今回のニュースのポイント
山崎製パンは2026年10月27日、2026年12月期第3四半期累計決算を発表し、売上高は前年同期比4.5%増の1兆114億円、営業利益は5.6%増の472億円となりました。2026年7月に実施した価格改定や製品の品質改善などが増収増益に寄与しました。一方、原材料費や人件費、物流費などの上昇が続いており、2027年1月1日出荷分から一部の食パン、菓子パン、和洋菓子を平均4.7%値上げすると発表しました。食パンは平均6.2%の引き上げです。通期業績予想は据え置いています。
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山崎製パン株式会社が10月27日に発表した2026年12月期第3四半期累計連結決算(2026年1月1日~9月30日)は、売上高が前年同期比4.5%増の1兆114億円、営業利益が同5.6%増の472億円となりました。経常利益は同7.7%増の498億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同7.2%増の318億円を計上しました。同社は同日、原材料や物流費などの高騰が企業努力で吸収できる範囲を超えたとして、2027年1月1日出荷分から一部のパン製品および和洋菓子製品の出荷価格を平均4.7%値上げすることも発表しました。
1~9月期の増収増益の背景について同社は、食パンや菓子パン、和洋菓子における品質改善の推進や、節約志向に応じた低価格製品から高付加価値製品までの幅広い商品展開が奏功したと説明しています。また、2026年7月1日出荷分から実施した一部製品の価格改定に際し、事前の品質向上などを丁寧に進めたことで販売数量を確保できたことや、各工場での内部管理の充実、連結子会社の業績改善なども収益を押し上げました。なお、売上高営業利益率は約4.67%となり、前年同期の約4.62%から0.05ポイントの改善にとどまっています。
セグメント別の動向をみると、連結売上高の大半を占める食品事業の売上高は前年同期比4.7%増の9,395億円、営業利益は同8.1%増の458億円となりました。製品群別では、主力ブランド「ロイヤルブレッド」や低価格品が伸びた食パンが4.1%増の936億円、最大部門である菓子パンが5.8%増の3,804億円、和菓子が7.9%増の630億円、洋菓子が4.2%増の1,212億円でした。一方、調理パン・米飯類は前年の需要急増の反動やおにぎりの伸び悩みなどにより、0.4%減の1,316億円と前年同期を下回りました。
食品製造部門が堅調だった半面、デイリーヤマザキなどを展開する流通事業は厳しい収益環境に直面しました。流通事業の売上高は前年同期比0.2%増の596億円と横ばい圏にとどまり、営業損益は15億円の赤字(前年同期は3億円の赤字)へと損失幅が拡大しました。店舗運営における人件費の上昇や、他業態との競争激化などが収益を圧迫しており、グループ内でも事業形態によってコスト増加の影響度合いに大きな差が生じる結果となっています。
こうしたコスト上昇の継続を踏まえ、同社は2027年1月1日出荷分から一部製品の出荷価格を改定します。対象製品全体の平均改定率は4.7%の値上げとなります。部門別では、食パンが平均6.2%、菓子パンが平均4.3%、和菓子・洋菓子が平均4.0%の引き上げです。対象には「ロイヤルブレッド」「超芳醇」「ランチパック」「薄皮つぶあんぱん」「北海道チーズ蒸しケーキ」などの主要商品が含まれます。これはメーカー出荷価格の改定であり、店頭の小売価格が一律に引き上げられるものではありません。
今回の価格改定の要因として同社は、2026年10月から輸入小麦の政府売渡価格が12%引き上げられたことに伴う小麦粉の値上げに加え、油脂類や包装材料の高騰、エネルギー費、物流費、人件費の上昇を挙げています。なお、2026年12月期の通期連結業績予想(売上高1兆3,380億円、営業利益640億円)と年間配当予想(1株当たり60円)は従来見通しを据え置きました。今回の値上げは2027年1月以降の施策であり、当期の業績予想を修正するものではありません。
今回の決算と価格改定の発表は、食品メーカーが直面する構造的なコスト上昇圧力を象徴しています。2026年7月の価格改定や品質向上努力によって直近の増収増益を確保したものの、主要原料である小麦粉の値上げに加え、物流費や人件費などの上昇も見込まれることから、同社は翌期にあたる2027年1月の追加値上げを予定しています。家計の防衛意識や価格志向が根強く残る中、必要な価格転嫁を進めつつ、手頃な価格帯の商品を揃えて顧客の離反を防ぐという、繊細な商品・価格戦略が引き続き求められています。
(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













