アステラス製薬、中間売上収益23%増の1兆2,708億円 重点戦略製品が好調、通期コア営業利益予想を7,000億円に上方修正

2026年11月04日 16:02

今回のニュースのポイント

アステラス製薬が2026年11月4日に発表した2027年3月期中間決算は、売上収益が前年同期比23.4%増の1兆2,708億61百万円、コア営業利益が同50.3%増の4,249億28百万円となりました。重点戦略製品の販売拡大や円安の押し上げ、コスト最適化が寄与しました。通期の売上収益予想を2兆3,300億円、コア営業利益予想を800億円上方修正して7,000億円(利益率30.0%)に引き上げました。年間配当予想80円は据え置いています。

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 アステラス製薬株式会社は2026年11月4日、2027年3月期の中間連結決算(国際財務報告基準=IFRS)を発表しました。2026年4~9月期の売上収益は前年同期比23.4%増の1兆2,708億61百万円(約1兆2,709億円)となりました。IFRS営業利益は同58.8%増の3,165億56百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益(純利益)は同63.7%増の2,416億77百万円に達しました。独自の管理指標であるコア営業利益も同50.3%増の4,249億28百万円と急伸しました。重点戦略製品の販売拡大に加え、円安による為替効果やコスト最適化施策が寄与し、大幅な増収増益を達成しています。

 中間期の収益成長を牽引したのは重点戦略製品群です。重点戦略製品5品目(PADCEV、IZERVAY、VYLOY、VEOZAH、XOSPATA)の合計売上収益は前年同期比51%増の3,339億円に達し、増収額は1,134億円に上りました。特に尿路上皮がん等を対象とするPADCEVは同55%増の1,583億円と大きく伸び、重点戦略製品全体の増収を牽引しました。また、加齢黄斑変性の地図状萎縮を対象とするIZERVAYは同65%増の562億円、胃腺がん等を対象とするVYLOYは同73%増の459億円と急拡大しました。血管運動神経症状を対象とするVEOZAHも同34%増の307億円、白血病治療剤XOSPATAも同25%増の429億円と堅調でした。なお、主力品XTANDIは同12%増の5,337億円でしたが、この5品目には含まれていません。

 業績拡大には、円安による為替効果と費用管理が大きく寄与しています。中間期の期中平均レートは米ドル159円(前年同期は146円)、ユーロ184円(同168円)となり大幅な円安が進行しました。会社説明によると、前年同期比で売上収益が993億円、コア営業利益が412億円押し上げられました。費用面では、研究開発費がパイプライン進展に伴い前年同期比17.0%増の1,677億17百万円となったものの、研究開発費率は13.2%と0.7ポイント改善しました。また、「SMT(Sustainable Margin Transformation)」に基づくコスト最適化により、販管費で約100億円、研究開発費で約80億円など計約220億円の改善効果を創出しました。これらにより、コア営業利益率は前年同期の27.4%から33.4%へと改善しました。

 損益構造では、IFRSベースとコアベースの利益の違いを区別する必要があります。当中間期のIFRS営業利益(3,165億56百万円)に対し、コア営業利益(4,249億28百万円)は約1,084億円高い水準です。コアベースの業績は、収益力を把握するためにIFRS損益から無形資産償却費や減損損失などの特定項目を除外した指標です。当中間期には無形資産償却費713億円の計上に加え、前立腺がんを対象としたASP5541の開発中止に伴い、無形資産減損損失264億円を第2四半期に計上しました。減損損失の計上があったものの、本業の収益拡大により、IFRS営業利益ベースでも前年同期比58.8%の大幅増益を確保しています。

 好調な進捗を受け、同社は2027年3月期の通期連結業績予想を上方修正しました。売上収益予想は期初計画の2兆2,200億円から2兆3,300億円へ1,100億円(前期比8.9%増)引き上げました。コア営業利益予想は6,200億円から7,000億円へ800億円(同26.0%増)上方修正し、通期コア営業利益率は30.0%を見込んでいます。IFRS営業利益予想も3,950億円から4,600億円へ650億円(同20.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益予想も3,500億円(同20.1%増)へ引き上げられました。上方修正の背景にはPADCEVなど重点戦略製品の好調な進捗、ミラベグロンの売上見通し、為替影響、生産性向上があります。通期前提為替レートは1ドル158円、1ユーロ181円に見直されましたが、第3四半期以降の想定レートは1ドル156円、1ユーロ177円です。

 パイプラインでは、PADCEVが欧州でシスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がんの承認を取得し、VEOZAHが日本および中国で申請に至るなど地域拡大が進展しました。また、setidegrasibやASP2138の第Ⅲ相試験での初回投与(FSD)達成など、新薬候補の開発も前進しています。配当政策については、年間配当予想を1株当たり80円(中間40円、期末予想40円)とし、期初予想を据え置きました。前期実績78円から2円の増配見通しです。同社は重点戦略製品5品目の通期売上収益予想を6,800億円に上方修正し、コア営業利益7,000億円の達成を見込んでいます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)