憲法問題など重要な意味持つ「参院選」4日公示

2013年06月29日 18:56

EN-a_027b

参議院議員選挙は7月4日公示、21日投票で行われる。政府が28日、閣議決定した

 参議院議員選挙は7月4日公示、21日投票で行われる。政府が28日、閣議決定した。

 各党は経済再建に軸足をおいたアピールを行い、国民に支持を訴えていくことになりそうだが、経済再建の向こうにある「憲法改正」への各党の姿勢を視野に、有権者は今回の選挙では国家のあり様、国家権力と国民のかかわりなど、国家と国民の基本的立ち位置の確認もしながら、日本の進むべき方向を視野に選択しなければならない重要な選挙になるということの認識を共有することが大事だ。

 それは、国会閉会後の26日の記者会見で、安倍晋三総理が「憲法改正については96条(憲法改正発議要件)から始めたい(自民党は改正発議要件を現行の衆参議員の3分の2から2分の1にハードルを低くし、改正を容易にしたいとしている)といったが、(これまでは憲法改正は)あまりリアリティを持った議論ではなかった。初めて、現実的に政治課題としてあらわれつつある」と語り「国民のみなさんにも認識していただいたということで第1段階の目的は達成できたと思っている」と憲法改正議論へのムードづくりができ、現実的な改正議論に入っていけるだろうとの認識を示した。まさに憲法改正が現実的レベルにあることを示している。

 自民、維新の会は憲法改正を掲げ、公明党は加憲の立場、共産や社民は護憲の立場を鮮明にしている。

 その他の各党もそれぞれの立場、考えから憲法への姿勢や対応は違うが、その違いを把握しながら選挙に対応することが今回選挙では求められている。

 まず、そのことを念頭に投票行動をとることが、今後3年間の短期でみても、重要な意味を持つことになりそうだ。

 安倍総理にとって、憲法改正の点では維新の会など保守勢力の台頭は歓迎すべきことなのだろう。与党内の公明党は集団的自衛権の解釈改憲にも慎重であり、自衛隊を自衛軍とすることにも必要性や意義を認めていない。右傾化する政治の歯止め役を果たしている公明党との見方さえある。タカ派傾向を抑止する抑制剤的存在と評する人もいる。ハト派にとってタカ派の暴走を止める公明の存在は有意な存在なのだ。いずれにせよ、参院選挙で政党の勢力がどのように変わるかにより、憲法への取り組み姿勢をはじめ、社会保障・福祉政策、労働政策に大きな差が生じてくるように思われる。

 自民のひとり勝ちでも、自公圧勝でも、安定政権をこえた弊害が生じないかと懸念する。安倍総理は国会閉会後の記者会見で「国会のねじれによって、衆議院小選挙区の0増5減を行う区割り法案が翻弄された」と多々、ねじれによる弊害を指摘した。

 自身が参議院予算委員会に出席しなかった6月24日、25日の責任に対する「総理問責決議案」可決についても「まさに、これこそがねじれ国会の象徴」と言い放った。

 安倍総理は「この問責決議によって、電力改革のための法案など重要法案が廃案になってしまった」と語り、野党に責任があるとした。

 野党にあるのか、与党にあるのかは別にしても、悪影響を実際に受けるのは我々国民なのだ。残念ながら、与党に対抗する野党勢力に「政権政党として国政を運営してほしい」と全幅の信頼を寄せれる政権能力を備えた政党が見えてこない。民主党惨敗による野党リーダーとしての力の脆弱化も否めない。

 その責任が民主党自身にあることはいうまでもないが、さきの総選挙での惨敗から党再建途上の今も、都議選の結果が裏付けるように「政権を担いうる政党への信頼回復には程遠い」状況だ。地方基盤の拡充も進んでいるように映らない。この半年で党再生が全国規模でどこまで図れたのか。優秀な政治家を抱えながらも自民と互角に戦えない地方基盤の弱さは参院選でも浮かんできそうだ。政権奪還をめざすなら、必死さとスピード感と状況を正しく分析し時間をかけずに対応する迅速さと戦略立案能力が必要だ。

 その力量がそのまま、政権与党としての政策能力にも反映されていくことを、民主だけでなく、野党各党に自覚いただき、与野党の政策能力アップにつなげてほしい。

 野党の能力アップは与党の能力アップにもつながっていく。7月、自民のひとり勝ちか、自公で圧勝か、それとも野党が過半数を守りきるか、国民の選択結果を注視したい。(編集担当:森高龍二)