日本がGW後半の4連休の間も世界の経済は動いていた。2日のECB(欧州中央銀行)理事会はうわさ通りに政策金利を0.25%を引き下げて過去最低水準の0.5%とし、2日のNYダウは新規失業保険申請件数の急減で雇用統計改善への期待が高まり130ドルの大幅高。3日発表の注目のアメリカの4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の前月比の伸びは16万5000人で3月の13万8000人(確定値)から回復して市場予測の14万5000人を上回り、失業率は7.5%で3月の7.6%から0.1ポイント改善しこれも市場予測を上回った。ドル円は1ドル99円台に乗せ商品市況も上昇。3日のNYダウは一時15000ドルを突破して142ドル高で約3週間ぶりに史上最高値を更新した。4日の土曜日、5日の日曜日をはさんで6日月曜日のNYダウは利益確定売りが入って5ドル安だったが、アジア、ヨーロッパの株式市場はおおむね堅調だった。7日朝方の為替レートは、ドル円が99円台前半、ユーロ円は129円台後半で、4連休の間、1ドル=100円どころか99円台後半にも一度もタッチしなかった。4月30日にムーディーズが国債を投資不適格としたスロベニアの問題が、2010年、リーマンショック後の回復局面を無残に粉砕したギリシャ危機を連想させ、市場に影を落としているのだろうか。あれも5月のことだった。
14000円乗せの期待が大きかった日経平均は、始値は266.00円高の13960.04円だったが、採用銘柄に値がつくにつれて14000円台を突破。前場は業績観測の悪い銘柄を除き輸出関連株、景気敏感株中心に買われていたがほとんどの時間は14100円に届かなかった。しかし後場は債券先物から日経平均先物への資金シフトも見られて大型株、中型株、小型株を問わない全面高になり、一時は500円を超える上げ幅で14200円まであと4円足らずに迫り、終値は今年最大の486.20円高の14180.24円。14100円台は2008年6月以来4年11ヵ月ぶり。TOPIXは+35.29の1188.57だった。売買高は31億株、売買代金は2兆8084億円で、4月中旬頃のスタンダード「40億株・3兆円」は下回った。
値上がり銘柄1630に対し値下がり銘柄が62しかないため、東証1部業種別騰落率は全業種がプラス。上位はゴム、機械、輸送用機器、パルプ・紙、金属製品など、下位は鉱業、石油・石炭、陸運、不動産、証券などだった。
日本を代表するような銘柄が売買を伴って大幅上昇し、輸出関連株であろうと一時98円台になった為替相場も関係なし。ソニー<6758>はスマホ新機種向けCOMSセンサーの供給拡大が伝えられ104円高で売買代金1位、売買高5位。決算発表を控えたトヨタ<7203>は日経新聞の観測記事では前期の営業利益が1兆3000億円で市場予測を上回り、5日ぶりに反発し270円高で売買代金2位に入った。ブリヂストン<5108>は190円高。三井物産<8031>は午後1時半に決算発表を行い、今期は最終利益20.2%増で8円増配。増益幅が市場予測より下だったものの全面高の地合いでは悪材料とはならず56円高だった。三菱UFJ<8306>が15円高、野村HD<8604>が10円高と銀行、証券株もおおむね堅調だった。
決算がらみでは、三菱ケミカルHD<4188>が今期の営業利益約6割増の観測記事が出て23円高と買われ、テルモ<4543>が心臓血管カテーテルの伸びが大きく今期の営業利益が27%増で過去最高という観測記事で95円高。旭化成<3407>が今期の営業利益が4割増という観測記事で24円高になった。一方、アマダ<6113>が前期の業績予想を下方修正して1円安で3日続落。三井松島<1518>は今期76.4%減の大幅減益見通しを発表して6円安になり値下がり率1位になった。石炭火力発電のテーマで買われても、決算の数字が悪いとたちまち売られるのが業績相場である。
この日の主役は「アップル関連銘柄」。アップル株はバークレイズ証券が目標株価を引き上げたため10.73ドル、2.38%の上昇で、TDK<6762>が100円高、村田製作所<6981>はアップル、サムスン向けのスマホ部品増産と報じられたこともあり90円高だったが、ストップ高比例配分で300円高、値上がり率ランキング2位と最も盛んに買われたのはフォスター電機<6794>だった。2日に決算発表を行い、今期の業績見通しは最終利益45%増の80億円で、市場予測より10億円も多かったことを好感された。年間配当も15円増配する。東南アジアでヘッドホン、イヤホンを増産するという記事も出ており、アップルに限らず世界中で技術が評価されている。(編集担当:寺尾淳)