【日経平均】上海マイナスから浮上せず135円安3日続落

2013年06月26日 20:16

 NYダウは100ドル高。中国人民銀行が「短期金利上昇には複数の政策手段をとって安定性を守る」と、資金不足に陥った金融機関への流動性供給はすでに実施し、今後も必要に応じて実施するという明確な金融政策を打ち出したため、不安心理が後退した。アメリカの長期金利は2.612%まで上昇したが、耐久財受注、S&Pケース・シラー住宅価格指数、新築住宅販売件数、消費者信頼感指数が全て市場予測を上回りダウは反発。26日朝方の為替レートは、ドル円は98円台前半、ユーロ円は128円台前半で、リスク回避の円買いがおさまって円安が進んでいた。
 
 日経平均は183.41円高の13152.75円で始まり、そのまま小動きの展開。しかしそれも午前10時30分の上海、香港市場の開始までの話だった。香港ハンセン指数は上昇したが、上海総合指数は予想外のマイナスで始まる。日経平均も反応し上げ幅を圧縮して13000円を割り込む。いったん上昇するが午前11時頃から再び13000円割れし、そのままズルズルとマイナス圏に突入。12900円も割り込んで前引け直前には12854円まで下げた。この日もまた上海市場が東京市場を振り回す。後場は午後1時すぎにプラスにタッチし13000円台にも乗せるが、2時台に再び下落して終値は135.33円安の12834.01円で、今週は3日続落した。TOPIXは-9.38の1069.28。上海総合指数は最後まで安値もみあいで反転の兆しもなく6日続落で、期待は裏切られた。売買高は24億株。売買代金は1兆9141億円で、再び2兆円を割り込んでいる。
 
 値上がり銘柄は247しかなかったが東証33業種別騰落率のプラスは空運、陸運、輸送用機器、その他製品、パルプ・紙の5業種あった。マイナスは海運、ガラス・土石、サービス、証券、建設などだった。
 
 日経平均マイナス寄与度1位は230円安のファナック<6954>で日経平均を9円押し下げたが、前日と違い中国関連銘柄が揃って足を引っ張ったわけではなく、日立建機<6305>41円安、ダイキン<6367>40円安、コマツ<6301>8円安と大幅安というほどでもない。中国市場に根を下ろす日産<7201>は、株主総会でカルロス・ゴーン社長が「ルノー・日産連合で2016年度に世界販売1000万台達成」と目標をぶち上げたが12円安。商社株の三菱商事<8058>は12円安だが三井物産<8031>は4円高だった。
 
 値下がり銘柄が中・小型株に偏り、主力株にプラスが目立つのがこの日の特徴。メガバンクは値動きなしのみずほ<8411>を除いて上昇。証券やノンバンクはアイフル<8515>が値下がり率10位に入りオリコ<8585>が年初来安値を更新するなど悪かったが、輸出関連銘柄でも30円高のトヨタ<7203>、28円高のソニー<6758>、22円高のパナソニック<6752>、15円高のコニカミノルタ<4902>などはプラスで踏ん張っていた。
 
 5円高のJAL<9201>、3円高のANAHD<9202>など空運勢も業種別騰落率トップ。内需系の陸運の鉄道株もおおむね好調で、JR東海<9022>が340円高、東武<9001>が6円高、京王<9008>が5円高、JR東日本<9020>が60円高、JR西日本<9021>が40円高と買われていた。不動産は騰落まちまちで、住友不動産<8830>は30円高、東京建物<8804>は8円高、三井不動産<8801>は4円高だったが、三菱地所<8802>は22円安、不動産証券化のケネディクス<4321>は78円安だった。
 
 前日のスプリント・ネクステルの臨時株主総会でソフトバンク<9984>による買収が承認され、世界第4位のモバイル・キャリアになるソフトバンクは前場は高かったが10円安で終えた。国内のライバルのKDDI<9433>は40円安、NTTドコモ<9437>は1700円高。ゲーム関連のKlab<3656>は売買高14位、売買代金10位と買いを集め、93円高で年初来高値を更新し値上がり率1位に入った。任天堂<7974>は東証では330円高で値上がり率14位に入った。一方、グリー<3632>は60円安で年初来安値を更新するなど元気がない。
 
 この日は大波乱だったのがバイオ関連銘柄。注目のリプロセル<4978>がジャスダックに新規上場し、公開価格3200円を大きく上回る7520円買い気配のまま終了し初値は持ち越し。一方、6月11日にマザーズに上場したペプチドリーム<4587>は前日にファイザーとの共同研究開発契約を解消したと発表し、3000円安のストップ安で上場来安値に。投資家の信頼を裏切るこの発表の衝撃は深刻で、ジーエヌアイグループ<2160>、メディネット<2370>、DNAチップ研究所<2397>、PSS<7707>、コスモバイオ<3386>など、わが世の春を謳歌していた新興市場のバイオ関連銘柄にストップ安が続出する事態を招いた。リプロセル関連で買われていた東証1部のニプロ<8086>も188円安で値下がり率の1位になっていた。
 
 この日の主役は、130円高の信越化学<4063>とともに「御三家」に代わり日経平均を下支えした「トヨタファミリー」。本家のトヨタの他、部品のデンソー<6902>が120円高、トラック・バスの日野自動車<7205>が値上がり率4位の66円高、トヨタが筆頭株主の富士重工<7270>が55円高で、4社で日経平均を10円押し上げた。アイシン精機<7259>も35円高だったが、ダイハツ<7262>は2円安、豊田通商<8015>は102円安。改めて並べてみるとなかなか粒ぞろいの銘柄群である。(編集担当:寺尾淳)