前週末22日のNYダウは90ドル高で21日の下落分のピタリ全額戻し。キプロスは横に置いておいてティファニーとナイキの好決算で買われた。高級宝飾品とスポーツ用品で元気づくところがアメリカらしい。キプロス問題はブリュッセルでキプロス大統領とEU大統領の間で金融支援条件について詰めの協議が行われ、東京市場の取引開始直前にようやくEU、ECB、IMFからの支援策の大筋がまとまった。そのニュースを受け25日朝方の為替レートはドル円が94円台後半から95円近辺に、ユーロ円が123円近辺から123円台半ばへ円安が急進した。日経平均は169.08円高の12507.61円と12500円台を回復して始まり、22日の下落幅の56%でほぼ半値戻し。しかし前場は12500円をはさんで上げたり下げたり。それでも後場は12550円を超える一段高でのもみあいで、午後2時台には12600円に迫って終値は207.93円高の12546.46円だった。TOPIXの上げ幅は+8.72と抑えられ終値は1047.29だった。売買高は26億株、売買代金は2兆円を割り、3月期決算企業の権利付き最終売買日を翌日に控え、やや控え目だった。
東証33業種別騰落率の上位はその他金融、不動産、小売、石油・石炭、食料品などで、マイナスになった業種は海運、空運、非鉄金属の3業種に限られた。
後場の一段高を支えたのは1370円高のファーストリテイリング<9983>と売買代金4位と買いを集め120円高のソフトバンク<9984>で、2銘柄で日経平均を69円押し上げた。ファナック<6954>は40円高。同じ中国関連のコマツ<6301>は37円高。ソニー<6758>が買われ売買高10位、売買代金1位で52円高。輸出に明るい見通しが出て4~9月は1割増産するトヨタ<7203>は40円高。DeNA<2432>は129円高で売買代金10位に入った。配当利回りが良いので毎年、権利付き最終売買日前に配当取り狙いで買われやすい武田<4502>は60円高、JT<2914>は15円高だった。
メガバンクはみずほFG<8411>が1円高、三菱UFJ<8306>が9円高、三井住友FG<8316>が値動きなしとパッとせず、野村HD<8604>も4円高だったが、上昇銘柄が目立ったのは不動産と小売のセクターで、三井不動産<8801>は41円高で3日ぶり反発、三菱地所<8802>は69円高で5日ぶり反発、住友不動産<8830>は135円高になった。大京<8840>はSMBC日興証券が目標株価を引き上げて11円高と買われた。好調が続く百貨店はネット通販サイトの統合が報じられた高島屋<8233>が68円高、三越伊勢丹HD<3099>が55円高、丸井G<8252>が52円高で、ともに昨年来高値を更新。しまむら<8227>も3月度既存店売上が6.3%増と好調で280円高だった。
古河機械金属<5715>は4期ぶりの復配発表を好感されて22円高で昨年来高値を更新し、値上がり率1位、売買高3位。明治8年(1875年)創業の名門企業復活に投資家の目は温かい。ここも戦前の名門航空機メーカー川西航空機の血を引く新明和工業<7224>は、海上自衛隊に採用された救難飛行艇「US2」を政府がインドに輸出すると報じられ36円高で昨年来高値を更新した。
一方、このところ好調が続いていた海運株はコンテナ船運賃のスポットレートが下落したため警戒され、売買高トップ10の常連でこの日も9位の川崎汽船<9107>が3円安、日本郵船<9101>が2円安、商船三井<9104>が5円安と大手が軒並み安。値下がり率ランキング9~11位にユナイテッド海運<9110>、第一中央汽船<9132>、共栄タンカー<9130>が揃い、乾汽船<9113>も16位だった。今期業績予想を下方修正したPS三菱<1871>が値下がり率2位、据え置きだったクスリのアオキ<3398>も5位と売られた。シャープ<6753>は東洋経済で会長と社長の不和が伝えられ7円安だった。
この日の主役は業種別騰落率1位になった「その他金融」。値上がり率ランキングの4位に業績見通しを上方修正して80円高のジャックス<8584>、5位に80円高のポケットカード<8519>、8位に14円高のアジア投資<8518>が入り「この業種はオリコ<8585>とアイフル<8515>だけじゃない」というところを見せた。そのオリコは25円高で売買高2位、売買代金6位、アイフルは62円高で売買高4位、売買代金3位と、売買ではメガバンクと肩を並べる高水準だった。ノンバンクやリースの他にREIT投資法人も入るセクターで、この日は東証REIT指数が5年ぶりに1600を超えてJーREIT人気は天井知らず。不動産関連の活況がこんなセクターにも飛び火している。(編集担当:寺尾淳)