの時間差に伴う「期ずれ影響」の反転と電源調達コストの増加があります。連結全体の期ずれ差損益は前年同期の約330億円の差益から約540億円の差損へと約870億円悪化しました。また中東情勢の緊迫化等による電源調達費用の増加(約1,000億円)も重なり、ミライズの期ずれを除いた実質的な経常損益も約588億円の赤字(前年同期は約956億円の黒字)に沈みました。連結経常利益も期ずれ影響を除いたベースで約950億円(前年同期は約1,632億円)と約41.8%の減益となっており、事業環境の厳しさが表れています。

 送配電事業を担う中部電力パワーグリッドも、エリア需要の減少に伴う託送収益の減少や需給調整費用の増加、物価上昇に伴う諸経費増が重なり、107億円のセグメント経常赤字(前年同期は269億円の黒字)となりました。一方、燃料事業や国内火力・ガス事業の収支が向上したJERAのセグメント経常損益は前年同期比71.5%増の1,348億円と大きく伸長し、連結の営業外収益(持分法投資利益1,321億円など)を通じてグループ全体の経常黒字確保を下支えしました。

 上期の業績悪化を受け、同社は2026年7月29日公表の2027年3月期通期連結業績予想を修正しました。燃料価格上昇による燃料費調整額の増加等を見込み、売上高予想は従来予想から3,000億円引き上げて4兆2,000億円(前期比18.4%増)へ上方修正しました。一方、ミライズの電源調達費増などを織り込んで経常利益予想を750億円引き下げて1,100億円(同62.2%減)に減額し、親会社株主に帰属する当期純損益予想は浜岡原発関連の特別損失(通期累計見込み約3,800億円)を反映して、従来の1,600億円の黒字から2,150億円の赤字(前期実績は2,277億円の黒字)へと3,750億円下方修正しました。

 2026年9月末の財政状態は、巨額の最終赤字計上などにより純資産が前期末比2,959億円減少し、自己資本比率は前期末の41.0%から2.5ポイント低下して38.5%となりました。厳しい財務環境に直面するものの、安定配当継続の基本方針に基づき、1株あたり中間配当は35円を決定し、期末配当予想35円を合わせた年間配当予想(70円、前期実績と同額)は据え置いています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)