会計検査院は、首都高速道路の子会社への委託費積算について、実際の費用が適切に反映されていなかったと指摘。高速道路事業に係る3契約では、積算額を約1億4380万円低減できたと認定した。(画像は資料写真)
今回のニュースのポイント
会計検査院は、首都高速道路が子会社の首都高アソシエイトに委託した用地事務補助業務などについて、子会社で実際に発生している費用が積算に適切に反映されていなかったと指摘しました。対象は2023、24年度の用地事務補助業務と2023年度の用地アセスメント業務の計3契約で、契約金額は計13億6827万余円、このうち高速道路事業に係る金額は4億4052万余円でした。会計検査院が実際の費用を反映して高速道路事業に係る業務費を試算したところ、首都高の積算額4億4601万余円に対して3億0213万余円となり、約1億4380万円低減できたと認定しました。
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首都高速道路(首都高)が子会社へ委託した事業をめぐり、業務費の計算根拠と実態との間に大きな乖離が存在していたことが判明しました。会計検査院が問題としたのは、子会社への委託契約全体ではなく、対象となった3契約のうち高速道路事業に係る業務費の積算です。首都高側の積算額は計4億4601万余円(うちその他原価計8823万余円、一般管理費等計1億4191万余円)でした。これに対し、業務の委託先である子会社の首都高アソシエイトで実際に発生している費用を反映して会計検査院が試算したところ、計3億0213万余円(同7267万余円、2667万余円)となりました。差額は1億4387万3069円で、会計検査院は約1億4380万円を「低減できた積算額」として認定しました。これは首都高の積算額に対して約32%に相当する規模となります。
なぜこれほど大きな差が生じたのでしょうか。その仕組みを読み解く鍵となるのが、積算の過程で用いられた「35%」という値です。用地事務補助業務などの業務費には、直接原価に加えて間接原価にあたる「その他原価」や「一般管理費等」が含まれます。首都高の積算基準では、「その他原価」と「一般管理費等」の率を算出するための要素であるアルファ(α)とベータ(β)について、いずれも35%を適用していました。この35%を基に算定すると、「その他原価率」と「一般管理費等率」はともに53.85%となります。
しかし、この「35%」という数字の前提そのものに課題がありました。会計検査院によると、基準に定められていた35%は首都高アソシエイトが設立される前の2015年に定められたものなどで、いずれも子会社以外の者へ委託する契約を前提とした値でした。首都高は2020年12月に首都高アソシエイトを子会社として設立し、2021年度以降は毎年度同社へ業務を委託していました。一方、子会社となった首都高アソシエイトへの3契約の積算でも、子会社以外への委託を前提として設定されたアルファ、ベータ各35%を適用していました。
会計検査院が首都高アソシエイトの2023、24年度の決算資料などを基に、実際に発生した費用を業務別に区分してアルファとベータの実態を試算したところ、アルファは30%または31%、ベータは9%または10%にとどまることが明らかになりました。これにより実態に即したその他原価率は42.86%または44.93%、一般管理費等率は9.89%または11.11%となります。特に影響が大きかったのが、一般管理費等に関係するベータの乖離です。首都高の積算では35%とされていたものが、実態を反映した試算では9〜10%であり、この計算上の乖離が大きな金額差へ直結しました。
具体的な金額で見ると、3契約の高速道路事業分について首都高が積算した一般管理費等は計1億4191万0912円に上っていましたが、会計検査院が実態費用を基に試算した額は2667万3806円であり、この項目だけで1億1523万7106円の差が生じていました。その他原価についても首都高の積算額(8823万2744円)と試算額(7267万6149円)との間に1555万6595円の差がありました。これらを含む業務費全体では、首都高の積算額と会計検査院の試算額との差は1億4387万3069円となりました。
制度上の位置付けにおいても、この結果は重要な意味を持ちます。首都高は、高速道路事業の一部を連結対象の子会社へ委託する場合、親会社と経営が一体であることから、契約にあたっては子会社の利益を見込まないこととしていました。しかし会計検査院は、積算額が子会社で実際に発生している費用に基づく試算額を大幅に上回り、これにより子会社に利益が見込まれる事態は適切ではなく、改善の必要があると認定しました。会計検査院は発生原因について、首都高において子会社設立後の業務費積算にあたり、子会社で実際に発生している費用を適切に反映した積算を行う必要性についての認識が欠けていたことなどによるものと認定しています。
今回の事態を受け、首都高はすでに改善措置を講じています。2026年1月に用地事務補助業務費積算基準を改正し、2026年度以降の業務費積算においては、その他原価や一般管理費等について毎年度過去の実績などを基に算出することとしました。また、用地アセスメント業務についても同年2月に関係部署へ通知を出し、改正後の積算基準と同様の運用とすることとしました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













