自民党の石破茂幹事長は沖縄から参議院選挙(沖縄選挙区)に出馬予定の安里政晃氏を支援する方針だが、安里氏が普天間飛行場の県外移設を公約にあげる姿勢を示すなかで、党本部としての公認扱いがどうなるのか。本部対応に注目が集まっている。
石破幹事長は安里氏支援に「基本的には変わりない」とする一方で「しかし」と続ける。「日米合意の着実な実行、普天間の危険性の早期除去ということについての党本部の方針はいささかも変わるものではない」と。
県外移設は譲れない自民沖縄県連。逆に、辺野古への移設を譲れない自民本部。日米合意を推進し、日米の信頼関係を一層強固なものにしなければならない安倍政権にとって、その屋台骨の石破幹事長が政権与党としての一貫性を示せなければ、辺野古への移設は国家間の約束でもあり、国内問題を国政と地域で分ける対応とは質を全く異にする問題だけに、米国との関係においてもプラスにならないだろう。
それだけに6月3日に発表される予定の安里氏の公約に「普天間飛行場の県外移設を求める」との文言があるとすれば、党本部は党本部としての姿勢を鮮明に示し、国民が納得のいく対応を示す必要がある。
石破幹事長自らが語った「姑息ととられかねないような対応はすることはない」という言葉を信じたい。党が公認する以上、党の政策の主要な柱には一貫性がなければならない。
「県外移設を求めるのは誰か」。石破幹事長は5月30日の会見で県外移設を求める主体を気にした。県外移設を求めるのは安里氏本人か、安里氏を支える会なのか、沖縄県連なのか、そうした主体を確認しないと軽々言えないと石破幹事長らしい発言を行った。
しかし、だれが主語であれ、安里氏の公約に「県外移設を求める」と入れば、安里氏が主語であり、分かり易い、すっきりした対応を自民党本部には求められる。安里氏の6月3日の公約発表とこれへの党本部の対応を国民は注視している。それは、党利党略の姑息な選挙対策より、政府の政策を優先する与党としての本気度を窺うひとつにもなる。
公募で選んだ候補予定者であっても、公募でなくても、党で公認するなら、党政策の主要部分は党本部と一体であるのは当然のことだ。(編集担当:森高龍二)