企業が取り組む、最も身近なエコアクション

2013年06月14日 18:01

 環境省では、地球温暖化防止国民運動として、昨年に続き「グリーンカーテンプロジェクト2013」を展開している。

 グリーンカーテンとは、建物の窓や壁面をゴーヤやアサガオなどのつる性の植物で覆い、直射日光の遮断と葉の蒸散作用によって室温の上昇を防ごうとするもの。夏期の節電対策、及びCO2削減のために、誰でも出来るエコアクションとして推進されているものだ。
 
グリーンカーテンで日蔭を作ると、温度が4℃程度も下がるといわれている。また、1平方メートルのゴーヤのカーテンをつくると、夏場の3ヶ月間でおよそ10kgものCO2排出削減効果が見込めるという。

環境省では、5月8日(ゴーヤの日)を皮切りに、各地で開催されているグリーンカーテンの関連イベントへの協力などをはじめ、「グリーンカーテンフォトコンテスト」や政府インターネットテレビで「夏のエコアクション~グリーンカーテンをはじめよう!」を放映するなど、啓発に努めている。ゴーヤやアサガオの栽培とあって、幼稚園や小学校などを中心に積極的に取り組まれているほか、大きな設備投資をしなくても省エネに役立ち、ひいてはCO2削減にもつながるとあって、意識の高い企業はグリーンカーテンに取り組んでいるところも多いようだ。

 例えば、電子材料などの機能材料や、自動車部品や蓄電デバイスシステムなどの先端部品を扱う日立化成株式会社<4217>などは、2006年度よりすでに従業員参加型活動として、日本全国の37拠点で「グリーンカーテンプロジェクト」を行っている。また、日本だけにとどまらず、11年には、マレーシア、タイ、中国の海外4拠点においても実施した。さらには、200ヶ所以上の小学校に計6,400株のゴーヤ苗を寄贈したり、理科教育の一環として、小学生を対象とした出前授業も開催するなど、かなりの熱の入れようだ。

 また、日立製作所<6501>も2011年度から取り組みをはじめている企業の一つ。

 今年度は、国内の日立グループ約175の事業所で実施しており、今年は1都2府28県の事業所で合計約7,200平方メートルのグリーンカーテンを製作するという。西武・そごうでも、西武池袋本店をはじめ、そごうの神戸店、広島店など全国24の店舗で活動を展開している。セラミック、半導体部品などを製造する京セラグループでも、2012年に日本国内の工場•事業所28拠点、海外2拠点で実施。合計でテニスコート約13.1枚分相当の面積のグリーンカーテンを作った。

 こういった企業のグリーンカーテンの取り組みで得られるものは、単に事業所の温度を下げたり、節電に貢献したり、CO2を削減するだけに留まらない。窓を一面に覆う緑のカーテンは、リラクゼーション効果をもたらし、従業員や訪問客の癒しになって、心もクールダウンしてくれる。また、職場での活動に即発された従業員が、自宅でもゴーヤやアサガオの栽培を始めるケースが増えているそうだ。最も身近で、楽しみながらできるエコアクションとして、これから益々盛んになっていくのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)