今回のニュースのポイント
公正取引委員会は9月28日、関東地区のマンション管理組合が発注する大規模修繕工事を巡り、施工業者と設計コンサル業者が受注予定者を事前に決めるなどして競争を制限していたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令と課徴金納付命令を出しました。違反事業者は施工業者と設計コンサル業者を合わせて実数42社(延べ57社)、課徴金納付命令の対象は実数37社(延べ50社)となり、課徴金総額は16億3788万円に上ります。設計コンサル業者が管理組合から入手した「設計予算(発注予定金額)」を施工業者側へ提供するなど、設計コンサル業者が関与した受注調整が認定されました。国土交通省も同日、管理組合向けに相談窓口や発注時の留意点を周知しました。
本文
公正取引委員会は9月28日、関東地区(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県)に所在するマンションの管理組合が発注する大規模修繕工事において、施工業者と設計コンサル業者が事前に受注予定者を決定するなどして競争を実質的に制限していたとして、独占禁止法に基づき排除措置命令および課徴金納付命令を行いました。対象となったのは、管理組合が設計コンサル業務をリノシスコーポレーションまたは翔設計に委託した大規模修繕工事です。違反事業者は施工業者と設計コンサル業者の延べ57社、重複を除く実数で42社となります。排除措置命令の対象は実数38社(延べ51社)、課徴金納付命令の対象は実数37社(延べ50社)となり、課徴金総額は16億3788万円に達します。納付期限は2027年4月30日となっています。
公取委の認定によると、リノシス関連では施工業者36社と同社、翔設計関連では施工業者19社と同社が、それぞれ工事ごとに受注協力関係を構築して受注調整を行っていました。受注予定者は設計コンサル側との協議などを経て、見積り合わせ等に参加する施工業者が管理組合に提示する見積価格などを決定していました。受注予定者以外の施工業者は、依頼に応じて連絡された見積価格をそのまま管理組合へ提示するか、見積り合わせ自体に参加しないことで、受注予定者が受注できるよう協力していました。
今回の処分で極めて重要なのが、管理組合側を支援すべき設計コンサルの関与構造です。国土交通省によると、近年のマンション大規模修繕工事では、管理組合が専門知識を持つ設計コンサルタントに調査・設計や工事業者の選定支援などを委託する「設計・監理方式」が多く採用されています。公取委の認定によると、両社は設計コンサル業務の過程で入手した「設計予算(管理組合が決定する大規模修繕工事の発注予定金額)」などの情報を受注予定者へ提供し、受注予定者の意向を踏まえて業務を行っていました。管理組合の発注予定金額を知り得る設計コンサル業者が、その情報を受注予定者側へ提供して受注調整に関与していた構造が明らかになりました。
なお、公取委は審査過程において、設計コンサル側が施工業者へ発注情報を提供し、当該施工業者が工事を受注した場合に、工事請負契約金額の一定割合に相当する「手数料等」が施工業者から設計コンサル側へ支払われていた事実も確認しました。公取委はこの手数料支払そのものを今回の独禁法違反と認定したわけではありませんが、提供される情報内容によっては競争をゆがめるおそれがあるとし、関係する3事業者団体に対し会員への周知徹底などを申し入れました。
この公取委の処分を受け、国土交通省も同日、関係団体を通じてマンション管理組合や区分所有者に対する相談窓口や発注時の留意点を周知しました。設計・監理方式を採用する際は、設計コンサルの中立性を確保し、適正な手続きで施工会社を選定するよう求めています。同省は談合の防止を図る観点から、請負契約時に談合が認められた場合に受注者が違約金を支払う「談合違約金特約条項」の設定が可能であることも改めて提示しました。国交省直轄工事では代金額の10%(首謀者の場合はさらに5%加算)を基本規定としていますが、マンション修繕向けにも請負代金額の一定割合を違約金とする特約条項例を示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













