今回のニュースのポイント
国土交通省が10月20日に公表した建設総合統計によると、2026年8月の建設工事出来高は5兆3719億円となり、前年同月比5.8%増加しました。民間建設が3兆3733億円で7.7%増となり、2.6%増にとどまった公共建設を伸び率で上回りました。民間の居住用・非居住用建築や土木がいずれも増加したことが全体を押し上げました。なお、本統計の金額は名目値であり、資材費や人件費などの価格動向にも留意する必要があります。
本文
国土交通省が10月20日に公表した建設総合統計によると、2026年8月の建設工事出来高(推計値)は総計で5兆3719億円となり、前年同月比で5.8%増加しました。発注者別にみると、民間建設が3兆3733億円で前年同月比7.7%増となった一方、公共建設は1兆9986億円で同2.6%増でした。全体の6割以上を占める民間部門の比較的高い伸びが、当月の名目出来高全体の増加を支えた形です。
建設総合統計は、国内の建設活動を「出来高」の観点から把握するために算出される加工統計です。建築着工統計調査や建設工事受注動態統計調査から得られる工事費額を基礎とし、工事の着工から完成に至る進捗に合わせて月次の金額へ展開して推計しています。当月に新たに受注・着工した工事の金額ではなく、進行中の工事を含め、工事の進捗に応じて当月分として推計された出来高を示しています。
8月の民間建設の内訳をみると、建築分野が2兆5290億円で前年同月比8.0%増加しました。このうち、住宅などの居住用建築は1兆4954億円で8.3%増、オフィスや店舗、工場などの非居住用建築は1兆336億円で7.5%増となっています。また、民間の土木工事も8443億円で前年同月比7.0%増となり、住宅関連にとどまらず民間投資に係る幅広い分野で前年同月の出来高を上回りました。
一方、公共建設の出来高は1兆9986億円で前年同月比2.6%増となりました。内訳では、公共の建築が5281億円で6.0%増となり、そのうち非居住用建築が4727億円で7.5%増となったものの、規模の小さな居住用建築は553億円で5.3%減を示しています。また、公共工事の過半を占める公共土木は1兆4706億円で1.4%増となりました。公共部門全体でもプラスを維持したものの、民間部門に比べて増加率は緩やかなものにとどまっています。
出来高全体に占める構成比をみると、民間建設が約63%を占めており、伸び率においても公共部門を上回ったことから、8月における名目出来高の増加は民間部門の動向が主導したと整理できます。ただし、こうした名目金額の増加をもって、直ちに住宅建設や企業による設備投資などの実質的な需要が同じ割合で拡大したと判断することはできません。
国土交通省の資料においても、公表されている出来高金額は名目値であることが注記されています。そのため、建設資材価格や労務費などの変動が、出来高金額の増加に影響している可能性があります。今回の公表資料のみでは価格変動による寄与度や実質ベースでの工事量の推移は示されていないため、名目値の伸びがどの程度物価の影響によるものかは特定できません。
2026年8月の建設工事出来高は、民間建設の居住用・非居住用建築や土木を中心に名目金額ベースで前年同月を上回る推移を見せました。一方で、建設活動の物理的な量や実質的な勢いを正確に評価するには、今後の着工・受注動向や建設コストの推移などを併せて確認していく必要があります。なお、本統計の数値は基礎統計の品質改善や確定値に基づく補正により、将来的に遡及改定される可能性がある点にも留意が必要です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













