AIを活用した製造現場の自律化のイメージ。日立製作所と独Agile Robotsは、熟練作業者の暗黙知を学習するAIモデルと汎用AIモデルなどを融合し、ロボットの「頭脳」となるAIモデルを共同開発する(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
日立製作所は29日、AIロボティクス技術を手掛けるドイツのAgile Robots SEと、ロボットの「頭脳」となるAIモデルを共同開発する協創パートナーシップに基本合意しました。日立が開発してきた熟練作業者の暗黙知を短期間で学習するフィジカルAIモデルと、Agile Robotsが幅広い産業で持つ汎用AIモデルを融合します。さらに日立のエッジAI半導体とAgile Robotsのロボティクス技術を組み合わせ、現場の状況を自ら認識・判断して柔軟に行動する次世代の自律型製造現場の実現を目指します。
本文
株式会社日立製作所は29日、AIロボティクスソリューションプロバイダーである独Agile Robots SE(本社:ミュンヘン)と、製造現場でロボットの「頭脳」となるAIモデルを共同開発する協創パートナーシップに基本合意したと発表しました。これまで人の熟練技能や判断に依存してきた複雑な生産工程をAIに学習させ、ロボットが実世界を認識・判断し、柔軟に行動するためのAIモデルを強化し、製造現場に実装可能なフィジカルAIへの進化を目指します。
製造業の現場では、あらかじめ設定した条件に従って決まった動作を繰り返す「自動化」が普及しています。一方で、部品の取り扱いや設備への供給、加工・組み立て、工程切り替え、工程間搬送といった作業では、対象物や現場状況の変化に応じた判断が必要となるため、固定的な自動化設備での対応が困難でした。ピッキングやラインの段取り替えなどは依然として人手に大きく依存しており、状況の変化を自ら認識して制御する「自律化」への移行が課題となっています。
今回の合意に基づき、日立は複雑な作業を行う熟練作業者の暗黙知を短期間で習得するフィジカルAIモデルを提供します。これに、自動車製造、ヘルスケア、データセンターなど幅広い産業の生産プロセスで実績のあるAgile Robotsの汎用AIモデルを融合させ、ロボットが実世界を認識し柔軟に行動するための新たなAIモデル(頭脳)を開発します。
さらにハードウェア・制御技術の面では、日立が開発したエッジAI半導体とAgile Robotsのロボティクス技術を組み合わせます。視覚や触覚に相当する情報を高速かつ低消費電力で処理することで、ロボットが変化する現場環境をリアルタイムに認識し、自律的かつ柔軟に行動できるようにするとともに、安全で柔軟なロボットの実用化を加速する考えです。
共同開発パートナーであるAgile Robotsは、2018年にドイツ航空宇宙センター(DLR)の研究者らによって設立されました。ロボットアームや自律移動ロボット、ヒューマノイドロボット「Agile ONE」、AIソフトウェアプラットフォーム「AgileCore」などを展開しています。日立の発表によると、同社は3,500名を超えるAI・ロボティクス人材を抱え、世界で20,000件以上のソリューション導入実績を持つほか、650件以上の特許を出願しています。
日立は今回生み出すAIロボティクスの頭脳に、産業ごとの現場知識(ドメインナレッジ)を学習させ、自社が注力する次世代ソリューション群「HMAX Industry」としてグローバルに展開する方針です。日立幹部は、ロボット単体の知能化にとどまらず、工場全体の自律化を実現するフィジカルAIを世界の現場へ実装していく考えを示しています。
決められた動作を正確に繰り返す自動化から、現場の変化を認識して判断する自律化へ、製造現場の技術開発が進んでいます。日立は自社のOT(制御・運用技術)の知見、フィジカルAIモデル、エッジAI半導体と、独社のロボティクス技術を融合させ、人手に頼っていた工程へのフィジカルAI実装を進める方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













