景気ウォッチャー、現状判断5か月連続改善も先行きは低下 サービス好調、住宅需要に弱さ

2026年10月08日 16:08

画・景気動向・見通し、大幅下振れ。オミクロンとウクライナ情勢で。昨年夏レベルに後退。

街を行き交う人々。内閣府が発表した9月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが5か月連続で上昇した一方、先行き判断DIは前月から低下した。サービス関連の改善と住宅関連の弱さなど、街角の景況感には分野ごとの差がみられる。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

内閣府が10月8日に発表した9月の景気ウォッチャー調査では、街角の景況感を示す現状判断DI(季節調整値)が前月比0.6ポイント上昇の47.0となり、5か月連続で改善しました。インバウンドを含む観光やサービス需要の底堅さが押し上げ要因となりました。一方で、2〜3か月先を見通す先行き判断DIは前月比0.9ポイント低下の47.4となり、前月までの上昇から低下に転じました。現状・先行きともに好悪の分岐点である50を下回って推移しており、サービス好調の一方で住宅関連の落ち込みや物価高による節約志向、先行きへの慎重姿勢が残るなど、景況感の持ち直しには面的な偏りがみられます。

本文
 内閣府は2026年10月8日、街角の景況感を反映する9月の景気ウォッチャー調査結果を公表しました。3か月前と比較した現状判断DI(季節調整値)は、前月比0.6ポイント上昇の47.0となり、5か月連続で改善を示しました。一方で、2〜3か月先を見通す先行き判断DI(季節調整値)は前月比0.9ポイント低下の47.4となり、前月から低下しました。現状判断の改善傾向が続いたものの、現状および先行きの双方が景況感の好悪の分岐点となる50を下回る水準で推移しており、足元の持ち直しの動きが広範囲な楽観論へとは広がっていない実態が浮き彫りとなっています。

 家計動向関連の現状判断DIは前月比1.3ポイント上昇の46.8となり、全体を牽引しました。しかし、その内訳をみると分野ごとの明暗が大きく分かれています。旅行やレジャーなどを含むサービス関連の現状DIは前月比3.7ポイント上昇の50.5となり、分岐点である50を上回る水準まで回復しました。また、小売関連は0.8ポイント上昇の45.5、飲食関連は0.5ポイント上昇の46.7と、それぞれ前月を上回りました。これに対して住宅関連の現状DIは前月比5.8ポイントの大幅低下となる40.3へ急落しました。サービス関連の景況感が改善する一方、住宅関連の判断は大きく低下しており、家計動向の内部でも明確な温度差が生じています。

 景気の現場から寄せられた声においても、需要の強さと生活の厳しさが同居する状況が提示されています。北海道の旅行代理店からは、国内航空便の高い搭乗率や好調な帰省需要が報告されており、訪日需要の構造変化を背景に全体として前年を上回る実績が示されています。また、東北の観光名所からは、9月の入館者数が前年比125%に達し、同月の連休期間として過去最多を記録したとの回顧が得られました。一方で、日常の購買現場である北海道のスーパーからは、賃上げが長引く物価上昇に追いついておらず、生活の厳しさを訴える顧客の声が絶えないとの現状が報告されています。観光やレジャーへの支出が維持される一方で、日常的な生活防衛意識の強まりが指摘されています。

 企業活動と雇用の動向においては、対照的な動きが観察されました。企業動向関連の現状判断DIは前月比1.1ポイント低下の47.1となりました。内訳では製造業が1.5ポイント低下の47.3、非製造業が1.1ポイント低下の46.9となり、企業動向関連の景況感は前月より慎重な水準となりました。これに対して雇用関連の現状判断DIは前月比0.2ポイント上昇の49.0となり、小幅ながら改善傾向を示しました。企業側の景況感がやや後退するなかでも人手不足感を背景とした求人需要が根強く存在しており、企業の事業環境への見解と雇用環境の評価との間に一定の乖離がみられます。

 全国12地域における現状判断DI(季節調整値)をみると、7地域で上昇し、5地域で低下しました。地域別の変動幅には大きなバラつきがみられます。上昇幅が最も大きかったのは沖縄で、前月比7.4ポイント上昇の56.2へと急改善しました。北海道も3.6ポイント上昇の50.5となり、沖縄とともに50を上回りました。これに対し、下落幅が最大となったのは甲信越で前月比3.4ポイント低下の49.3となり、近畿も1.9ポイント低下の44.1と振るいませんでした。全国平均の指標だけでは推し量れない地域固有の産業構造や需要動向の違いが、街角の景況感に直接的な影響を及ぼしています。

 先行き判断DIは前月比0.9ポイント低下の47.4となり、今後の不透明感に対する警戒が広がっています。構成する3分野のすべてで低下がみられ、家計動向関連が1.0ポイント低下の47.0、企業動向関連が1.3ポイント低下の47.8、雇用関連が0.2ポイント低下の48.4となりました。家計動向の内訳では、飲食関連が前月比3.8ポイント低下の43.9、サービス関連が2.7ポイント低下の48.5、住宅関連が1.2ポイント低下の41.0となりました。なお、小売関連は前月比0.3ポイント増の47.3と小幅に上昇しています。足元で50を超えたサービス関連の現状判断から一転して先行き判断が再び48台へ低下するなど、先行きの需要持続性に対する現場の慎重な姿勢が浮き彫りとなっています。

 内閣府は今回の調査結果を受け、景気の現状判断について「持ち直しの動きがみられる」との見解を提示しました。先行きについては、中東情勢をはじめとする国際情勢の不透明感や自然災害による影響への懸念を挙げつつも、持ち直しの傾向が続くとの見方を示しています。今回の調査は全国12地域の景気に敏感な職種2050人を対象に実施され、有効回答数は1793人、有効回答率は87.5%でした。街角の景況感は観光・サービス関連の底堅さに支えられて現状の改善が続くものの、住宅需要の落ち込み、企業活動の伸び悩み、物価高による生活圧迫感が重荷となっています。今後は、足元のサービス需要の好調さが景気全体へどこまで波及し、先行きの慎重な見通しを解消できるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)