8月第4週(8月19日~23日)は5日間の取引。お盆明けで企業の夏季休業も終わり日本の経済活動は19日の月曜日から一斉にリスタートしそうだが、東京市場の商いはどの程度、回復するだろうか。
国内の経済指標は、19日は7月の貿易収支、半導体製造装置BBレシオ、6月の景気動向指数改定値、20日は6月の全産業活動指数、7月の粗鋼生産量、全国百貨店売上高、コンビニ売上高、21日は7月の全国スーパー売上高、訪日外国人数が発表され、気象庁は22日に9~11月の3ヵ月予報を出す。
19日にアメリカUSTR(通商代表部)のフロマン代表が来日して日米TPP閣僚協議が行われる。20日から24日までブルネイでASEAN経済相会議が開かれるが、同じブルネイで22日から第19回TPP交渉会合が並行して始まる。TPP交渉が本格化し、農業・TPP関連銘柄はその影響を受けるかもしれない。また、来週は19日から米韓合同軍事演習が開始される。北朝鮮が反発してまた「無慈悲な鉄槌を下す」などと騒ぎ始めると、石川製作所<6208>や豊和工業<6203>のような防衛関連銘柄がにぎわいそうだ。
海外の経済指標は、20日はドイツの7月の生産者物価指数(PPI)、ユーロ圏の6月の建設支出、アメリカの7月のシカゴ連銀全米活動指数、北米半導体製造装置BBレシオ、21日はアメリカの7月の中古住宅販売件数、22日は中国の8月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、ドイツの8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値、ユーロ圏の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値、アメリカの6月のFHFA住宅価格指数、7月のCB景気先行指標総合指数、23日は英国の4~6月期四半期国内総生産(GDP)速報値、ユーロ圏の8月の消費者信頼感指数、アメリカの7月の新築住宅販売件数が、それぞれ発表される。
最大の注目はやはり22日の中国の8月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値だろう。アメリカでは22日に7月のFOMCの議事要旨が発表される。23日にはタカ派のダラス連銀フィッシャー総裁の講演が予定されている。
アメリカの主要企業の決算発表は、19日はアーバン・アウトフィッターズ、20日はベスト・バイ、ホーム・デポ、J・C・ペニー、21日はトール・ブラザーズ、ターゲット、HP、ロウズ、22日はGAP、ダラー・ツリー、23日はオートデスクが予定している。
来週22~24日、アメリカ・ワイオミング州のジャクソンホールで毎夏恒例の経済フォーラムが開催されるが、今年は1月に退任を控えたバーナンキFRB議長は出席しないので「ジャクソンホール待ち」はない。しかし、ボビー・ダーリンならぬ地区連銀総裁たちが現地で「9月になれば(量的緩和縮小開始)」を合唱して、「避暑地の出来事」がウォール街を凍らせる恐れがあるので要警戒だ。
経済指標を見渡すと、7月頃までの世界経済のだいたいの見取り図は「アメリカ好調、日本復調、新興国減速、ヨーロッパ停滞」だった。それが8月に入ってからは、アメリカは疑問符がつきながら好調継続、日本は回復と足踏みがまちまち、新興国は中国の景気減速が底入れし、ヨーロッパに明るい兆しありと、様相が少し変わってきた。経済指標は前月、前々月のデータなので、足元ではその傾向がもう少し進んでいるかもしれない。
来週、東京市場で最も注目される地域は中国だろう。22日午前に8月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表されるからである。7月の確定値は47.7で好・不況の分かれ目の50を下回ったままだが、8月の速報値のマーケット・コンセンサスは48.3。「一気に50超え」まではいかなくても、数値が底を打って改善をみせるという見方が有力になっている。
8月の中国関係の経済指標を見ると、1日発表の物流購入連合会の7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は市場予測の49.8を上回り50.1から50.3に伸びた。8日発表の7月の貿易収支は輸出は+5.1%、輸入は+10.9%で前月のマイナスからプラスに転じ市場予測を大きく上回った。9日発表の7月の消費者物価指数(CPI)の伸びは横ばいで市場予測を0.1ポイント下回る+2.7%、生産者物価指数(PPI)の伸びは前月よりもマイナス幅が縮小したが市場予測を0.2ポイント下回る-2.3%、鉱工業生産の伸びは前月の数値も市場予測も0.8ポイント上回る+9.7%、小売売上高の伸びは前月の数値を0.1ポイント、市場予測を0.3ポイント下回る+13.2%だった。