片山財務相、情報漏洩による金融被害を警戒 消費税減税・支援金制度の具体化にも言及

2026年10月21日 05:31

財務省正面

財務省の正面玄関。片山財務相は10月20日の記者会見で、個人情報漏洩を悪用した金融被害への警戒と、支援金制度の具体化について説明しました。

今回のニュースのポイント

片山さつき財務大臣は10月20日の閣議後記者会見で、企業の個人情報漏洩が相次ぐ中、漏洩した本人確認情報を悪用したなりすまし借入や口座開設の事例は現時点で把握していないと説明しました。一方、金融機関の委託先からの漏洩事案を受け、金融庁が10月9日に注意喚起を行い、ICチップ読み取り等の本人確認強化やサイバー対策を求めていることを明かしました。また、消費税減税と支援金制度に関する質疑では、支援金制度の具体的な水準や対象者を、財源確保状況や最新データを踏まえて設定する考えを示しました。

本文
 片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣は10月20日の閣議後記者会見で、相次ぐ企業からの個人情報漏洩に伴う金融被害への警戒感を示しました。片山大臣は、流出情報が金融犯罪に悪用されることを防ぐためアンテナを張って状況を確認するとともに、金融機関に対する対策の強化を進めていると説明しました。あわせて、国会で審議入りする消費税減税や支援金制度に関し、具体的な給付水準や対象者の設定方針についても言及しました。

 足元では顧客情報の漏洩事案において、本人確認書類の画像データなどが含まれるケースが多発しています。片山大臣は、こうした漏洩情報を利用して他人になりすまし、借入れを行ったり銀行口座を開設したりした事例について、「今のところは把握していない」と述べました。政府として現時点で具体的ななりすまし事例を確認していないものの、インターネットバンキング悪用などの特殊詐欺が多発する中、流出情報が更なる被害拡大につながっていないか注視していく姿勢を明確にしています。

 被害の未然防止に向け、金融庁は10月9日に金融機関へ注意喚起を発出しました。会見で片山大臣は、取引時の本人確認において不正対策として効果が高いとされる「ICチップ情報の読み取り」などによる対応を金融機関に求めたことを明らかにしました。本人確認書類の画像データだけに依存しない確認方法を促し、顧客が安心して金融サービスを利用できる環境づくりにつなげる考えです。

 さらに、金融機関の委託先に対する不正アクセスを通じて、金融機関が保有する個人情報が漏洩した事案についても言及がありました。片山大臣によると、証券会社、損害保険会社、生命保険会社の計3社に関連する委託先からの情報漏洩が発生したとしています。金融庁はこれらを受けて注意喚起を行い、金融機関に対して委託先等のリスク管理を含むサイバーセキュリティ対策を求めました。

 国際的なサイバー脅威への対応として、片山大臣は10月15日にバンコクで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議の成果にも触れました。フロンティアAIに起因する国境を越えたサイバーインシデントに備え、G7間で適切に連携できるよう2027年に机上演習を実施することで合意したと説明しました。国内の本人確認対策から国際的な金融インフラの防衛まで、金融行政におけるサイバー対策の重要性が高まっています。

 一方、会見では同日から国会審議が始まる消費税減税と支援金制度についても質問が及びました。記者が消費税減税などに必要とする年間5兆円程度の財源や、支援金制度の対象者について質問すると、片山大臣は、支援金制度について「中低所得の現役勤労者の税・社会保険料負担を軽減し、『年収の壁』による働き控えを緩和して就労促進を図るもの」と制度の目的を説明しました。

 その上で、支援金制度の具体的な水準等については、恒久財源の確保状況や物価・賃金動向、国会での審議を踏まえて設定する考えを示しました。対象者の選定に向けては、「全国家計構造調査」や足元の賃金伸び率など最新データに基づく新たな推計と分析を行う方針を提示し、法案に規定された考え方に沿って国会で丁寧に説明していくと述べました。

 今回の会見では、個人情報の流出が金融犯罪に発展することを防ぐ水際対策と、家計負担の軽減を目指す制度設計の進捗がそれぞれ焦点となりました。金融機関における委託先管理と本人確認の徹底、ならびに減税・支援金制度における財源と対象者の明確化に向け、今後の政府の対応が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)