【日経平均】201円安で7月をマイナスの月にして終わる

2013年07月31日 20:12

 NYダウは1.38ドル安。S&Pケース・シラー住宅価格指数は2006年3月以来最大の伸びでもCB消費者信頼感指数は悪化と経済指標はまちまち。純利益4.3倍のファイザーやグッドイヤーの好決算は好感されたがFOMC待ちの様子見ムードには勝てなかった。31日朝方の為替レートは、ドル円は98円前後、ユーロ円は130円前後で、前日とあまり変わらない水準だった。

 FOMC待ちと月末のドレッシング買いの綱引きに、439社が発表する決算への好感と嫌気が入り乱れる構図が予想された日経平均は136.27円安の13733.55円で始まる。午前9時台に13644円の最安値をつけるが、その後は徐々に上げる展開で11時台には13800円にタッチ。後場も当初は一段高の13800円台でこのままプラスまで戻せるかと思われたが、ここで前日は追い風だった為替が逆風に変わって吹き始める。ドル円は98円台を維持できずじりじり円高方向に進み、取引時間中の決算発表で売られる主力銘柄も出て午後2時30分すぎには下げ足を速め、13700円台も割り込み終値は201.50円安の13668.32円だった。TOPIXは-16.83の1131.70。売買高は25億株、売買代金は2兆3138億円で売買高が30億株に届かない日が続く。

 7月は6月末と比べると日経平均は9円のマイナスで終えた。TOPIXも2.14のマイナスで、参議院選挙直前の19日に5月以来の日経平均15000円の大台にあと47円まで迫りながら、その後はもろくも急落し、「行ってこい」で「元の木阿弥」の月だった。

 値上がり銘柄は270で値下がり銘柄は1418。業種別の値上がりセクターは非鉄金属、石油・石炭、その他金融、情報・通信の4つしかなく、値下がり幅が小さいのはガラス・土石、ゴムなどだった。マイナスが大きいセクターは電気・ガス、空運、その他製品、海運、保険、医薬品などだった。

 日経平均225種の値上がり銘柄は29。孤軍奮闘していたのが前日発表の決算の営業利益が89.6%増と過去最高で28日の業績観測記事をも上回ったKDDI<9433>で、値上がり率11位の350円高でプラス寄与度は28円。東京エレクトロン<8035>は160円高で前日の下落分を取り返して10円のおつりがきて2位。前日の決算が良く101円高で値上がり率8位の住友電工<5802>が3位で、値上がり率12位のコニカミノルタ<4902>、住友商事<8053>がそれに続く。一方、マイナス寄与度トップはおなじみファーストリテイリング<9983>で日経平均を34円引き下げた。2位に京セラ<6971>、3位にアステラス製薬<4503>が入っていた。

 決算の話題ばかりの日で、決算が良くて株価が上がり、悪くて下がるのは普通でも、成績が良くてもアナリスト先生から「1年間の見通しがその程度とは残念だ」と叱られて下がることもある。そんな「スパルタ塾」の先生に泣かされたのが250円安のユニ・チャーム<8113>や8円安の日本郵船<9101>で、地合いが悪い中でも好決算をテコに上昇できたのが18円高の日立<6501>や610円高のオリエンタルランド<4661>など。27円高で値上がり率1位の三菱製鋼<5632>、30円高で同9位のGSユアサ<6674>は前日に好決算を発表。値動きなしだった新日鐵住金<5401>は午後1時30分に決算とともに中間期の復配を発表して12円高になる場面があった。主力株では大和ハウス工業<1925>の9円高、オリックス<8591>の62円高が目立っていた。

 この日の主役は午後1時に決算発表を行ったとたんに急落し、後場の日経平均軟調の一因にもなった富士重工<7270>。発表直前まではプラスだったが、終値は-6.85%、178円の大幅安。日経平均マイナス寄与度は-7円で6位でも、トヨタ<7203>の100円安、ホンダ<7267>の80円安、デンソー<6902>の200円安、アイシン精機<7259>の135円安など、後場の自動車関連銘柄に下落の連鎖反応を引き起こしてしまった。

 富士重工の4~6月期の決算内容は経常利益は3.4倍で市場予測を上回り、通期の経常利益見通しは10.3%の上方修正で、それだけなら花マルがつくような好成績だが、「スパルタ塾」のアナリスト先生は厳しい。売上高見通しが1200億円、営業利益見通しが620億円、それぞれ市場予測に足りなかったために大幅安の試練を与えられた。日産<7201>と違って海外販売は中国ではなく北米が中心なので、アナリストの期待値はことのほか高いようだ。この日はデンソーやアイシン精機も業績見通しを上方修正しながら株価が下がったが、「ピカピカの優等生のスバルですらアナリストのお眼鏡にかなわず、大幅に下落してしまうのか」と、厳しい先生が怖くて後場は自動車関連銘柄への投資意欲が萎縮してしまったのかもしれない。(編集担当:寺尾淳)