米原発開発に最大7.5億ドルの資金構想 韓国投資連合と予備合意、SMR計画など最大3案件

2026年10月27日 08:09

原子力発電所イメージ

原子力発電所の施設外観。米Elementl Powerは、韓国の投資家・企業連合と最大7億5,000万ドルの原発開発資金構想について予備合意した。(資料画像)

今回のニュースのポイント

米Elementl Powerは2026年10月26日、韓国のDS Investment Partnersが主導する企業連合と、米国の先進原子力開発を進めるための資金パートナーシップについて予備合意したと発表しました。資金構想は最大7億5,000万ドルで、対象は最大3案件です。オハイオ州で計画する1.5GW規模の原発事業も含まれます。資金は許認可や送電網接続、長納期機器の調達など建設前の開発活動に向ける構想で、正式契約や実際の資金拠出は今後の手続きとなります。

本文
 米国の原子力開発企業Elementl Power(エレメンタル・パワー)は10月26日、韓国の投資会社DS Investment Partnersが主導する投資家・企業連合との間で、米国内における先進原子力プロジェクトを共同で進めるための開発パートナーシップについて予備合意したと発表しました。構想されている資金規模は最大7億5,000万ドル(約1,181億円、1ドル=157円50銭換算)に上り、対象案件は最大3件の原子力開発プロジェクトとされています。今回の合意は初期的な枠組みを定めた予備合意であり、資金調達の完了や発電所の建設開始を確定したものではありません。

 今回の開発パートナーシップ構想では、DS Investment Partnersが主導する連合に、韓国の大手総合企業であるSamsung C&T(サムスン物産)が戦略的投資家の候補として参画する位置付けとなっています。両陣営は意向表明書(LOI)および主要条件書を取り交わしており、今後は正式な投資契約の締結や関係機関による各種承認手続きに向けた協議を進める段階にあります。発表時点では参加企業の出資比率や負担割合が確定しているわけではなく、民間主導の共同開発に向けた土台が設定された形です。

 資金の投下対象として想定されている最大3件の開発案件のなかには、米中西部オハイオ州において同社が進める計画容量1.5GW(ギガワット、150万キロワット)規模の原子力発電事業が含まれています。このオハイオ州のプロジェクトでは、GE Vernova Hitachi Nuclear Energyが開発する小型モジュール炉(SMR)技術「BWRX-300」の採用が予定されています。1.5GWという数値は計画上の発電規模を示したものであり、現在の稼働実績や具体的な建設着手を意味するものではありません。

 今回の資金構想が持つ大きな特徴は、発電所の建設工事そのものに先立つ「開発段階」に焦点を当てている点にあります。資金使途としては、許認可への対応、送電網への接続に関する開発作業、製造に時間を要する長納期機器の調達など、建設前の準備活動が挙げられています。原発プロジェクトを商用化軌道に乗せるためには、建設開始前の段階で多額の初期開発費用が必要となる実態を反映した資金計画となっています。

 先進的な原子炉やSMRの実装に向けては、炉型技術の確立にとどまらず、巨額の先行投資が必要となる建設前開発資金の確保や送電網へのアクセス確保が事業化の鍵を握っています。今回の発表は、米国の先進原発開発プロジェクトに対し、海外の民間投資家や有力企業が連合を組んで初期開発リスクを分担する資金枠組みを模索している事例として捉えられます。大規模な電力需要が意識されるなか、電源開発を初期の構想から建設準備段階へと押し進めるための民間資金アプローチが示されています。

 もっとも、今回の発表は予備的な合意段階にとどまっており、実際に資金拠出が行われるかどうかは、今後の正式な契約文書の締結や規制当局の承認など、必要な手続きの進展に委ねられます。また、オハイオ州をはじめとする個別プロジェクトについても、規制当局による許認可の取得や送電系統への接続協議など、クリアすべき実務的課題が数多く控えています。提示された資金構想が着実に実効性を伴う投資へと結実し、具体的な開発作業へと移行できるかが今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)