【日経平均】64円安でもTOPIXは8日続伸

2013年04月12日 19:46

 金融株は、みずほ<8411>1円安、三菱UFJ<8306>1円高、三井住友FG<8316>30円安とふるわないメガバンクと対照的に、野村HD<8604>が後場上昇し26円高で年初来高値を更新し売買高、売買代金ともに2位と買いを集めた。公募増資や社債発行が増加して引受手数料収入の増加が見込めるというのが材料で、その分野では野村やメガバンク系証券に譲る大和証券G<8601>や松井証券<8628>は下落している。

 シャープ<6753>は、主力取引行が下期の営業黒字が条件の3600億円の融資の継続を明らかにして22円高と7日続伸したが、ソニー<6758>はテレビ事業の赤字が半分になる見通しというニュースに「黒字にならないようでは」という反応で26円安。小売業は、前日に2月期決算を発表して今期最大6%の経常増益見通しのイオン<8267>が86円高、今期12%の経常増益見通しの良品計画<7453>が480円高でともに年初来高値を更新したのに対し、セブンアイHD<3382>は値下がり率14位の160円安と売り込まれ、明暗が分かれた。プラント大手の千代田化工建設<6366>は受注が有力とみられていたオーストラリアのLNGプロジェクトが突然棚上げになり、降ってわいた災難で値下がり率2位の115円安になった。

 後場に飛び込んできたのが日経電子版の「レナウン<3606>の保有比率41%の中国の山東如意科技集団が第三者割当増資で保有比率5割超に」というニュースで、レナウン株が急騰し33円高の177円になったところで東証が2時10分に売買停止措置をとったが、値上がり率1位になった。レナウンが1990年に英国王室御用達のアクアスキュータムを買収して世界を驚かせたのも今は昔。2009年に手放したアクアスキュータムは昨年4月に経営破たんし、レナウンは中国企業の子会社になる運命をたどる。

 この日の主役は騰落率でもトップになった「電力株」。値上がり率ランキングは2位に246円高の九州電力<9508>、4位に209円高の北海道電力<9509>、6位に56円高の東京電力、9位に231円高の四国電力<9507>、10位に145円高の関西電力<9503>、11位に112円高の東北電力<9506>、14位に122円高の北陸電力<9505>、20位に105円高の中部電力<9502>が並び、東京電力は売買高1位、売買代金1位と売買のほうのランキングを制覇した。茂木敏充経済産業大臣が前夜のテレビ番組で「発送電分離があれば電力再編もあり得る」と言及して再編期待で買われた。10日には7月に施行される原発の新規制基準案を原子力規制委員会が了承して原発再稼働の判断基準がはっきり示されたが、その内容は電力業界が喜ぶほどではない。今週は日経平均先物に代わりTOPIX先物の買いが膨れあがったので、単純に時価総額の大きい銘柄が好んで買われたという要素もありそうだ。(編集担当:寺尾淳)