コメ在庫、前年比70万トン増の162万トン 備蓄米59万トン放出から「21万トン買い戻し」へ

2026年09月20日 13:32

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2026年7月末のコメの民間在庫は162万トンと、前年同月から70万トン増加。政府は備蓄米約59万トンを放出した一方、備蓄水準の回復に向け21万トンの買い戻しを進める。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

農林水産省が公表した最新資料によると、2026年7月末時点の民間在庫は162万玄米トンとなり、前年同月の92万トンから70万トン増加して「最も高い在庫水準」を記録しました。在庫率も前年の13%から23%へと上昇しています。一方、コメ不足への対応として政府が市場に売り渡した備蓄米は、計約59万トンが販売・使用を完了しました。政府は減った備蓄水準を着実に回復させるため、令和7年産米21万トンの買い戻しを進める方針を示しています。さらに2026年産主食用米等の生産量は735万~754万トンが見込まれ、2027年6月末の民間在庫は買い戻し後でも246万~283万トンにのぼると推計されています。「不足→備蓄米放出→在庫増→備蓄米買い戻し」という1年間の需給の変化を、農水省のデータからたどります。

本文
 コメの供給不安や店頭での品薄が社会的な問題となり、政府が備蓄米の放出に踏み切ってから状況は大きく様変わりしました。農林水産省が公表した最新の「米に関するマンスリーレポート(2026年9月号)」によると、2026年7月末現在の民間在庫量は162万玄米トンに達しました。前年同月の92万トンから70万トン増加し、同省の資料において「最も高い在庫水準」と明記される水準となっています。民間在庫率も前年の13%から23%へと上昇しました。流通段階別で見ても、出荷段階が60万トンから117万トンへ、販売段階が32万トンから45万トンへとおのおの前年を大きく上回って積み上がっています。

 店頭でコメ不足が問題となっていた状況から、なぜこれほど短期間で在庫が膨らんだのでしょうか。その背景には集荷・契約の増加と販売量の落ち着きという実態があります。令和7年産米の2026年7月末時点における累計データを集計すると、出荷業者の集荷数量は269.5万トン(前年同期比26.3万トン増)、契約数量は260.6万トン(同14.9万トン増)と堅調に伸びました。一方で、実際に卸売業者等に引き取られた販売数量は170.6万トンと、前年同期から23.4万トン減少しています。集荷・契約が前年を上回る一方、販売数量は前年を下回っており、出荷段階に米が多く残る状況が数字にも表れています。なお、2025年3月以降の民間在庫には市場へ売り渡された政府備蓄米が含まれている点も考慮する必要があります。

 この間、政府の備蓄米政策も急展開を見せました。供給不足への緊急対応として政府が市場へ売り渡した備蓄米は、買戻し条件付き売渡しが約31万トン(契約ベース)、随意契約による売渡しが約28万トン(申込確定ベース)の計約59万トンに達し、ともに全量の販売・使用が完了しました。そして現在、政府は備蓄水準の回復に向け、昨年度に買入れを中止した数量に相当する令和7年産米21万玄米トンの買い戻しを進めるとしています。品薄に対応して備蓄米を放出した局面から、今度は供給不足や急激な需給変動を避けつつ、備蓄水準の回復を進める局面へと移っています。

 さらにここへ、2026年産の新米供給が加わります。農水省がまとめた8月15日現在の10アール当たり収量見込み(対平均比)では、「やや上回る」が24道府県、「平均並み」が19都県、「やや下回る」が3県となり、「下回る」と予測された地域はありません。これらを基に算出された2026年産主食用米等の生産量は、735万~754万トン(中央値745万トン)と見込まれています。この生産見通しと6月末の民間在庫を足し合わせた供給量から需要量を差し引くと、2027年6月末の民間在庫量は、政府による21万トンの買い戻しを考慮した上でも246万~283万トン(中央値264万トン)と試算されています。こうした生産・在庫見通しが示される中、政策面では不足への対応に加え、今後の需給をどう安定させるかも焦点となっています。

 農水省は備蓄米21万トンの買い戻しを進めるほか、長期計画的な販売支援(32万トン)や民間備蓄実証事業(6万トン)など、計38万トン規模の需給安定策も提示しています。1年前の供給不安と、在庫162万トンとなった現在の状況は、どちらか一方の数字だけで評価することはできません。約59万トンの備蓄米放出を経て民間在庫が70万トン増加し、政府が21万トンの買い戻しを進める中で、735万~754万トンの新米が市場に流れていく。この一連の数値推移を踏まえ、今後は在庫水準と新米の供給を見ながら、需給と価格の安定をどう図っていくのかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)