日銀調査、無担保コール取引が拡大 金融機関で長めの資金調達需要、短期市場の機能評価も改善

2026年10月09日 17:10

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日本銀行本店。日銀が2026年10月に公表した東京短期金融市場サーベイでは、無担保コール取引の残高が増加し、金融機関による期間の長い資金調達への関心が高まっていることが示された。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

日本銀行が2026年10月に公表した「東京短期金融市場サーベイ(26年8月調査)」によると、国内の短期金融市場において無担保コール取引の残高が増加し、金融機関の間で翌日物より期間の長い「ターム物」の資金調達需要が高まっていることが明らかになりました。日銀の国債買入れ減額や貸出増加支援資金供給の残高減少に伴い日銀当座預金残高の縮小が見込まれるなか、金融機関が調達手段の多様化や流動性指標の維持・改善を意識した取引を深めています。一方、市場参加者による短期金融市場全体の機能度評価は改善傾向にあり、金利のある環境下での市場構造の変化が窺えます。

本文
 日本銀行金融市場局が2026年10月に公表した「わが国短期金融市場の動向―東京短期金融市場サーベイ(26/8月)の結果―」によると、2026年7月末時点の国内短期金融市場では、資金調達残高が前年から減少した一方で資金運用残高が増加しました。無担保コール取引の拡大がみられたほか、金融機関が翌日物よりも期間の長いターム物で資金を確保する動きへの関心が高まりを見せています。今回の調査は主要な金融機関など381先を対象に2026年8月に実施され、回答率は100%でした。

 短期金融市場全体の動向を概観すると、資金調達サイドでは日銀による貸出増加支援資金供給の残高減少などに伴い、対日銀取引が減少したことが全体の調達残高を引き下げる要因となりました。担保を伴うレポ取引全体の残高はおおむね横ばいで推移しています。一方、資金運用サイドでは無担保コール取引などが前年から増加しました。今回の資金調達残高の減少について、日銀は主に貸出増加支援資金供給の残高減少に伴う対日銀取引の減少を挙げており、この結果だけをもって金融機関の資金繰り逼迫や信用不安を示すものと解釈することはできません。

 市場の中で特に取引の拡大が見られた無担保コール取引は、金融機関が相互に担保なしで短期資金を貸し借りする市場です。資金調達サイドでは都市銀行等や地方銀行などで残高が増加傾向を示しました。資金運用サイドでは、信託銀行や投資信託が主要な資金の出し手となり、調達側の需要に応じる形で取引残高が前年から増加しました。取引の期間別では、日々の資金管理に用いる翌日物取引だけでなく、1週間や1カ月といった翌日物より期間の長いターム物取引の活用が進んでいます。

 無担保コール取引におけるターム物は、取引残高全体の3割程度を占める規模となっており、今回の調査では特に1カ月を超える期間の取引が増加しました。業態別の動きとして、証券会社からは株高背景の株式在庫ポジション拡大に伴い、流動性指標を維持する目的で高めの金利水準であってもターム物での調達を増やしたとの指摘が聞かれました。また地方銀行などの間でも、流動性指標を意識した調達や、将来的な利用を見据えて1週間物などで試験的な取引を行う動きが報告されています。

 資金調達に対する先行きのニーズについても変化の兆しが示されています。日銀は国債買入れの減額や貸出増加支援資金供給の残高減少に伴い、日銀当座預金残高の先行き減少を見込んでいます。こうした環境変化を踏まえ、流動性管理目的で今後2年以内に利用する可能性がある調達手段を尋ねた設問では、無担保コール取引のターム物を挙げる回答が最も多くなりました。金融機関が特定の調達手段に依存せず多様なルートを確保しようとする姿勢が窺えますが、これは先行きの需要見通しであり確定した取引計画ではありません。

 一方、レポ市場では担保銘柄を指定しないGCレポの残高が減少したのに対し、特定銘柄を指定するSCレポの残高が増加しました。市場機能度評価では、全体で「高い」から「低い」を差し引いた超過幅が前年の19ポイントから24ポイントへ拡大しました。国債レポ市場では国債需給の緩和を背景に、意図した規模やレートで取引できているとの指摘があり、同超過幅は前年の24ポイントから29ポイントに拡大しました。一方、有担保コール市場では金利上昇に伴い担保不適格となる銘柄が増えた影響で17ポイントから7ポイントへ縮小しており、市場による明暗も生じています。

 今回のサーベイ結果は、2024年3月のマイナス金利政策解除以降、金利が存在する環境への移行に伴って短期金融市場の取引構造や資金調達手法が順応しつつある現状を示しています。無担保コール取引の拡大やターム物による資金調達の増加、短期金融市場全体の機能度評価の改善からは、金利環境の変化に伴い市場参加者の取引行動が変わりつつある様子が読み取れます。なお、本調査は2026年7月末時点のデータを対象としたものであり、足元の市場状況を直接示すものではない点には留意が必要です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)