今回のニュースのポイント
厚生労働省は2026年10月16日の社会保障審議会医療保険部会で、後期高齢者医療制度における金融所得反映の実施スケジュールを示しました。2029年1月に法定調書のオンライン提出義務化を施行し、同年8月から法定調書の枚数ベースで約8割に当たる年次提出分を先行して保険料や窓口負担割合等の判定に反映します。さらに2030年8月以降に全面反映へ移行する計画です。概算要求にシステム整備費56億円を盛り込み、「法定調書データベース(仮称)」で申告の有無による負担の不公平を解消します。
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厚生労働省は10月16日の第218回社会保障審議会医療保険部会で、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、上場株式の配当をはじめとする金融所得を保険料算定や医療費の窓口負担割合等へ反映させるための具体的な実施スケジュール案を報告しました。金融機関等に対し、税務署長へ提出する報告書類(法定調書)を後期高齢者医療広域連合側へもオンラインで提出させる制度変更を2029年1月に施行し、同年8月から実際の負担判定へ反映を開始します。
現行の後期高齢者医療制度では、公的年金や給与所得、不動産所得などは市町村民税の課税所得情報を通じて保険料や窓口負担割合等の判定に反映されています。しかし、上場株式の配当などの金融所得については、本人が確定申告を行った場合は市町村が所得を把握して反映されるものの、源泉徴収を選んで確定申告を行わない場合には市町村側で所得を把握できず、医療保険上の所得判定に反映されない場合がありました。厚労省はこの確定申告の有無による負担の差を不公平と捉え、是正を進めています。
今回の見直しの特徴は、高齢者本人の新たな申告手続きを増やすのではなく、金融機関等が税務署長に提出している「法定調書」を利用することです。特定口座年間取引報告書や配当等の支払調書などの法定調書をオンライン提出させ、国保中央会のシステムを通じて「法定調書データベース(仮称)」に金融所得情報を集約します。データベース上で個人ごとに名寄せされた金融所得情報を既存の課税所得情報と併せて用い、各後期高齢者医療広域連合において保険料や窓口負担割合等の判定に反映します。
厚労省は制度導入に向け、令和9年度(2027年度)概算要求に56億円を盛り込みました。関連するシステム整備では、法定調書データベース(仮称)の構築に加え、自治体システムで新たな税項目を連携するための改修や、金融機関等によるオンライン提出に対応する改修などを予定しています。
実施スケジュールは二段階で進められます。2029年1月のオンライン提出義務化施行後、同月末までに提出される2028年分の年単位の金融所得が記載された法定調書を利用し、2029年8月から最初の反映を開始します。厚労省の資料によると、この1月末提出分で法定調書の枚数ベースの約8割がカバーされます。
続いて、2029年2月から2030年1月末までに提出される2029年分の金融所得を記載した法定調書については、2030年8月から反映します。厚労省は、同月以降、すべての対象法定調書に記載された金融所得を反映する計画です。
政府の「経済財政運営と改革の基本方針2026」では、年齢にとらわれず支払い能力に応じた「真に公平な応能負担」の推進が掲げられています。今回の改定は、単に金融所得を得ている高齢者の負担を増やすための個別措置にとどまりません。これまで社会保険制度側が十分に把握できていなかった金融所得をデータ連携によって確認できるようにし、後期高齢者医療制度における所得把握の情報基盤を整備する取り組みとして位置付けられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













