上海でモーターショーが開催され、「レクサス」の中国生産を検討と報じられたトヨタ<7203>は70円高。「アキュア」を中国で増産すると報じられたホンダ<7267>は65円高。三菱自動車<7211>は水島工場の生産能力を4割削減すると報じられても5円高で売買高7位、隣の広島県のマツダ<7261>は19円高で年初来高値を更新した。自動車に限らず円安で輸出関連株は揃って好調で、京セラ<6971>250円高、ファナック<6954>90円高、TDK<6762>95円高など値がさハイテク株の大幅上昇が日経平均を押し上げた。155円高のテルモ<4543>、145円高の東京エレクトロン<8035>、125円高のオリンパス<7733>、90円高の信越化学<4063>、70円高のデンソー<6902>、65円高のキヤノン<7751>は年初来高値を更新している。ソニー<6758>は11円高。アステラス製薬<4503>は前期の売上高が1兆円を超えたという業績観測記事が出て40円高になった。
一方、小売では130円高のセブン&アイHD<3382>、情報・通信では60円高のNTT<9432>、125円高のKDDI<9433>、297円の大幅高で値上がり率15位のセガサミーHD<6460>などが年初来高値を更新していた。ソフトバンク<9984>は50円高。陸運株も「GW予約状況は国内が好調」というニュースで190円高のJR東海<9022>、90円高のJR東日本<9020>などが買われていた。そのGWの人出トップクラスの施設を有するオリエンタルランド<4661>は前期の営業利益が800億円で過去最高という業績観測記事が出て210円高で年初来高値を更新している。アメリカ連邦航空局(FAA)がボーイング787の運航再開を正式に許可し、さっそく空港に駐機したままの787の改修作業を開始したJAL<9201>は25円高だったが、ANAHD<9202>は値動きなしで終わっている。
アベノミクスの「第三の矢」成長戦略の第1弾として医療や女性に関する促進策が打ち出され、安倍首相が「待機児童解消で女性の戦力化」を強調したことで保育施設関連に買いが集まった。代表銘柄のJPHD<2749>は前週から物色され値上がり率ランキングに登場していたが、この日も192円高、「サクセスアカデミー」を運営するサクセスHD<6065>はストップ高の503円高、「ピジョンハーツ」を運営するピジョン<7956>は500円高で、どれも年初来高値を更新している。
この日の主役は日経新聞朝刊1面のスクープ記事「川崎重工業<7012>と三井造船<7003>が統合交渉へ」。こんなサプライズ記事が出ると東証の関係者は早朝から対応に追われ、午前8時20分に報道の真偽を確認するという理由で両銘柄の売買停止措置をとった。2年前の夏の三菱重工<7011>と日立<6501>の経営統合報道が結局、火力発電部門の事業統合にとどまった前例もあり東証は慎重を期していた。両社は否定のコメントを出したが取引は午前9時30分すぎに再開され、川崎重工は売買高16位と注目され高値は12円高だったが後場はマイナスになり終値は3円安、三井造船のほうは統合のメリットが大きいためか高値は35円高で年初来高値を更新し終値は22円高で値上がり率17位に入った。取引再開前には行き場を失った買いのエネルギーが集まって同業の三菱重工が24円高、IHI<7013>が15円高と連想買いされ、造船業界の再編期待もあって佐世保重工<7007>は14円高で年初来高値を更新し値上がり率20位。記事によれば造船・重機業界の大型合併・経営統合は1960年のIHI(石川島播磨重工)誕生時以来で、連結売上高は約1.8兆円で三菱重工に次ぐ規模になるという。統合すればプラントの分野で存在感が増すが、三井造船は海上自衛隊の護衛艦を建造中で、防衛関連銘柄としても改めて注目されそうだ。(編集担当:寺尾淳)