犯罪は「総数」だけでは見えない 詐欺15%増、少年の重要犯罪検挙人員24%増

2026年10月17日 07:28

EN-e_346

警察車両の資料写真。警察庁が公表した2026年1~9月の犯罪統計では、刑法犯認知件数が前年同期比2.3%増加した一方、窃盗は減少し、詐欺や重要犯罪は増加した。(写真は資料画像)

今回のニュースのポイント

警察庁が公表した2026年1~9月の犯罪統計資料(暫定値)によると、刑法犯全体の認知件数は58万8,015件と前年同期比で2.3%増加しました。しかし内容を分析すると、窃盗犯が0.7%減少した一方、詐欺などの知能犯や重要犯罪が増加しており、罪種による違いが顕著になっています。特に少年の重要犯罪検挙人員が前年同期比24.1%増と大幅に増加しました。また、在留外国人が428万人を超えて推移する中、警察庁統計における「来日外国人」の刑法犯・特別法犯検挙件数は前年同期比5.5%減少しています。

本文
 警察庁が公表した「犯罪統計資料 令和8年1~9月分(暫定値)」によると、2026年1~9月における全国の刑法犯認知件数は58万8,015件となり、前年同期(57万4,924件)に比べて1万3,091件(2.3%)増加しました。検挙件数は22万2,045件(前年同期比3.1%増)、検挙人員は14万9,790人(同4.0%増)となっています。刑法犯総数は増加傾向を示しているものの、その内訳を見ると犯罪類型ごとに異なる動きが見られます。

 最も件数の多い「窃盗犯」の認知件数は381,811件で、前年同期(384,366件)から0.7%減少しました。窃盗犯の認知件数が減少する一方で、「知能犯」は63,142件と前年同期比で15.3%増加しており、その大半を占める「詐欺」の認知件数が58,839件(同14.9%増)と大きく伸びています。詐欺の認知件数の増加が、刑法犯全体の認知件数を押し上げる一因となっています。

 また、殺人や強盗などを含む「重要犯罪」の認知件数は11,793件となり、前年同期(11,100件)と比べて6.2%増加しました。主な罪種別では、殺人が756件(前年同期比1.7%増)、強盗が1,115件(同3.8%増)、放火が570件(同13.8%増)、不同意性交等が3,446件(同12.9%増)、不同意わいせつが5,438件(同3.1%増)となっています。ただし、性犯罪の認知件数は実際の発生総数と必ずしも一致せず、申告状況や法制度の影響なども考慮して慎重に解釈する必要があります。

 一方で、手口を限った「重要窃盗犯」の認知件数は35,887件と、前年同期(42,568件)から15.7%減少しました。侵入盗は31,627件(前年同期比11.6%減、うち住宅対象侵入盗は10,897件で16.4%減)となったほか、自動車盗も2,846件(同45.2%減)と大幅に減少しています。ひったくり(300件、同19.8%減)やすり(1,114件、同9.4%減)も減少傾向にあります。一方、窃盗全体では減少したものの、万引きは前年同期比1.3%増加しており、窃盗の内部でも手口によって動きが異なります。

 今回の統計で注視されるのが少年(14歳以上20歳未満)の動向です。刑法犯全体の少年検挙人員は18,734人と前年同期(17,010人)比で10.1%増加しました。さらに「重要犯罪」における少年の検挙人員は1,174人となり、前年同期(946人)から24.1%増加しています。重要犯罪の内訳を見ると、少年の強盗検挙人員が324人から427人へ31.8%増加したほか、殺人は41人から64人へ増加しました。ただし、検挙人員の増加だけで少年全体の犯罪傾向を断定することはできません。

 一方、国内の在留外国人が428万人を超え、政府が外国人材の受け入れと管理体制の双方を強化する政策を進めるなか、外国人の犯罪動向にも国民的な関心が集まっています。今回の警察庁統計における「来日外国人」の刑法犯および特別法犯の検挙件数は16,427件となり、前年同期(17,375件)に比べて5.5%減少しました。検挙人員も8,769人と同2.5%減少しています。刑法犯のみの検挙件数は11,232件(同5.0%減)、検挙人員は5,148人(同1.5%減)でした。

 ここで注意が必要なのは、出入国在留管理庁が発表する「在留外国人(428万1,026人)」と、警察庁統計における「来日外国人」は定義が異なる点です。警察庁の来日外国人には、永住者などの定着居住者、在日米軍関係者、在留資格不明の者が含まれません。また、日本全体の数値が「認知件数(58.8万件)」であるのに対し、来日外国人の数値は「検挙件数(1.1万件)」という異なる指標です。したがって、両者を直接比較して単純な犯罪率などを算出することはできません。

 来日外国人による犯罪の内訳を見ても、一様ではありません。検挙件数全体が減少する一方で、重要窃盗犯の検挙人員は286人から298人へとわずかに増加しています。手口別では自動車盗が25人から37人へ、すりが18人から27人へ増加した一方、侵入盗は233人から227人へ減少しています。外国人による犯罪についても「増加」や「減少」と一言で括れるものではなく、罪種による濃淡が存在します。

 2026年1~9月の犯罪統計資料(暫定値、2027年2月1日に確定予定)が示すのは、刑法犯総数の増減だけでは捉えきれない防犯上の課題です。窃盗が減少する一方で詐欺や重要犯罪が増加し、少年の重要犯罪検挙人員が増加するなど、犯罪類型によって増減が異なっています。数字の表面的な増減にとらわれず、具体的にどのような犯罪が変化しているのかを見極めることが求められます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)