インドネシアのスラウェシ島・マルク諸島で計画されているLNG供給網のイメージ。東京ガスグループは現地企業の買収を通じて事業開発に参画し、ハブ1地点を起点に小型LNG船で5地点へインドネシア産LNGを輸送する構想を進める。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
東京ガスは2026年10月8日、100%出資子会社の東京ガスアジアとともに、インドネシア企業のPT AGP Indonesia Utama(AGPIU)の全株式を取得し、同社が推進するLNGインフラ事業の開発検討に参画したと発表しました。本事業は、スラウェシ島およびマルク諸島の計6地点(ハブ1地点、供給先5地点)を対象とし、小型LNG船を活用して国営電力PLNグループの発電所へインドネシア産LNGを供給する構想です。事業会社(SPC)への出資比率はAGPIUが35.01%、PLN EPIが30%、SBSが34.99%となり、東京ガスグループはAGPIUを通じて本事業へ参画します。発電燃料を従来の輸入ディーゼル燃料から国内産LNGへ転換することで、CO₂排出量の削減や輸入燃料依存度の低減、燃料コストの削減を目指します。
本文
大手都市ガスの東京ガスは2026年10月8日、100%出資子会社の東京ガスアジアとともに、インドネシア企業であるPT AGP Indonesia Utama(AGPIU)の全株式を取得し、同社が推進するLNGインフラ事業の開発検討に参画したと発表しました。現地企業の買収手続きは完了しているものの、本事業自体は今後の開発検討を進める段階に位置づけられています。対象地域は人口増加と電力需要の拡大が見込まれるインドネシアのスラウェシ島およびマルク諸島であり、同地域における持続可能なエネルギー供給体制の構築に向けた取り組みを開始します。
本事業の計画対象は、スラウェシ島とマルク諸島に位置する計6地点の拠点です。6地点はハブとなる1地点と、小型LNG船による供給先となる5地点で構成されています。整備する設備としては、浮体式設備1隻、陸上設備6基、小型LNG船1隻を想定しています。ハブ拠点を起点に小型LNG船が残る5地点の供給先を巡回し、インドネシア国営電力会社PLNグループが所有および操業する発電所に対して、同グループが自ら調達するインドネシア産LNGを届ける供給網を構築する構想です。現時点では事業開発の検討段階であり、供給の開始や商業運用が始まっているわけではありません。
本事業を進める事業会社(SPC)の出資構造は、AGPIUが35.01%、PT PLN Energi Primer Indonesia(PLN EPI)が30%、PT SUASA BENUA SUKSES(SBS)が34.99%となっています。AGPIUの株式は東京ガスアジアが99%、東京ガス本体が1%を保有しており、東京ガスグループとして全株式を取得しています。東京ガスグループはAGPIUを通じてSPCへ出資する構造であり、事業会社全体を単独で保有するわけではありません。共同で参画するPLN EPIは国営電力PLNグループで発電用燃料の調達やサプライチェーン管理を担い、SBSはエネルギー関連船舶の手配や運航管理を手掛ける企業です。
本事業の最大の目的は、各地の発電所で用いられている発電燃料を従来の輸入ディーゼル燃料からインドネシア産LNGへと転換することにあります。燃料を国内産のLNGへ切り替えることにより、発電に伴うCO₂排出量の削減を図るとともに、海外からの輸入燃料への依存度を引き下げ、さらに燃料コストの低減を同時に目指す方針です。ただし、具体的なCO₂削減量や削減率、燃料費の削減規模などの詳細データは公表されておらず、これらは今後の事業推進において目指していく効果・目標として位置づけられています。
背景には、インドネシア政府が掲げるエネルギー安全保障の強化という重要政策が存在します。同国政府は国内で生産される国産LNGの積極的な利用を推進しており、今回のインフラ事業開発も政府の方針に沿った取り組みとなります。多数の島嶼で構成されるインドネシアにおいて、小型LNG船を活用してハブ拠点から複数の沿岸発電所へ効率的に供給する本事業のモデルについて、東京ガスは同様の仕組みが同国の幅広い地域へ展開されることを期待しています。
東京ガスグループは経営ビジョン「Compass2030」において「LNGバリューチェーンの変革」を主要戦略に掲げており、今回の参画も国内外の事業で培った知見を生かしたアジア地域でのインフラ事業拡大策の一環です。なお、今回の発表において、事業に関わる投資総額、浮体式や陸上設備の着工・完成時期、具体的なLNG供給開始時期、年間の予定供給量などは明らかにされていません。今後は共同参画各社との開発検討の進展と、設備整備計画の具体化が焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













