市場拡大中のカット野菜、勝ち残りの鍵は?

2013年06月23日 20:35

 安定した価格やメニューに合った食材が1パックになっているなどで購入者にとってメリットの高いカット野菜。カット野菜は、野菜価格の高騰時などをきっかけに消費者間での認知度が高まり、いまでは馴染みのある商品となっている。多くの企業がカット野菜の製造・販売に参入する中で、独立行政法人農畜産業振興機構は月報野菜情報2013年6月号にて「カット野菜を巡る状況(1)」を発表した。その中ではカット野菜の販売先や加工業者の取り組みなどについて記されているが、消費者視点からとくに注目すべきは、原料野菜の調達先についてであろう。同発表によれば調査対象であった原料野菜223,656トンのうち約17パーセントにあたる37,420トンが輸入野菜であり、品目別では「たまねぎ」が52.1パーセントと最も輸入率が高く、次に「しょうが」13.4パーセント、「にんじん」8.2パーセント、「レタス」6.2パーセントであったとのことである。

 カット野菜の中でも、野菜炒めやサラダ用として2種類以上の加工された野菜が袋詰めされたものは加工食品品質表示基準に従って名称、原材料名等を表示することと定められているが、この表示基準が、食品の安全性にこだわる消費者を中心に、たびたび問題視されることがある。なぜならば、この基準では「原材料に占める重量の割合が最も多く、かつ、当該割合が50パーセント以上の主な原材料については、原産地表示を義務付ける」と定められているだけで、すべての原材料について消費者は原産地を知る機会が少ないからだ。

 カット野菜商品「雪国やさい革命シリーズ」を販売している、株式会社 雪国まいたけ<1378>の広報担当者に産地表示や商品の情報公開に関する取り組みについて取材した。担当者によるとカット野菜「雪国やさい革命シリーズ」に使われる野菜は国産にこだわっており、1年を通して安定した野菜の調達を行うために、商品の出荷時期により原産地が異なるが、加工食品品質表示基準にかかわらず原材料とともに原産地を商品パッケージに記載している。また、08年から『雪国まいたけ安全システム』の運用をスタートし、商品に関する残留農薬・重金属検査結果を毎日ホームページ上で一般公開しているとのこと。そして、同社カット野菜商品の売れ行きや今後の市場についても話しを聞くと、カット野菜の主力商品である「もやしMIX」や「キャベツMIX」は、09年11月に発売以降、既に発売当初の7倍を超える出荷数であること、そして、カット野菜市場は、今後もますます伸びるであろうと語った。

 食に関するさまざまな問題から「可能な限り国産の食材を使いたい」、「安全性の高い食材を買いたい」と多くの消費者が考えているであろう。加工食品品質表示基準では、ほとんど見えてこないカット野菜の原産地。大切な「食」のことであるにもかかわらず、私たちは、各事業者の善意に命を預けているようにも感じられる。食に対する関心は強まる一方であるから、自主基準などにより積極的に情報公開をする事業者に軍配が上がるであろう。(編集担当:中村小麦)