金融庁、オンチェーン金融の工程表を2027年初めに策定へ 国債・日銀当座預金も検討

2026年10月20日 14:30

金融AIイメージ

デジタル技術を活用した金融・決済インフラのイメージ。金融庁は、オンチェーン金融の推進に向け、2027年初めをめどに官民連携のロードマップを作成する方針を示した。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

金融庁は2026年10月19日、9月30日に開催した「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」第1回会合の議事録を公表しました。座長の片山さつき金融担当相は、2027年初めをめどに中間整理と官民連携のロードマップ(工程表)を取りまとめる方針を表明しました。会議では、デジタル庁によるステーブルコインやトークン化預金の公金給付への活用検討のほか、財務省による国債のオンチェーン対応、日本銀行による当座預金の技術検証など、新たな決済・金融インフラに関する幅広い検討方針が示されました。

本文
 金融庁は2026年10月19日、9月30日に開催された「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」第1回会合の議事録を公開しました。本フォーラムは、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を基盤として取引や決済を自動処理する「オンチェーン金融」の活用拡大と、既存の金融システム(オフチェーン)との最適な組み合わせ(ベストミックス)を目指し、関係省庁や金融機関、有識者が横断的に議論する場として設置されたものです。

 会合の冒頭、座長を務める片山さつき内閣府特命担当大臣(金融)は、関係省庁などの検討を踏まえ、2027年初めに中間整理を取りまとめるとともに、官民連携によるロードマップを作成したいとの方針を示しました。このロードマップは、今後の官民における技術検証や制度整備の指針となる工程表であり、現時点で各制度の導入や運用開始が最終決定したことを意味するものではありません。

 会合では、各省庁・機関から具体的な検討テーマが報告されました。デジタル庁は、ブロックチェーンの条件実行機能(プログラマビリティ)を生かし、子育てや食料品など給付金の使途を限定するようなきめ細かな公金給付におけるステーブルコイン(法定通貨などに価値を連動させるデジタル決済手段)やトークン化預金(預金をブロックチェーン上で扱えるようにする仕組み)の活用可能性について、技術面からの検討を進める意向を示しました。これは技術検証の段階であり、特定の給付制度における制限導入が決定したわけではありません。

 財務省は、将来的な市場参加者のニーズや国債市場への影響を見極めるため、有識者による研究会を10月に立ち上げ、国債のオンチェーン対応やトークン化に関する論点整理を進める方針を明らかにしました。また、日本銀行は日銀当座預金をブロックチェーン上の決済に活用するための「DLT連携サンドボックス」や、国際決済銀行(BIS)などが主導する国際的な決済効率化プロジェクト「プロジェクト・アゴラ」への参加を通じて、技術的な検証を推進している状況を説明しました。

 全国銀行協会も、民間の取組を後押しするため銀行界としての検討会を立ち上げ、次世代の銀行間決済基盤や非金融事業の在り方について議論を深める姿勢を示しました。金融庁自身も、事業者の実証実験を支援する「決済高度化プロジェクト(PIP)」(2025年11月設置)を継続・拡大するほか、制度面やAI利用のリスクを点検する2つの研究会で検討を進める計画です。

 将来的にAIエージェントが人間に代わって契約や決済を行う可能性も議論されるなか、実用化に向けては決済の誤操作や資金回収の難しさ、マネーロンダリング対策、システムの安全性確保といった課題も存在します。今後は、2027年初めを目標とする中間整理と官民連携のロードマップ作成に向け、具体的な検討が進むことになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)