【日経平均】好決算背景に中国も邪魔せず14000円台回復

2013年08月01日 20:15

 NYダウは21ドル安と続落。4~6月期の実質GDPが1.7%で市場予想の1.0%を上回り午前は上昇した株価も、1~3月期が下方修正されるなど突っ込みどころが少なくない上に、大手百貨店J・C・ペニーの資金繰り懸念という材料もあり下落に転じた。ADP雇用統計は可もなく不可もなし。FOMC声明では量的緩和縮小の具体的な条件も開始時期もロードマップも何も示されず、これでは利益確定売りが出るだけ。8月のマーケットは「開始は9月でなく10月か?」などと観測、憶測、思惑が入り乱れて混乱しそうだが、「2日の雇用統計を見てから」がとりあえずのコンセンサスだろう。1日朝方の為替レートはドル円は97円台後半、ユーロ円は130円台前半で、量的緩和縮小開始の手がかりがなければドルは安いまま。

 取引時間前の外資系証券注文状況は売り越しだったが、8月初日の日経平均は6.18円高の13674.50円で始まった。マイナス圏との間で往復した後は13700円台前半の小幅高だったが、中国のPMIが物流購入連合会のほうは改善、HSBCのほうは確報値が速報値と同じで悪化しなかったために一段高になり13700円台後半に。午前11時に13800円台にタッチし前場は13827円で終える。後場はドル円が98円台に乗せる円安の追い風を受けて午後1時すぎ13900円にタッチ。2時台には13960円をつけ、大引け直前にも急伸して終値は337.45円高の14005.77円の高値引け。14000円台は4営業日ぶり。TOPIXも+31.69で1163.39の高値引け。売買高は26億株、売買代金は2兆2106億円で、FOMC待ちからそのままアメリカ雇用統計発表待ちに移行して売買は盛り上がりを欠いた。

 主力株から小型株までまんべんなく上昇し、東証1部の値上がり銘柄は1389で値下がり銘柄291を大きく上回り、業種別騰落率は全業種がプラス。その上位は電気・ガス、銀行、石油・石炭、鉄鋼、その他製品、ゴムなどで、下位は倉庫、海運、非鉄金属、水産・農林、食料品、精密機器などだった。

 日経平均プラス寄与度トップ3は「御三家」が揃い踏みし日経平均を102円引き上げた。マイナス寄与度8円でトップだったのがNTTデータ<9613>で、今年は「マイナンバー関連銘柄」として買われた時期もあったが、前日発表の決算の最終利益が約70%の大幅減益で値下がり率11位になった。

 メガバンクは後場、大引け前にまとまった買いが入り、4~6月期の決算で純利益40%増だった三菱UFJ<8306>は24円高、純利益35%増だったみずほ<8411>は10円高、三井住友FG<8316>は185円高で、いずれも4%を超える値上がり率だった。

 トヨタ<7203>の250円高など大幅高が続出の自動車関連の主力株でひとりカヤの外だったのがホンダ<7267>で、4~6月期決算の純利益が7%減で、業績見通しもアナリスト予測に届かず25円安だった。サード・ポイントによる事業分離提案を拒否する見通しと報じられたソニー<6758>は36円高。パナソニック<6752>は4~6月期の税引き前利益が3.2倍、純利益が8倍と業績急回復で58円高だった。シャープ<6753>は日刊工業新聞に、9月に公募増資を700億円超、第三者割当増資を225億円実施するという記事が出て、確認のため東証が売買の一時停止措置をとったが、9時30分すぎの再開後は買いを集めて急騰。マイナスになる時間帯もあったが終値は7円高で終えている。

 スマホの電池容量が10倍になる新材料技術が日経新聞の1面を飾った信越化学<4063>は210円高。前日の決算発表ではスマホ向け通信モジュールが大きく伸び4~6月期の純利益が5倍という内容だった村田製作所<6981>は480円高。スマホ向け材料が好調で4~6月期の営業利益が2.6倍の旭化成<3407>は27円高。夏休みは絶好調のオリエンタルランド<4661>は440円高で上場来高値を更新した。30日の決算発表後、2日で1050円という急上昇をみせている。

 マザーズ指数が大幅続落するなど新興市場は不振で、バイオ関連銘柄や個人投資家の人気が高いガンホー<3765>が下落して個人の投資意欲をそいだ。しかしマザーズのミクシィ<2121>は、スマホ写真からフォトブックを作成するサービス「nohana」が29日夜のテレビ番組で紹介された後、アクセスが通常の約100倍と殺到し、サービスをいったん中断してシステムを増強。それを材料に個人投資家中心に一斉に買い注文が出て300円高のストップ高比例配分になった。信越化学も村田製作所も旭化成もそうだったように、上昇株にはスマホがからむことが多い。

 下落した主力株はやはり決算がらみ。東芝<6502>は4~6月期の営業利益が2.1倍でも通期見通し据え置きが悪材料になり13円安。クラレ<3405>は中間期の営業利益、経常利益の見通しを下方修正しては97円安、値下がり率8位も致し方なし。通期の営業利益、純利益の見通しを下方修正し期末の配当額を減らした旭硝子<5201>は値下がり率6位の48円安で年初来安値を更新してしまった。逆に値上がり率トップ3の古河スカイ<5741>、TOTO<5332>、日本ユニシス<8056>は、いずれも前日発表の決算で業績見通しを上方修正して買いを集めた。

 この日の主役は中国関連銘柄。いつも対で語られるコマツ<6301>は21円高、日立建機<6305>は38円高。ファナック<6954>は620円高、日産<7201>は12円高だった。午前10時に中国の物流購入連合会から7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、前月比で0.2ポイント上昇して50.3。好・不況の分かれ目といわれる50を割るという市場予測を裏切って2ヵ月ぶりに改善した。直後に取引が始まった上海市場も香港市場は終日プラスだった。10時45分に出たHSBCのほうのPMI確定値は速報値の47.7と変わりなく、50を割っていても中国関連銘柄の株価にはほとんど影響しなかった。