カナダ、設備投資の即時償却を拡大 対象資産割合15%から65%超へ

2026年10月04日 08:02

カナダイメージ

製造設備やデジタルインフラ、鉄道、エネルギー、鉱業など幅広い分野への投資をイメージ。カナダ政府は、即時償却の対象となる資産割合を約15%から65%超へ拡大し、企業の設備・技術投資を税制面から後押しする(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

カナダ政府は10月2日、企業による新設備や新技術への投資を促す新たな制度「Productivity Mega Deduction(生産性メガ控除)」を発表しました。対象となる資産について、取得後すぐに費用として控除できる即時償却の対象資産割合を従来の約15%から65%超へ大幅に拡大し、初年度に全額控除できる仕組みを恒久化します。カナダ政府は本税制措置に加えて、今後5年間で約2800億カナダドルの政府資本投資および第三者向けインセンティブを通じ、官民・機関投資を合わせて1兆カナダドル超の総投資を可能にすると見込んでいます。

本文
 企業に直接補助金を配るだけでなく、設備投資をした際の税務上の費用化を早めることで民間資金の投入を促す――。カナダ政府が、企業の投資判断を後押しするための新たな税制インセンティブを打ち出しました。

 カナダ政府は10月2日、企業の生産性向上と成長を目的とした「Productivity Mega Deduction(生産性メガ控除)」を発表しました。

 通常の税制では、工場設備や機械などの減価償却資産を購入した場合、その取得費用を複数年にわたって分割し、毎年の費用として控除します。これに対し即時償却は、設備が利用可能になった最初の年に投資全額を税務上の費用として控除できる仕組みです。企業にとっては税務上の費用化を早められるメリットがあります。

 今回の決定で最も大きな変化は、即時償却の対象となる資産の割合です。従来、即時償却が認められていた資産の割合は全体の約15%にとどまっていましたが、新制度ではこれを65%超へ一気に拡大します。さらに政府は、即時償却を恒久化することで、企業が大規模な投資判断を行うための長期的な確実性を高めるとしています。

 制度の対象となる資産も、特定の工場設備にとどまりません。光ファイバー網やコンピューター設備、ソフトウェア、研究開発(R&D)、特許といったデジタル・技術分野から、温室などの農業施設、さらには鉱山関連資産、石油・天然ガスのパイプライン、鉄道軌道、橋、道路といった社会・産業インフラまで、極めて広範な投資がカバーされます。

 カナダ政府の説明によると、今回の措置によって新規事業投資における同国の限界実効税率は約13%から6.4%へと引き下げられます。政府はこの水準について、主要経済国の中で最も低く、米国の半分未満になると説明しています。

 またカナダ政府は今回の税制措置に加え、今後5年間の政府による資本投資や第三者向けインセンティブを合わせて約2800億カナダドルとし、これらによって公共・民間・機関投資を合わせた1兆カナダドル超の総投資が可能になるという見通しを示しました。

 カナダ政府は本政策について、エネルギー、重要鉱物、高度人材、さらには自由貿易協定を通じた国際市場へのアクセスといった自国の強みを活かし、民間企業による新技術導入や事業拡張、雇用創出を加速させるものと位置づけています。

 一律の法人税率引き下げや個別の直接補助金とは異なり、実際に設備や技術へ投資を実行した企業に対して、その費用化を前倒しする税金面での優遇を与える今回の政策。「何を買い、いつ投資するか」という企業の意思決定を税制によって後押しするカナダの試みは、政府と民間投資の関係性を考える上でも注目される動きです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)