今週の振り返り 狼狽して凹んでも立ち直りは早かったけれど

2013年03月23日 20:28

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18日に突然、わが日本の株式市場をひっかき回したキプロスもまた島国。

 18日に突然、わが日本の株式市場をひっかき回したキプロスもまた島国。

 前週末15日のNYダウは25円安になり10連騰でストップ。史上最高値の未体験ゾーンを進む〃宇宙探検〃は9日目で引き返した。そして、世界経済の地雷原、ヨーロッパでまたもやネガティブサプライズ勃発。今度はユーロ圏財務相会合で、100億ユーロでキプロスの財政を支援する代わりに、全銀行の預金封鎖を行ってATMからの引き出しも停止し、その間に預金者全員の口座から最大9.9%の課徴金を引き落とすという前代未聞のショック療法が盛り込まれ、実施に移された。もし日本でやったら経済の大混乱は必至。18日朝方の為替レートは、ユーロ円は一時121円台まで進んで122円台前半、ドル円は一時93円台まで進んで94円台後半と、全面的な円高になっていた。

 こんな出来事は、メッキがはげてどこまで下落するかで株式市場の本当の強さがわかる試金石になる。「一斉リスク・オフ」で日経平均は195.51円安の12365.44円で始まり、前場はおおむね12300円台を保っていたが、後場の午後2時過ぎから12300円を割り込んで下げのピッチを早め、下落幅は300円を超えた。結局、日経平均は今年最大の340.32円安の12220.63円、TOPIXは-23.31の1028.34でともに安値引け。売買高は31億株で売買代金は2兆円を超えていた。問題の2時台には「ギリシャやスペインの銀行に朝から行列ができているらしい」といった噂が飛び交い、為替市場ではユーロ円が122円を割ってどんどん安くなった。アジア市場も大幅安とは言え、噂に尾ひれがついて振り回されるようでは、日本の為替・株式市場もまだまだ修業が足りない。

 ちなみにキプロスの2012年の名目GDPは224億ドルで、この日の東証1部時価総額の下落幅7兆6866億円(=818億ドル)の約4分の1しかない。地中海の小さな島国が、同じ島国でもGDP267倍の経済大国の株式市場を引っかき回し、自国のGDPの4倍相当の時価総額を消滅させたのだから、ある意味「快挙」とも言える。

 約7割の銘柄が下落する全面安なので業種別騰落率は全業種がマイナス。下落幅が小さかったのはパルプ・紙、空運、小売、繊維、卸売などで、大きかったのは海運、保険、鉄鋼、輸送用機器、不動産などだった。

 19日朝方の為替レートは、ドル円は95円台前半、ユーロ円は123円台前半とだいぶ円安に戻した。ヨーロッパ主要市場はイギリスのFTSE100が-31.73、フランスのCAC40指数が-18.56、この国の支援の出し渋りがキプロスの混乱の元凶だと批判を浴びるドイツのDAX指数が-32.16と、金融セクター中心に株価が下がっても下落率は1%以下で影響は限定的。心配されたキプロス以外の国の銀行での取り付け騒ぎは起きなかった。NYダウは62ドル安。プラスの時間帯もありキプロス問題は東京よりもクールな受け止め。押し目買いでどこまで戻すか注目の日経平均は184.98円高の 12405.61円で、TOPIXともどもほぼ半値戻しで始まった。前場早々9時台に12450円にタッチするが、その後はずっと12400円台でもみ合いの展開。大引け前に上昇するが12500円に届きそうで届かず、終値は247.60円高の12468.23円だった。TOPIXは+17.55の1045.89で、ともに前日のほぼ7割戻しだった。春分の日の祝日休場前でアメリカのFOMCの結果を見きわめたいという様子見ムードもあり、売買高は28億株で売買代金は2兆円を少し割り込んだ。

 東証1部の約7割の銘柄が株価を上げ、業種別騰落率でマイナスの業種は前日に石炭関連銘柄が買われた反動が出た鉱業のみ。プラスの上位は海運、陸運、輸送用機器、電気・ガス、銀行、電気機器と「乗り物」関係が1~3位を占め、下位は建設、不動産、空運、ゴム、サービスなどだった。