片山財務相、食品消費税1%への引き下げと所得連動給付を説明 財源確保へ補助金・基金も徹底見直し

2026年10月10日 12:48

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首相官邸。政府は2026年10月9日、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、1%に引き下げる法案を閣議決定した。所得連動型の支援金制度も段階的に導入する方針。(写真は資料画像)

今回のニュースのポイント

政府は2026年10月9日、「消費税・支援金法案」を閣議決定し、片山財務大臣が記者会見でその骨子と財源確保策を説明しました。法案は2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を現行の8%から1%に引き下げるとともに、2027年度から所得に応じた「就業者負担軽減支援金」を先行導入する内容です。2029年度からは支援金を本格導入し、食品消費税率を元の8%に戻す制度設計となっています。片山大臣は財源について特例公債に頼らず確保する方針を示し、「日本版DOGE」の一環として補助金や2027年度末に残高約7兆円が見込まれる基金、租税特別措置の徹底見直しを進める考えを強調しました。

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 政府は10月9日、「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品にかかる消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」(通称・消費税・支援金法案)を閣議決定しました。同日の閣議後記者会見で片山財務兼内閣府特命担当大臣は法案の狙いを説明し、2027年4月1日から2年間に限り飲食料品の消費税率を1%へ引き下げるとともに、所得に連動した新たな給付制度を組み合わせて実施する方針を明らかにしました。あわせて、減税や給付に必要な財源については特例公債に頼らず、租税特別措置や補助金、基金の徹底的な見直しを通じて確保していく考えを強調しました。

 記者会見で片山大臣は、野党等との議論にも言及しつつ、中低所得者の税や社会保険料の負担を早期に軽減するという大枠の目的については共通認識を見出しやすかったと語りました。そのうえで、所得情報を精緻に把握して行う公平な給付制度の完全構築には一定の準備期間が必要となる背景を解説しました。従来の一律定額給付とは異なり公平できめ細かな給付を実現するため、制度基盤が整うまでの「つなぎ」として、短期間で準備できる飲食料品の消費税率引き下げと、現行の所得情報を活用した支援金の先行導入を組み合わせることが、支援の十分性と迅速性を両立する最善策であるとの政府側の見解を示しました。

■飲食料品の消費税1%、2029年には8%へ復帰

 法案では、2027年4月1日から飲食料品の消費税率を現行の8%から1%へ引き下げることとしています。対象は酒類や外食を除く飲食料品であり、消費税全体の税率を変更するものではありません。実施期間は2029年3月末までの2年間に限定されています。所得階層を問わず飲食料品の購入にかかる税負担を一律に減らす措置であり、事業者のシステム改修期間などを考慮して2027年4月からのスタートが設定されています。

 この消費税率引き下げと併行し、2027年度に先行導入する方針が示されているのが「就業者負担軽減支援金」です。飲食料品の消費税1%相当分の範囲内で、現時点で公的機関が保有する所得情報を活用し、中低所得の現役勤労者を主な対象として所得に応じた負担軽減を図ります。2027年度からの先行導入期には高所得の配偶者がいる場合の例外措置を設けないほか、子育て世帯への加算対象を15歳以下の子どもとするなど経過的な運用が行われます。一律の現金給付とは異なり、勤労者の所得に応じた手厚い支援を先行して届ける設計です。

 2年の経過期間を経た2029年4月からは、支援金制度の「本格導入」へ移行します。片山大臣の説明によると、2029年4月からは18歳以下の子どもの人数に応じた加算や高所得の配偶者がいる場合の一定の例外措置などを反映したきめ細かな所得連動型給付を本格導入する方針です。これとあわせて飲食料品の消費税率を元の8%へと戻します。本格制度では給与所得者だけでなく個人事業者やフリーランス、単身者、さらには現役並みの純負担がある高齢者も対象に含まれます。なお、この2029年度からの制度は、本格的な「給付付き税額控除」の導入に向けた第一歩と位置付けられており、将来的な税制・社会保障の一体改革へつなげる構想です。

■所得連動型給付、対象外となる人への対応が課題

 一方で、政府の制度設計においては給付の対象外となる人々への配慮も課題として挙げられています。病気や障害などにより就労が困難な人に対しては、生活困窮者自立支援制度や障害者福祉など既存の社会保障制度を通じた対応が検討されています。また、就労していない高齢者に関しても、年金制度や生活保護といった既存制度との関係を整理し、制度の狭間に取り残される人が生じないよう、2029年度の本格導入や将来的な年金法改正等を見据えて検討が進められます。

■財源は特例公債に頼らず、基金・補助金を見直し

 今回の制度の実現に向けて重要な論点となるのが、財源確保の方針です。片山大臣は、消費税減税と支援金にかかる財源について、赤字国債などの特例公債に頼らず歳出・歳入両面の見直しで確保する方針を明確にしました。具体的な財源確保策の全体像は今後の予算編成プロセスで順次具体化される見通しですが、既存施策のゼロベース見直しや租税特別措置の廃止などを通じ、市場の信認を維持しながら恒久的・時限的な資金手当てを行うとしています。

 歳出見直しの柱として片山大臣が強調したのが、「日本版DOGE」の取り組み強化です。同日開催された副大臣会議の名称を「租税特別措置・補助金・基金の徹底見直しに関する関係閣僚等及び副大臣会議」へ変更し、基金も見直しの対象であることを明確にしました。片山大臣は、2027年度末の基金残高が約7兆円に上る見込みを踏まえ、滞留資金の国庫返納などを検討する方針を示しました。ただし、約7兆円は基金残高の見込みであり、減税財源として確保された金額ではない点に留意が必要です。また政策効果の低い租税特別措置や重複する補助金についてもゼロベースで精査を進める方針です。

 政府は今回の法案について、臨時国会での早期成立を目指し丁寧な説明を行っていく構えです。片山大臣は、関係府省庁の局長級連絡会議を立ち上げ、10月9日午後に初会合を開く予定だと説明しました。2027年4月からの2年間の時限減税と2027年度からの先行給付、そして2029年度の本格的な所得連動給付への移行という大きな税制・社会保障改革は、今後の国会審議や財源調達の実効性、具体的な運用システムの構築を経て実効性が試されることになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)