中国関連はファナック<6954>は10円高だがコマツ<6301>は4円安、日立建機<6305>は7円安。同業のキャタピラーの決算が悪く、中国のPMIの悪化が追い打ちをかけた。景気がなかなか浮上せず政府が不動産バブルつぶしに熱心では、中国の巨大な建設市場は動きづらい。一方、日本の建設業界は前日に続いて株価上昇。ゼネコン大手4社は揃って年初来高値を更新し、戸田建設<1860>が値上がり率5位、新日本建設<1879>がストップ高で同6位に入ったが、この日、大いに人気化したのが道路工事関連だった。NIPPO<1881>は23円高、日本道路<1884>は49円高、東亜道路工業<1882>は54円高、前田道路<1883>は51円高、大林道路<1896>は27円高、三井住建道路<1776>は22円高、ニチレキ<5011>は17円高で、全て年初来高値を更新した。不動産は三井、三菱、住友の大手3社は続落し、東京建物<8804>は値下がり率4位。東京電力<9501>が8円安など電力株もよくなかった。
ネット翻訳ベンチャーへの出資話が伝えられたNTTドコモ<9437>は1400円高。同じ携帯キャリアのソフトバンク<9984>は20円高、KDDI<9433>は20円安だった。NECモバイリング<9430>はNEC<6701>が売却予定だが、日経新聞が「4000~4500円」と現状の株価より大幅に安いTOB価格を報じたためストップ安の1000円安と急落し値下がり率1位。NECは20円高で売買高8位、売買代金13位と人気を集めた。パナソニック<6752>はリチウムイオン電池事業で従業員を2割削減と報じられ9円安。キヤノンマーケティングジャパン<8060>は大幅減益の決算見通しが出て85円安で値下がり率3位。ヤマダ電機<9831>は最終利益62%減という業績観測報道で235円安と売られて同8位だった。
ファーストリテイリング<9983>は朝日新聞で「世界同一賃金」が大きく報じられた。海外店舗の店長クラス以上の給料を日本の水準に合わせるという内容で、円安が進むほど人件費負担が増すためか、それとも柳井正会長が「年収100万円も仕方ない」と言ったせいなのか株価はジリジリ下げて800円安。日本並みの給料をエサに特にアジアの優秀な人材を釣り上げる狙いで、日本人社員は嫌でもグローバル競争に放り込まれる。
この日の主役はOKI<6703>。ATMの受注が中国やロシアなどの新興国で好調で今期の営業利益が前期の約2倍の220億円になるという日経新聞の観測記事を材料に売買高7位、売買代金15位と買われ、32円高で年初来高値を更新し値上がり率4位に入った。かつての電電ファミリーの沖電気工業だが、最近10年ほどは事業譲渡や資産売却が相次ぎ、2年前には早期退職で社員を1000人以上削減するなど縮小均衡のニュースばかり。業績も低迷し株価も昨年秋頃は70円台だった。今年になってそんな「色あせた名門」や「昭和レトロな低位株」が突然、買いを集めて脚光を浴びる現象がたびたび起きているが、人気は一過性。この日は値上がり率9位になった日本冶金工業<5480>など売買高ランキング30位以内に株価2ケタ~100円台の銘柄が9つも入り3割を占めたが、決算発表もあり大型株に手を出しにくい海外勢に代わり、国内個人投資家の小型・低位株物色が浮かび上がった、ということだろう。(編集担当:寺尾淳)