【日経平均】「上海離れ」して13200円台に乗せて終える

2013年06月27日 20:13

 NYダウは149ドル高で続伸。中国市場と取引時間が重ならないのがうらやましいところ。ECBドラギ総裁の緩和継続発言でヨーロッパは株高に。アメリカの1~3月の実質GDP確報値が大幅に下方修正され+1.8%と発表されたが、量的緩和縮小が遠のく観測で長期金利が低下し株価は上昇した。27日朝方の為替レートはドル円は97円台後半、ユーロ円は127円台前半だった。
 
 前日に移動平均線の「デッドクロス」を喫した日経平均は134.71円高の12968.72円で始まるが、アメリカの金利安で円が強含みなので13000円にタッチできず、おおむね小動きで午前10時30分の開始を待つ「上海待ち」。その上海総合指数は小幅高から徐々に上げ幅をひろげて7日ぶりに反発したが、日経平均は10時26分には先取りして13000円を突破していた。香港、ムンバイなどアジア株は揃って上昇をみせて買い安心感がひろがり13000円台に定着する。
 
 後場も流れは変わらず一段高で13100円台に乗せて安定的に推移し、上海市場が上昇幅を圧縮しても反応せず「上海離れ」。午後2時30分頃を過ぎると上海が一時マイナスになり、さすがに日経平均も13100円を割り込み5月2日以来8連敗した「魔の木曜日」はすんなり終わらないと思われたが、噂された海外の年金資金の半期末のドレッシング買いが入ったのか大引けで13200円を突破し、終値は379.54円高の13213.55円で高値引けになった。TOPIXも+29.55の1098.83で高値引け。売買高は26億株、売買代金は2兆1105億円で、商いは依然低調だった。
 
 全面高で値上がり銘柄は東証1部全体の87.4%の1495もあり、業種別騰落率は全業種がプラス。上位は不動産、鉄鋼、その他金融、機械、情報・通信、輸送用機器などで、下位は証券、水産・農林、鉱業、石油・石炭、陸運、海運などだった。
 
 日経平均プラス寄与度上位銘柄は、1位が900円高で3日続伸のファーストリテイリング<9983>、2位がアメリカ発の好材料があり230円高のソフトバンク<9984>、8位が200円高の中国関連銘柄のファナック<6954>で、「御三家」の寄与度は+71円だったが、この日は不動産大手3社がその間に割り込んだ。4位の住友不動産<8830>は340円高、5位の三井不動産<8801>は245円高、7位の三菱地所<8802>は212円高で、合わせて日経平均を31円押し上げていた。日経平均225種の下落銘柄は16円安のシャープ<6753>、15円安のTDK<6762>、10円安の伊藤忠商事<8001>、5円安の川崎重工<7012>など14銘柄にとどまった。
 
 メガバンク3行は全てプラスだったが130円高の三井住友FG<8316>の上昇幅が3.03%と大きかった。前場は沈んでいた証券株も野村HD<8604>が10円高、大和証券G<8061>が13円高と巻き返す。ノンバンクでは毎日売買が多いアイフル<8515>が73円安から後場浮上して27円高で終えた。
 
 トヨタ<7203>は200円高、ホンダ<7267>は110円高で、両銘柄はムーディーズが格付けを引き上げた。自動車では日産<7201>だけ1円安で4日続落とカヤの外。中国関連は上海の開始とともに上昇曲線を描き、コマツ<6301>、ダイキン<6367>はファナックとともに3ケタ高で、日立建機<6305>も78円高。前日は配当落ちだったキヤノン<7751>は中間配当を5円増配して65円とすると発表し、期末配当期待で35円高と反発した。鉄鋼株は新日鐵住金<5401>が6円高、神戸製鋼<5406>が3円高、JFEHD<5411>が48円高と好調だった。
 
 業種別騰落率トップの不動産は証券化のケネディクス<4321>が売買高3位、売買代金8位と買いを集め、53円高で値上がり率1位に入った。サンフロンティア不動産<8934>は同5位。政府が消費税導入後、住宅購入者に住宅ローン減税と合わせて最高30万円の現金を支給する構想が浮上し、マンションが販売好調の長谷工<1808>は4円高、大京<8840>は17円高、明和地所<8869>は22円高、タカラレーベン<8897>は25円高、ゴールドクレスト<8871>は195円高で値上がり率13位に入り、建売住宅の飯田産業<8880>も69円高だったが、現金支給には年収制限があるためか注文住宅のタマホーム<1419>は31円安だった。
 
 リプロセル<4978>は上場2日目も初値がつかず気配値は17510円に上がった。厚生労働省の審査委員会が前日、目の難病「加齢黄斑変性」の患者をiPS細胞で治療する臨床研究計画を承認するというニュースが入り、大日本住友製薬<4506>が134円高で値上がり率6位、新日本科学<2395>が85円高、タカラバイオ<4974>が31円高になるなどiPS細胞関連が買いを集めていた。
 
 この日の主役は230円高のソフトバンク。25日のスプリント・ネクステルの臨時株主総会で買収が承認されたのに続き、「クリアワイヤ買収に専念する」と競合から降りていたディッシュ社が前日、クリアワイヤのTOB取りやめを発表した。これでスプリント・ネクステルは高速無線通信会社のクリアワイヤを完全子会社化できる。クリアワイヤが切り離され周波数帯というおいしい部分を持ち去られる心配はなくなり「ソフトバンクの完勝」になった。あとはFCC(連邦通信委員会)の承認だけだが、かつての日米経済摩擦の頃のように、連邦議会議員あたりから変な横ヤリが入って政治問題化するのは願い下げだ。(編集担当:寺尾淳)