量子向けフォトニクス部品の工業化を支える300mm半導体製造ラインを概念的に表したイメージ。XanaduはGlobalFoundriesとの提携を通じ、研究室規模の試作から工業レベルの生産への移行を進める(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
カナダの量子コンピューター開発企業Xanadu Quantum Technologiesと米主要半導体ファウンドリのGlobalFoundries(GF)は、複数年の戦略的提携を締結したと発表しました。Xanaduが保有する量子向けフォトニクス技術の一部を、GFのニューヨーク州マルタにある300mm半導体製造ラインへ移管し、研究室規模の試作から工業レベルの生産への移行を進めます。実用規模の量子コンピューティングに必要となる部品の大量生産に対応する狙いです。
本文
カナダのフォトニック量子コンピューティング大手であるXanadu Quantum Technologiesと、米主要半導体受託製造企業(ファウンドリ)のGlobalFoundries(GF)は10月6日、複数年の戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。Xanaduが開発してきた量子向けフォトニクス技術の一部を、GFのニューヨーク州マルタ工場にある300mm半導体製造ラインへ移管し、工業レベルの生産に向けた製造基盤の構築を進めます。
今回の提携において、技術移管の初期対象となるのは同社の量子技術の中核をなす2つの主要コンポーネントです。1つ目は、光子(光の粒子)を信号損失を抑えて導く「超低損失窒化シリコン(SiN)フォトニクス」であり、量子計算における「光を運ぶ回路」として機能します。2つ目は、光パルスに含まれる光子の数を正確に判別・検出する「超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)」であり、量子計算の結果を読み出すセンサーの役割を果たします。
光子を情報の担い手として用いるフォトニック量子コンピューターでは、光子数を正確に捉えて計算結果を解読することが不可欠です。Xanaduは、SNSPDを300mm製造ラインへ導入して工業化を図ることで、システムの動作速度の向上や、将来的な実用規模のシステム構築に必要なチップへの負担軽減を期待しています。同社は今回の300mmラインへの技術移管について、従来の研究室規模での試作段階から、既存の商用半導体インフラを活用した工業レベルの生産への重要な転換点と位置付けています。
両社はSiNフォトニクスとSNSPDの移行にとどまらず、高性能な量子モジュールに関する追加開発も検討しています。今回構築する製造基盤は、Xanaduが今後開発する耐故障型(エラー耐性を持つ)量子コンピューターの実証機を支え、長期的には将来の量子データセンター向けハードウェア基盤へつなげる構想です。
今回の提携の背景には、量子半導体の受託製造を事業化しようとするGF側の積極的な戦略が存在します。GFは2026年5月、量子企業向けに商用半導体ラインを提供して実用規模への移行を支援する専門事業「Quantum Technology Solutions(QTS)」の立ち上げを発表していました。さらに同年9月には、米商務省のCHIPS研究開発局との間で、QTS事業の拡大などを目的に5年間で最大3億7,500万ドルの研究開発(R&D)支援を受ける正式契約を締結しています。支援は所定のマイルストーン達成に応じて供与される枠組みであり、今回のXanaduとの協業も、こうしたGFの量子製造事業の展開に位置付けられます。
XanaduはGFの300mm製造基盤を活用し、研究環境で培ったフォトニクス技術の一部について工業レベルへの移行を進めます。耐故障型量子コンピューターの実証機を支える製造基盤として確立させ、長期的には将来の量子データセンター向けハードウェア供給へつなげていく考えです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













