【日経平均】ドル円が100円に乗らなくても終値120円高

2013年07月23日 20:08

 NYダウは1.81ドルの小幅高。中古住宅販売件数が市場予測を下回り、マクドナルドの決算がさえなくて足かせになった。23日朝方の為替レートは、ドル円が99円台前半、ユーロ円が131円近辺で円高に進んでいた。

 日経平均は102.68円安の14555.36円でスタート。まず14600円台に値を戻し、午前9時30分すぎに一気に100円を超える上昇で14700円台にタッチ。上昇の原動力は為替の円安だがドル円100円には届かない。しばらくもみあった後に10時45分すぎ、2回目の上昇で14800円にタッチした。上海、香港市場はプラスで始まり、この日は危険でない時間帯。「月例経済報告」が発表され、景気判断に「回復」の文字を10ヵ月ぶりに入れるなど3ヵ月連続で上方修正したのが好感された。後場は14700円台で推移し、先物に海外から買いが入って午後2時40分すぎには14800円にもタッチしたが、終値は120.47円高の14778.51円だった。その間、ドル円は一度も100円台に乗せていない。TOPIXは+6.19の1222.72。売買高は23億株、売買代金は2兆864億円で商いは低調なまま。

 値上がり銘柄は1041で値下がり銘柄は573。上昇セクターは鉄鋼、情報・通信、非鉄金属、水産・農林、パルプ・紙、卸売など。下落セクターはゴム製品、その他金融、海運、電気・ガス、機械、建設などだった。

 日経平均プラス寄与度トップは+39円のソフトバンク<9984>。330円の大幅高で朝から活発に買われ売買代金1位に。孫正義社長が午前10時から「世界で挑む」というタイトルで講演を行って注目された。「2018年にコンピュータは人間の脳を超える」などほとんどはITの未来の話で、アリババの再上場のような生々しい話がなくいったん下落したが、後場に買い直された。マイナス寄与度トップは-3円の電通<4324>で、前日に公募価格が発表され公募増資の希薄化懸念が再燃して80円安になった。

 メガバンクは20円高の三井住友FG<8316>だけプラス。野村HD<8604>は2円高。電機ではソニー<6758>が外国人投資家の人気を集めて売買代金3位に入り76円高。パナソニック<6752>は16円高だった。大引け後に決算発表を行った日本電産<6594>は240円高で朝から期待を集めていたが、任天堂<7974>は140円安。住友金属鉱山<5713>は、NY金先物市場が3.35%の大幅高で1オンス1300ドルを再び超えたのを好感されて54円高になった。

 iPS細胞関連では2つニュースがあり、それを使って副作用を見きわめ新薬候補を選別すると報じられた中外製薬<4519>は26円高、iPS細胞からミニ肝臓を量産する技術を横浜市立大学と共同で開発と報じられたクラレ<3405>は24円高になった。忘れた頃に「3Dプリンター関連」が再びランキングをにぎわせる。65円高の群栄化学<4229>は売買高10位、売買代金12位、値上がり率4位、MUTOHHD<7999>は同10位、アルテック<9972>は同16位。それほど期待されているのか。それとも他にテーマがないのか。前日買われた人材派遣関連は、アウトソーシング<2427>が82円高で値上がり率6位に入る一方でパソナG<2168>が値下がり率のほうで8位、フルキャストHD<4848>が同11位に入るなど極端に分かれた。

 政策関連では、マレーシアのコタキナバルで開かれているTPP交渉で日本の参加が午後、正式に承認されると農業関連の井関農機<6310>が上昇し17円高。東京電力<9501>は福島第一原発で放射能汚染水を海に放出していたと認め値下がり率3位の47円安で5日続落。日本海の佐渡島沖で行われていた石油、天然ガスの探査は「確認できず」という残念な結果に終わり、石油資源開発<1662>は75円安、日本海洋掘削<1606>は480円安で値下がり率4位、三井海洋開発<6269>は90円安と揃って大幅安になった。

 この日の主役は業種別騰落率トップになった鉄鋼株。起爆剤は新日鐵住金<5401>とトヨタ<7203>が自動車用鋼板の2年ぶりの値上げに合意したというニュースだった。新日鐵住金は10円高で年初来高値を更新し、売買高4位、売買代金5位。神戸製鋼<5406>は3円高で売買高6位になり、JFEHD<5411>は85円高だった。日鐵商事<9810>は16円高で値上がり率18位で、トヨタグループの特殊鋼メーカーの愛知製鋼<5482>は23円高と関連会社も好調。日新製鋼HD<5413>は50円高で値上がり率19位だった。電炉メーカーも新日鐵住金系の共栄製鋼<5440>は74円高、東京製鐵<5423>は7円高だった。一方の自動車メーカーは、鋼材の値上げに応じたトヨタは今年の国内生産台数を約20万台上乗せして約330万台とする方針を固めたと報じられても10円安で、やはり原材料高は悪材料で3円高のマツダ<7261>と7円高のダイハツ<7262>以外はマイナス。だが部品メーカーは、中国で投資を再開してラインを増設し生産能力を増強すると報じられた曙ブレーキ工業<7238>は12円高、小糸製作所<7276>は4円高で、自動車用ランプの市光工業<7244>も13円高で値上がり率8位と健闘していた。(編集担当:寺尾淳)