3月に入り多く会社の年度決算が間近となってきたが、個人投資家にとって株価動向とともに近年、楽しみになっているのが、株主優待である。現在1000社を超える企業が、この株主優待制度を実施しているが、その内容は千差万別である。
例えば、持ち株数にも左右されるが、関連企業の無料チケットや自社商品が進呈されるケースが多い。オリエンタルランド<4661>は3月末日と9月末日に「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」どちらかで利用可能な1デーパスポートを年2回送るという。また全日空<9202>も年2回、半額で飛行機に乗れるANAの株主優待券が1枚ずつ届く。さらに日清食品ホールディングス<2897>も年2回、自社商品1500円相当が届くほか、「カップヌードルミュージアム株主様入場券引換券」なども進呈。明治ホールディングス<2269>や伊藤ハム<2284>も年に1回だが、自社商品を届けてくれるので、家族を持つ投資家の間では人気が高い。
割引系でいうと高い支持を得ているのがイオン<8267>。本人用と家族カードの合計2枚のオーナーズカードが発行され、このカードがあると3~7パーセントキャッシュバックなどがあるという。
また、野村IRが1992年以来毎年発行し、昨年版は約14万部前後という高い販売数を記録している「知って得する株主優待」でここ数年、ランキング上位に選ばれている企業が日本マクドナルドホールディングス<2702>とダイドードリンコ<2590>だ。両社とも、各カテゴリーのほとんどでトップ3に入る人気の株主優待で、日本マクドナルドホールディングスは、ハンバーガー類、ポテトなどのサイドメニュー、ドリンクの無料引換券が各6枚ずつ、年に2回提供され、またダイドードリンコは3000円相当の自社グループ製品が年2回届くという。昨年はゼリーの市場シェアが高いたらみを子会社にしたことで、年2回の送付に加えて、記念優待としてたらみゼリーの詰合せを進呈した。また年2回の進呈商品の中にもゼリーが加えられ、ラインアップがさらに充実したという声も大きく、継続的な支持を得ているようだ。
野村IRが株式投資の目的について個人投資家へのアンケート調査で実施したところ、「株主優待」との回答が70%以上となったという。アベノミクスにより、にわかに景気が回復しているようだが、まだまだ生活の中で実感できるところまではきていない。こうした中、個人投資家へのアピール策として、株主優待の内容の充実は、当分の間、大きな効果をもたらしそうである。(編集担当:宮園奈美)