ヤマハ発動機<7272>が中期計画達成に向け本格的に動き出した。2017年までの中期計画として売上高2兆円、営業利益率7.5%を目指す。2012年実績で売上1兆2077億円、利益率1.5%なので壮大ともいえる目標値だ。この目標を達成するための施策は多岐に渡るのは言うまでも無い。が、発表された内容を精査すると、3つに収斂できそうだ。
コストダウン、プラットフォーム展開、3つ目がニューモデル攻勢と市場開拓だ。
コストダウンでは、生産に必要なサプライヤーを集約。2012年に約400社だった調達先を2017年に200社まで絞り込む。発表によると集約作業は順調に進んでいて、現状で233社まで絞り込みが進んだ。重要部品も76部品の30%のコストダウンを図ると共に、海外の市場要求に適合した商品を作る統合開発センターを機能させ、2015年までに累計900億円にのぼるコストダウンを達成させる。
ふたつ目のプラットフォーム戦略は、高性能・軽量・低燃費という2輪車コア技術でプラットフォームを確立し、そこから海外拠点ごとに設置する開発センターが市場要求に沿った商品を開発。マーケットごとの特性を見据えた積極的な新製品の投入を効率的に実現する。
最後はニューモデル攻勢と市場開拓だ。ヤマハ発動機は、事業開発戦略を3つの層に分けている。まず、現在の業績を支える基盤事業。ここにはモーターサイクル、マリンビジネスなどがある。次に、先期までに仕込みがほぼ終わり、刈り取りの時期に入る事業としてRV(レクレーショナルビークル)、発電機などの特機事業、電動アシスト自転車などのSPV(スマートパワービークル)事業、産業用ロボット事業などがある。さらには、これから新しくチャレンジしていく事業群が控える。この事業群には、産業用ヘリコプターなどの無人システム、「新しい乗り物の提案」などがある。
ここでは、産業用ヘリコプターなどの無人システム、新しい乗り物の提案などがある。これらを含め、グローバルな商品計画で2015年までに250種の新製品を発売する。
今年中に欧州などで発売される新開発高性能3気筒エンジン搭載のバイク「MT-09」や北米向けの大型バイク「BOLT」は基盤事業のモーターサイクルの先鞭といえる。
「刈り取り」の領域では、電動アシスト自転車を含む電動2輪車「Smart Power Vehicle(SPV)」は世界販売100万台に挑む。RVでは北米での「Recreational Off-Highway Vehicle(ROV)」需要の急拡大に対応し、今後5年間、毎年ニューモデル投入する意向も表明した。新しくチャレンジしていく領域では、日本からスタートした無人ヘリコプターを利用した活動を海外にも展開。用途も農薬散布といった農業関連だけでなくから放射線測定や地震計設置・回収など、今後さらに拡大するであろう無人ビジネスに積極的に挑戦していく戦略だ。更に、2014年には3輪モーターサイクル「Leaning Multi Wheel(LMW)」を発売することや、今秋の東京モーターショーでプロトタイプが登場する予定の「マイクロ4輪」の研究開発を進めている事も表明された。ヤマハ発動機のグローバル市場へのニューモデル投入と潜在需要開拓に向けた積極的なアプローチが期待される。(編集担当:吉田恒)