シンガポールで670MW発電所着工、12億Sドル投資 PacificLightの発電能力70%増

2026年09月29日 07:12

発電設備イメージ

大規模なコンバインドサイクル・ガスタービン発電設備と蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)を組み合わせた電力インフラのイメージ。PacificLightはシンガポール・ジュロン島で670MWの新発電所を建設し、2029年の運転開始を予定している(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

シンガポールの独立系発電事業者(IPP)大手PacificLight Powerは9月28日、ジュロン島で出力670メガワット(MW)のコンバインドサイクル・ガスタービン(CCGT)発電所の起工式を開催しました。投資額は12億シンガポールドル(Sドル)。PacificLightによると、完成すれば同国で最大かつ最も効率の高い単一発電ユニットとなります。シンガポール政府は、今回の新設により同社の総発電能力が70%増えるとしています。大規模蓄電池(BESS)を発電設備に併設した同国初のCCGT発電所で、運転開始時から体積比最大30%の水素混焼に対応し、将来的な100%水素への移行を目指します。運転開始は2029年を予定しています。

本文
 シンガポールの発電大手PacificLight Powerの100%子会社であるPLM Powerは9月28日、同国西部のジュロン島において、出力670メガワット(MW)のコンバインドサイクル・ガスタービン(CCGT)発電所の建設に着工しました。総投資額は12億シンガポールドル(Sドル)に上ります。同社の9月28日の発表によると、2029年予定の運転開始時には、同国の一般的な4部屋タイプ(4-room)の公営住宅最大120万戸分に相当する電力を供給できる規模となります。同社は本設備について、完成すればシンガポールで最大かつ最も効率の高い単一発電ユニットになるとしています。

 シンガポール政府によると、今回の新発電所の建設により、PacificLightの総発電能力は70%増加します。同社はジュロン島で既存の830MWのCCGT発電所に加え、電力需給が逼迫した際などに迅速に稼働する100MWの高速起動バックアップ設備(Fast Start Ancillary Services)を運用しています。今回の670MWの新発電所は、今後シンガポールで拡大が見込まれる電力需要に対応する新たな大規模電源となります。

 背景には、同国における中長期的な電力需要の拡大があります。シンガポール貿易産業省によると、同国のピーク電力需要は今後より速いペースで増加する見通しであり、その要因として先端製造業やデジタル経済、AI(人工知能)の急速な台頭、交通分野の電動化などを挙げています。政府は、将来の経済成長を支えるため、必要な規模と速度で電力を供給できるよう、新たな発電能力への投資を続ける必要があるとしています。

 新発電所の大きな特徴として、大規模な蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)を発電設備に一体化させることが挙げられます。PacificLightによると、ガスタービン設備に大規模BESSを組み合わせた発電所はシンガポールで初となります。BESSを併設することで電力需給の調整や系統のレジリエンス(復元力)向上につなげます。また、環境負荷低減の観点から、稼働当初から体積比で最大30%の水素を混焼できる設計を採用しており、将来的な100%水素への移行を目指す方針です。

 なお、本発電所の設計・調達・建設(EPC)は、三菱重工業の電力ソリューションブランドであるMitsubishi Powerと、シンガポールのJurong Engineeringによるコンソーシアムが担当します。同国では先端製造業やデジタル経済などに伴う電力需要の拡大に対応しながら、脱炭素化へ向けたエネルギーインフラの移行を加速させる取り組みが進められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)