ナフサ分解炉、アンモニア混焼率85% 試験炉で達成、100%専焼目指す

2026年09月17日 16:23

プラントイメージ

ナフサ分解炉など石油化学プラントの加熱設備を表したイメージ。NEDOなどは試験炉で、炉全体のアンモニア混焼率85%(熱量基準)を達成し、炉全体での100%専焼を目指している(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と三井化学、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーは9月17日、プラスチック原料などを製造するナフサ分解炉を想定した実証用の試験炉において、炉全体のアンモニア混焼率85%(熱量基準)による運転に成功したと発表しました。主要な熱供給を担う床バーナでアンモニア100%専焼を達成し、課題となる窒素酸化物(NOx)の排出量も既存設備と同水準に抑えました。次のステップとして壁バーナにもアンモニアを適用し、炉全体でのアンモニア100%専焼を目指すとともに、商用規模のナフサ分解炉への適用に向けた技術開発と実証を進めます。

本文
 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と三井化学、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーの4社は2026年9月17日、石油化学製品の基幹設備であるナフサ分解炉を模した実証用試験炉において、熱量基準で炉全体の85%にあたる燃料をアンモニアに置き換えた混焼運転に成功したと発表しました。

 今回の技術成果において鍵となるのは、85%という数字の意味と、炉を構成するバーナごとの役割分担です。ナフサ分解炉には主要な熱量を供給する「床バーナ」と、火炎形状や炉内の温度分布を精密に調整する「壁バーナ」が備わっています。今回の実証運転では、熱供給の主体である床バーナにおいてアンモニア100%による専焼を実施しました。一方で壁バーナには、ナフサ分解炉オフガス(メタン)を100%使用しました。これらを組み合わせた結果として、試験炉全体で熱量基準85%という高いアンモニア混焼率が達成された仕組みです。

 燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアは、産業加熱プロセスの脱炭素化を担う次世代燃料として期待されています。しかし、アンモニアはメタンに比べて燃焼速度が小さく、燃料由来のNOx(窒素酸化物)が発生するため、火炎の安定とNOx排出抑制を両立することが技術的な課題となっていました。

 今回の試験ではアンモニア燃料の混焼率を段階的に引き上げ、炉全体で熱量基準85%のアンモニア混焼率を達成しました。さらに、懸念されたNOx排出量についても既存設備と同水準であることを確認しました。なお、今回の発表主体の4社調査によると、ナフサ分解を目的としたアンモニア燃料の試験炉運転における混焼率85%(熱量基準)は、2026年8月時点において「世界最高水準」の達成度となるとしています。

 製造業の脱炭素化において、ナフサ分解炉の燃焼改善は極めて重要な意味を持ちます。ナフサ分解炉は、原油から得られるナフサを高温で熱分解し、プラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの出発原料となるエチレンやプロピレンといった基礎化学品を製造する設備です。石油化学コンビナートにおける最大のCO2排出源の一つとされており、従来燃料として使用してきた副生メタンを主成分とするオフガスから、燃焼時にCO2を排出しないアンモニア燃料へ転換することで、燃焼由来のCO2排出量の大幅な削減が期待されています。

 ただし、今回の85%達成はあくまで実証用試験炉での成果であり、商用プラントや実炉で85%運転や100%専焼が完了したわけではありません。開発陣は次の段階として、これまでオフガス(メタン)を用いていた壁バーナ側へのアンモニア適用を進め、最終的には炉全体でのアンモニア100%専焼技術の確立を目指します。さらに、その成果を実際の商用規模のナフサ分解炉へ適用し、技術開発と実証を重ねていく計画です。

 本取り組みは、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」の一環として、2021年度から2030年度までの予定で進められている研究開発プロジェクトです。今後は、壁バーナへのアンモニア適用と、商用規模のナフサ分解炉への適用に向けた技術開発・実証が焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)