19日、参議院本会議において、自民党、日本維新の会、公明党が提出していた「改正公職選挙法」が全会一致で可決・成立し、これにより今年夏に予定されている参議院選挙からインターネットを利用した選挙運動が解禁されることとなった。また、この改正法は夏の参議院選挙の公示日以降に公示される衆議院選挙と告示される地方選挙に対しても適用される。
この改正法が成立したことによって、政党や候補者自身のホームページやブログなどはもちろん、フェイスブックやツイッター、ミクシイなどのSNSによる選挙運動も全面的に解禁されることになるが、電子メールの利用については、政党や候補者だけに認められるに留まった。ただし、これについては、「次々回の国政選挙における解禁について適切な措置を講じる」とした付則が盛りこまれており、いずれは一般の有権者の利用も認められる流れになりそうだ。
インターネットはもはや特別なものではなく、とくにスマートフォンやタブレットなどのモバイル環境の普及によって、今やテレビや雑誌、新聞よりも早く情報が入手できるツールに成長した。新藤総務大臣も閣議後の記者会見で「有権者の政治参加がさらに進み、政治と有権者の距離が近づくという意味でとても画期的なこと」と語っているように、候補者がどのような人物なのか、政党がどのような公約を掲げているのかなど、より詳しく、より手軽に、そしてリアルタイムに情報を入手することが出来るようになる。
もちろん、これまでも政党や候補者のホームページやブログはあったが、選挙運動が出来るのと出来ないのとでは、インターネットの利用価値は大きく違ってくる。その活用の仕方によって、選挙戦にも大きな影響が出てくるだろう。
その一方で、候補者や政党に対する誹謗中傷や、候補者などを装う成り済ましも懸念されている。このような卑劣な行為への対策として、ホームページなどにはメールアドレスなどの連絡先の表示を義務づけるほか、候補者や政党が送信する電子メールにも政党名や候補者名を表示するよう義務づける。違反した場合には罰則が科せられるという。
成立した後でもまだ、安全性や公正性を危険視する声も多いようだが、これだけインターネットが社会に浸透してきた今、これを利用できない状態を続けるのは、あまりにも不自然すぎる。要は利用する側のモラルの問題だ。今夏の参議院選終了後にはおそらく、インターネット利用に対する様々な問題点も指摘されるだろうが、とにもかくにも、やってみなければ始まらない。いずれにせよ今回の改正法によって、日本の政治が有権者に一歩あゆみ寄ることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)