今回のニュースのポイント
農林水産省が公表した「米に関するマンスリーレポート」によると、2026年6月末の民間在庫量は生産者段階を含め243万トンとなり、比較可能な平成21年以降で最大となりました。一方、2025年7月~26年6月の主食用米等の需要実績は683万トンで、平成20/21年以降の最低水準です。令和7年産米は6月末までの集荷数量と契約数量が前年を上回る一方、販売数量は前年を26.5万トン下回っており、流通段階の在庫は前年より72万トン増加しました。コメ不足と価格高騰が問題となった後だけに、高水準の在庫が今後の需給や価格にどう影響するかが注目されます。
■ 6月末の民間在庫243万トン、平成21年以降最大
農林水産省が8月19日に公表した「米に関するマンスリーレポート(令和8年8月号)」によると、2026年6月末時点の主食用米等の民間在庫量は243万トン(玄米ベース)となりました。同省が公表データで比較可能な平成21年以降の6月末在庫として過去最大(これまでは平成27年の226万トン)の水準となります。
6月末の民間在庫量は、水稲を作付けした生産者の在庫推計も含めた全体で243万トンとなっています。一方、同省が毎月調査を行っている出荷・販売段階(年間取扱量一定以上の事業者対象)の在庫量は194万トンで、前年同月(121万トン)から72万トン増加しました。その内訳は、全農・農協等の出荷段階が142万トン(前年比58万トン増)、卸売業者等の販売段階が51万トン(同14万トン増)となっています。農水省も販売段階の51万トンについて、例年同時期の30万〜40万トン程度と比べて高い水準にあるとしています。
全国的にコメ不足や価格高騰が大きな社会問題となった直後だけに「なぜ今になって在庫がこれほど増えているのか」という疑問が生じる局面といえます。
■ 集荷・契約は増加、販売は26.5万トン減少
「なぜ在庫が積み上がったのか」を考えるうえでは、令和7年産米の集荷・契約・販売の動向が手掛かりとなります。
出荷業者における令和7年産米の2026年6月末時点の累計実績をみると、集荷数量は268.7万トン(前年同期比25.9万トン増)、契約数量は253.9万トン(同11.3万トン増)と、生産現場からの集荷、実需者・卸との契約数量はいずれも前年同期を上回っています。
一方で、実際に引き渡された販売数量は150.0万トン(同26.5万トン減)にとどまり、前年を大幅に下回る結果となりました。つまり「前年より多く集荷され、契約数量も増えた一方、実際の引き取り(販売)は前年を下回り、流通段階の在庫が前年より増加した」という構造がデータから読み取れます。
なお、こうした数量の推移や販売数量の減少をもって、流通事業者が価格の維持などを狙って意図的にコメの出荷を留保したと判断することはできません。統計はあくまで取引数量の推移を示すものであり、個々の事業者の在庫保有理由や販売判断といった意図までを示すものではないためです。事実として確認できるのは、集荷・契約数量が前年を上回る一方、販売数量は前年を下回ったという動きです。
■ 需要は683万トン、平成20/21年以降で最低
在庫増加を考えるうえでは、供給側だけでなく需要側の動きも重要です。
2025年7月〜2026年6月の1年間における主食用米等の需要実績(速報値)は683万トンとなり、比較可能な平成20/21年以降で過去最低の水準となりました。
今後の見通しについて、農水省の基本指針では2026年(令和8年)産主食用米等の生産量を711万トンとした場合、2027年6月末の民間在庫量を242万〜260万トンと推計しています。また、6月末時点の作付意向(136万ヘクタール)から試算される732万トンが生産された場合は、在庫量が263万〜281万トンへさらに拡大する計算です。
これらに加え、政府の支援事業による「長期計画的な販売」32万トンや「民間備蓄実証」5万トンの計37万トンが計画的に市場へ供給される見込みです。コメ不足への懸念が広がった一方で、足元の民間在庫量は比較可能な期間で最大となり、年間の需要実績は過去最低を記録しました。令和8年産新米の流通が本格化するなか、高水準となった既存在庫と新たな供給が、今後の市場需給や価格形成にどのような影響を与えるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













