後期高齢者医療、加入者2039万人へ 50万人増、保険給付費は18兆円に迫る

2026年09月10日 07:04

画・2015年、平均寿命、男性80.8年、女性87.0年

後期高齢者医療制度の被保険者数は2039万人となり、前年度から50万人増加した。2024年度の保険給付費は17兆9900億円と18兆円に迫る規模となっている(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

厚生労働省が9日公表した2024年度(令和6年度)の後期高齢者医療制度の財政状況によると、被保険者数は2039万人となり、前年度から50万人増加しました。制度の単年度収入は18兆3498億円(前年度比4.0%増)、単年度支出は18兆3453億円(同3.7%増)となり、支出の大部分を占める保険給付費は17兆9900億円(同3.8%増)と18兆円に迫る規模に拡大しています。一方、保険料収入は1兆7394億円(同12.5%増)となったものの、制度全体は国・自治体の公費や交付金を含む複数の財源で支えられています。2025年6月1日時点での前年度保険料の一部滞納者は22万4507人でした。

本文
 日本の75歳以上の高齢者らを対象とする医療保障の基盤が、対象者の拡大に伴って制度規模を大きく膨らませています。厚生労働省が9日に公表した都道府県後期高齢者医療広域連合の2024年度(令和6年度)財政状況の取りまとめによると、制度の対象となる被保険者数は前年度比50万人増の2039万人に達しました。被保険者数が増える一方、年間の保険給付費も前年度から増加し、18兆円に迫る水準となっています。

 制度規模の推移を見ると、被保険者数は2021年にいったん減少した後、2022年以降は増加が続いています。資料に示された各年5月31日時点の推移をたどると、2020年の1805万人(1805万1043人)から、2021年1803万人(1803万7572人)、2022年1853万人、2023年1924万人、2024年1988万人を経て、2025年には2038万人(2038万9760人)へと伸長しました。2020年からの5年間で約234万人の増加を記録しています。

 被保険者数が増加するなか、制度の給付規模を示す「保険給付費」も増加しています。2024年度における制度の単年度支出額は18兆3453億円(前年度比3.7%増)となり、このうち支出の大部分を占める保険給付費は17兆9900億円を記録しました。前年度の17兆3367億円から6533億円(同3.8%)増加し、年間給付規模は18兆円の大台に接近しています。これは制度全体の給付規模の増大を示す数値であり、これをもって直ちに1人当たりの医療費が急増したことを示すものではありません。

 一方、この大規模な給付を賄う側の財源構造を見ると、本人の納める保険料収入だけで独立して成り立っているわけではない制度の特性が表れています。2024年度の保険料収入は1兆7394億円となり、前年度の1兆5456億円から1938億円増、伸び率は12.5%となりました。

 しかし、単年度の総収入18兆3498億円に対して保険料収入が占める割合は1割弱にとどまります。収入の大部分は、公費や各種交付金で構成されています。具体的には、国庫支出金が5兆9267億円(前年度比4.2%増)、都道府県支出金が1兆5402億円(同3.7%増)、市町村負担金が1兆4395億円(同3.9%増)と並び、さらに「後期高齢者交付金」が7兆2246億円(同1.7%増)となっています。国・地方からの支出や交付金、保険料など複数の財源が組み合わさることで、約18兆円の給付を支える財源が調達されています。

 制度全体の収支バランスについては、計算手法によって異なる側面を持ちます。2024年度の単年度収入(18兆3498億円)から単年度支出(18兆3453億円)を差し引いた単年度収支は45億円の黒字となりました。そこから過年度の国庫支出金精算などを反映させた「精算後単年度収支差引額」は350億円の赤字となり、前年度の198億円の赤字から赤字幅は152億円拡大しました。一方で、前年度からの繰越金等を反映した「収支差引合計額」では3714億円の黒字(前年度比224億円増)となっています。したがって、一側面のみを捉えて「制度全体が赤字化している」と評価することは適切ではなく、複数の収支指標を整理して把握する必要があります。

 家計や被保険者側の状況を示す指標としては、保険料の納付実態が挙げられます。2025年6月1日時点で、2024年度保険料を一部でも滞納している被保険者数は22万4507人となりました。前年の21万3401人から1万1106人増加し、被保険者に占める割合も1.07%から1.10%へ0.03ポイント上昇しています。なお、2024年度の全体での保険料収納率は99.47%(前年度比0.04ポイント低下)と、高い水準自体は維持されています。

 地域別では、滞納被保険者の割合に差が見られます。最も割合が高いのは沖縄県の2.80%で、東京都の1.55%、大阪府の1.53%、福井県および福岡県の1.48%が続きます。最も割合が低いのは秋田県と島根県の0.51%であり、全国平均の1.10%に対して地域ごとの幅が存在します。ただし、こうした地域差をもたらしている要因については今回公表の資料内では分析されておらず、所得水準や自治体の徴収運用などの特定要因に直接結び付けることはできません。

 被保険者が2039万人規模に達し、保険給付費が18兆円に迫るなか、保険料、公費、交付金など制度を支える各財源が今後どのように推移するかが、次年度以降の財政状況を見るポイントとなります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)