新米価格42%下落でもコメ市場の正常化は途上 取引量66%減、在庫は大幅増

2026年10月17日 07:23

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実りを迎えた稲穂。農林水産省によると、2026年9月の令和8年産米の相対取引価格は前年同月比42%下落した。一方、取引数量も66%減少しており、コメ市場の価格形成はなお過渡期にある。(写真は資料画像)

今回のニュースのポイント

農林水産省が2026年10月16日に公表したデータによると、令和8年産新米の9月の相対取引価格は全銘柄平均で2万1,293円/玄米60kgとなり、前年同月比で42%下落しました。一方で、令和8年産新米の9月相対取引数量も前年同月比66%減の5.3万トン余りにとどまり、市場では前年産の令和7年産米の取引も継続しています。また8月末時点の民間在庫量は前年同期比66万トン増の150万トンと最高水準にあります。価格、取引量、在庫、家計動向を含め、コメ市場がどのような水準へ定着していくのかが今後の焦点となります。

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 農林水産省が10月16日に公表した「令和8年産米の相対取引価格・数量(令和8年9月)」によると、出回り初期となる9月の令和8年産新米の相対取引価格は、全銘柄平均で玄米60kg当たり2万1,293円(税込)となりました。過去最高水準まで高騰した前年同月(3万6,895円)と比べて1万5,602円(42%)の下落となりました。しかし同時に、令和8年産新米の9月相対取引数量も前年同月比で66%減少しており、新米相対取引の価格変化だけでコメ市場全体の価格動向を判断することはできません。

 価格水準を過年度と比較すると、9月の2万1,293円は前々年同月(2万2,700円)と比べて6%低い水準です。また、令和6年産の年産平均価格(2万5,179円)を下回っています。一方で、高騰前の令和4年産(1万3,844円)や令和5年産(1万5,315円)の1万3,000〜1万5,000円台と比較すると依然として高い水準にあります。令和8年産の新米価格は、前年の異常高値からは大幅に調整したものの、高騰前の水準に戻ったわけではありません。

 今回の発表で価格と並んで注視すべきなのが、新米の相対取引数量の減少です。9月の令和8年産米の相対取引数量は5万3,814トンにとどまり、前年同月(16万287トン)から66%減少しました。出回りから9月までの累計契約数量も5.8万トンで、前年同期と比べて12.2万トン減少しています。農林水産省は「令和7年産米の取引も継続していることなどから、例年に比べ新穀である令和8年産米の取引数量は少ない」と説明しています。2万1,293円という価格は、新米市場においてまだ限られた取引量の中で形成された初期の指標と言えます。

 一方で、市場全体の在庫水準には変化が現れています。「米に関するマンスリーレポート(令和8年10月号)」によると、2026年8月末時点の出荷・販売段階における民間在庫量は、前年同月比66万トン増の150万トン(玄米ベース)に達しました。これは比較可能な2008年(平成20年)以降で最も高い在庫水準です。なお、この統計には2025年3月以降に売り渡された政府備蓄米も含まれます。ただし、在庫増加の要因別の寄与は、この数値だけでは特定できません。

 供給側の生産見通しを見ると、9月25日時点の作物統計調査において、令和8年産主食用米の予想収穫量は生産者ふるい目幅ベースで710万5,000トンと見込まれています。前年産(718万1,000トン)と比べて7万6,000トンの減少です。作況単収指数は102ですが、主食用米の作付面積が減少することなどから、予想収穫量は前年を下回る見通しです。したがって、在庫の増加や新米価格の調整を「単なる収穫量の大幅な増産によるもの」と捉えることはできません。

 現在のコメ市場は、新米の出回りが始まりつつも前年産の令和7年産米の流通が継続し、さらに政府備蓄米も市場へ流通している過渡期にあります。流通段階ごとの動きにも違いが見られ、米穀販売事業者の8月の販売数量は前年同月比で小売向け103%、中食・外食向け93%、全体98%でした。一方、販売価格指数(前年同月=100)は小売向け91.9、中食・外食向け113.8となり、流通先によって価格動向が異なっています。相対取引での価格調整が、すべての流通経路や販売価格へ同様の速度で波及しているわけではありません。

 消費段階における家計の動向では、総務省の家計調査(8月分)による1世帯当たりの米購入数量が4.7kgとなり、前年同月比で12.2%減少しました。同時期のパン(3.4kg、前年同月比2.3%減)やめん類(3.0kg、同横ばい)と比べても減少幅が大きく、高値局面を経た8月時点で、家庭の米購入量が前年を下回っていたことが分かります。

 また、9月の銘柄別相対取引価格では、青森産まっしぐらが1万1,854円、栃木産とちぎの星が1万2,975円となる一方、秋田産あきたこまちは2万3,309円、山形産つや姫は2万6,922円となるなど、1万円台前半から2万円台後半まで大きな幅が生じています。未成立の銘柄も多く、価格帯の分化が今後定着するかは取引量の拡大を見極める必要があります。

 コメ市場の「正常化」は、単に高騰前の1万3,000〜1万5,000円台へ水準が戻ることだけを指すものではありません。今後10月以降に新米の取引数量が本格的に増加する中で、在庫の動きや家計の購入動向とともに、価格がどの水準に落ち着くのかを多角的に見極めていく局面が続きます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)