AMD、7~9月期売上高45%増 AI向けデータセンター事業97%増、次期も成長見込む

2026年11月04日 07:01

今回のニュースのポイント

米半導体大手AMDが発表した2026年7~9月期決算は、売上高が前年同期比45%増の133億7,700万ドルとなりました。AI向け需要を背景にデータセンター部門が前年同期比97%増と急成長し全社を牽引した一方、クライアント・ゲーム部門は8%減収と明暗が分かれました。GAAP希薄化後EPSは1.46ドル、調整後EPSは2.09ドルでした。次期10~12月期の売上高は約170億ドルを見込んでおり、需要の持続性が注目されます。

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 米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が米国時間2026年11月3日に発表した2026年第3四半期(7~9月期)決算は、売上高が前年同期比45%増の133億7,700万ドル(約133億8,000万ドル)に達し、大幅な増収を記録しました。生成AI(人工知能)の急速な普及に伴うデータセンター向け計算資源の需要拡大が全社の業績を大きく牽引しました。特にデータセンター部門の売上高は前年同期比97%増と倍増近い伸びを示しています。その一方で、パソコン向けとゲーム向けを合わせたクライアント・ゲーム部門全体では減収となるなど、事業別の明暗も表れています。さらに会計上の特殊要因が利益指標に影響を与えており、数字の内実を複眼的に把握することが求められます。

 決算全体の収益指標を確認すると、売上高の急拡大に合わせて利益面でも高い伸びが確認されます。米国会計基準(GAAP)に基づく営業利益は前年同期比123%増の28億3,200万ドル、純利益は前年同期比95%増の24億2,800万ドルに達しました。1株当たり利益(EPS)については、GAAPベースの希薄化後EPSが前年同期の0.75ドルから1.46ドルへと拡大しています。一方、株式報酬費用や無形資産の償却費、さらに後述する特殊項目などを控除・調整した非GAAP(調整後)ベースの希薄化後EPSは2.09ドルとなりました。事業規模の拡大と高付加価値製品の出荷増が、全社ベースでの大幅な営業増益を後押しした格好です。

 今回の決算において最大の牽引役となったのが、データセンター部門です。同部門の売上高は前年同期比97%増の約85億5,000万ドルに達し、全社売上高の6割超を占める中核事業へと存在感を高めました。クラウド事業者や大手ハイテク企業による生成AI開発向けの大規模な設備投資が続くなか、同社のAI向けGPU「Instinct」シリーズやサーバー向けCPU「EPYC」プロセッサーに対する旺盛な需要が売上を押し上げました。ただし、データセンター部門の売上高にはAI特化製品だけでなく汎用サーバー向け製品なども含まれており、同部門の97%増という高い伸び率がそのまま世界のAI半導体市場全体の成長率を意味するわけではない点には注意が必要です。

 データセンター部門が急伸した一方で、他部門の動向を見ると事業環境の差異が浮き彫りとなっています。「クライアント・ゲーム部門」の売上高は前年同期比8%減となりました。内訳では、パソコン向けのクライアント事業が7%増だった一方、ゲーム事業はセミカスタム製品やグラフィックス製品の売上減少を背景に40%減となりました。一方、産業機器や通信向けを手掛ける「組み込み部門」の売上高は前年同期比29%増と堅調な回復を示しました。全社売上高の45%増という高い伸びは全事業が一様に成長した結果ではなく、主力のデータセンター事業の急成長が他の減収部門を吸収した構造となっています。

 収益力を読み解くうえでは、GAAP利益と調整後利益の差、および次期の業績見通しが重要な論点となります。当四半期の希薄化後EPSは、GAAPベースの1.46ドルに対し、調整後ベースは2.09ドルと0.63ドルの開きが生じました。この差の背景には、顧客向けに発行されたワラント(新株引受権)に関連する負債の公正価値変動(約10億9,700万ドル)がGAAP上の費用要因として計上された会計上の影響が含まれています。これは同額の現金支出を意味するものではなく、負債の公正価値を再評価したことによる会計上の影響です。AMDは、GAAPに基づく業績に加え、一定の項目を調整した非GAAP指標を期間比較の補足情報として公表しています。また、続く2026年10~12月期の見通しについて、AMDは売上高を前年同期を上回る約170億ドル(想定レンジプラスマイナス3%)、調整後売上総利益率を約55%と見込んでおり、成長軌道の維持を掲げています。

 AMDの今回の好決算は、世界の先端半導体需要、とりわけAIインフラ向け投資の強さを裏付ける客観的な材料の一つといえます。先端半導体の製造には高度な半導体製造装置や検査装置、高性能パッケージング材料などが不可欠であり、関連産業に強みを持つ日本企業を取り巻く市場環境を占ううえでも重要な指標となります。ただし、AMDの増収が国内企業の受注増や業績改善に直結したと判断できるデータは現時点で確認されておらず、特定銘柄への過度な思惑には慎重さが求められます。今後はAI関連需要の持続性に加え、部材調達や製造パートナーの供給能力、競合他社とのシェア争いがどのように推移するかが焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)