今回のニュースのポイント
財務省が2026年11月5日に公表した地域経済情勢報告によると、全国の景気判断は「緩やかに回復しつつある」で据え置かれました。北海道と四国が上方修正された一方、熊本地震の影響が残る九州は下方修正されました。併せて公表された989社対象の特別調査では、自然災害対策を「0件」とした割合が大企業の5.6%に対し、中小企業では19.6%に達しました。景気回復が続く陰で、災害への備えには企業規模による格差が浮き彫りとなっています。
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財務省は2026年11月5日、10月の「全国財務局管内経済情勢報告概要」と特別調査「地域企業を取り巻く自然災害等の影響と対応策」を公表しました。全国の景気総括判断は「緩やかに回復しつつあるが、中東情勢の影響を注視する必要がある」とし、7月判断から据え置きました。個人消費が緩やかに回復し生産活動も持ち直しつつあるとされる一方、同時公表の特別調査では、自然災害への対応策に企業規模間の大きな格差が残る実態が判明しました。調査対象となった中小企業のうち、提示された主な災害対策について「0件」と回答した割合は19.6%に達し、大企業の5.6%を大幅に上回りました。景気回復が維持される陰で、被災リスクへの備えには歴然とした差が生じています。
全国11地域の総括判断では、景気回復の足取りに地域ごとの濃淡が表れました。北海道と四国の2地域が判断を上方修正した一方、九州の1地域が下方修正となり、残る8地域は据え置きでした。北海道は観光需要の拡大等を背景に「持ち直している」から「緩やかに回復しつつある」へ引き上げられました。四国もドラッグストアやスーパーの販売が底堅く「持ち直している」へ上方修正されました。これに対し九州は、2026年熊本地震の影響が一部に残ることから、回復に向けたテンポが緩やかになっているとして下方修正されました。九州の個人消費には地震の影響が残り、生産活動も足踏み状況にあるものの、足元では正常化に向けた動きもみられます。なお、九州の前回判断は地震発生前を含み、比較には特殊な事情があります。
特別調査は、財務局等が継続的にヒアリングを行う全国の企業989社(大企業425社、中堅企業278社、中小企業286社/製造業433社、非製造業556社)を対象に、2026年9月中旬から10月中旬にかけて実施されました。熊本地震の影響が残る九州財務局管内は対象外です(福岡財務支局管内は含む)。直近5年間に国内で発生した自然災害等の影響(想定含む、最大3件)では、「本社・生産拠点等の被災」が47.4%、「サプライチェーンの寸断」が42.9%、「売上・利益の大幅減少」と「復旧費用・調達コスト等の大幅増加」がそれぞれ30.3%でした。「影響なし」は23.5%にとどまり、多くの企業が実害や事業停止リスクを意識しています。
今回の調査で最も鮮明となったのは、自然災害への備えにおける企業規模別の格差です。現在取り組んでいる、または取り組んだ主な対応策の件数(最大3件)について集計したところ、対策を「0件」と回答した企業の割合は大企業で5.6%、中堅企業で7.2%であったのに対し、中小企業では19.6%と約2割に達しました。中小企業の未実施割合は大企業の約3.5倍の水準です。逆に、取り組んでいる対策として上限の「3件」を回答した割合は、大企業が43.3%だったのに対し、中小企業は19.6%にとどまりました。なお、本設問は提示された主な選択肢から最大3件を選ぶ形式であり、0件の回答が一切の防災行動を行っていないことを意味するものではありませんが、規模による取り組みの偏りが浮き彫りとなっています。
具体的な対策は、規模や業種を問わず「BCP(事業継続計画)の策定・見直し」を挙げる割合が最も高く、次いで「耐震・防水等の設備投資」が続きました。製造業では供給網寸断への警戒から「取引先との関係の再構築」を挙げる割合も高くなっています。一方で、現在対策を講じていない企業を対象に理由(複数回答、最大3件)を尋ねたところ、「必要性を感じていない」が55.0%で最多でした。次いで「対応費用の負担」と「通常業務の忙しさ」がそれぞれ19.0%、「専門人材の不足」が10.0%、「情報の不足」が6.0%、「取引先との調整が困難」が3.0%となりました。対策を講じていない企業からは費用負担や通常業務の忙しさが理由として挙げられ、企業規模別では、中小企業で取引先との調整の難しさを挙げる割合が比較的高くなっています。
ヒアリング調査では、被災の現実と対策の難しさに関する声が寄せられています。過去の災害影響として、能登半島地震で金型が落下し復旧に1か月を要した金属製品企業や、大雪による供給網寸断で納期に間に合わず調達先を他社へ変更された化学企業の事例が報告されました。対策を進める企業では、サプライチェーン全体のリスク評価に基づく代替調達先の拡大や、店舗入り口のかさ上げ・止水板配置による浸水対策、拠点被災時を想定したBCP見直しなどが進められています。その一方で、災害対策や地震保険の費用が高額で特段の対応を予定していないとする食料品製造企業や、物価・人件費高騰により対策費用の捻出が困難とする宿泊企業、拠点移転や機能分散の検討で業務運営との調整が課題とする卸売企業の声が記録されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













